■仕事のルール51「自然体で背伸びしよう」

 やり過ぎずやらなさ過ぎず」。一昔常識だったサラリーマンの掟。

 当時は右肩上がりの日本経済でした。今は成果を出すために徹底してやらなければなりません。日本もいよいよ本格的なプロフェッショナル(プロ)の時代に入りつつあります。

 つまり実力主義・成果主義の時代です。今まではある程度満遍なくこなせる人であれば、企業・特に大企業・中堅企業の社長は務まりました。そこそこ優秀であれば、経営者は誰がやっても似たり寄ったりだったのです。

 しかし、これからは、日産自動車のカルロス・ゴーン氏のように、できる人がやらなければ会社は崩壊します。山一証券、ダイエー、ヤオハン、日本長期信用銀行など例を挙げればきりがありません。このように日本でも経営はプロがやらなければ成り立たなくなります。今までのような、売り上げ・市場拡大主義は終わり、利益率・キャッシュフロー重視、更には株主への利益還元を重視した経営が必須となってきたからです。これは資本主義経済でのあたりまえの原理で、今までの歪んだ日本経済が国際的、特に先進国から遊離してただけです。

 企業において役職で組織が形成されるような形式的な経営の時代は終わりました。今後はプロとして何ができるかでその人の組織内での役割や存在価値、更には存続が決まります。

 まさに企業は、そもそもあたりまえであるプロ集団化への道を歩み始めています。

 平社員から始まって上は社長まで一人一人がプロとして効果的・効率的に仕事をしなければ、競争力ある勝ち組企業にはなれず生き残れません。

 プロとは「自然体で背伸びする人」だと思います。

 無理しすぎると、その反動とストレスで長続きしませんし、適度な無理、すなわち自己限界への挑戦をしなければ、人間性や能力は高まりません。自然にそうできるようになるのがプロです。

 国際ビジネスやベンチャービジネス支援を専門とした経営コンサルティング会社としての弊社は、依頼主である経営者や投資家がしっかりしてさえいれば、他の一流コンサルティング会社が引き受けないような難しい仕事でも積極的に受けるようにしています。

 プロ集団として能力以上に背伸びすることによって、私を含めスタッフの許容範囲を広げ、能力をより伸ばすことができると信じるからです。

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■仕事のルール52「プロとしての意識を持って仕事をしよう」

 ① 仕事に人生をかける人

 ② 不可能を可能にするために限りなき努力をする人

 ③ 自分の仕事に誇りを持つと同時に謙虚な人

 ④ 先や時代を読んで仕事をする人

 ⑤ 時間より目標を達成させるために仕事をする人

 ⑥ 高い志・理念・目標に向かって邁進する人

 ⑦ 結果にすべての責任を持つ人

 ⑧ 成果によって報酬を得る人

 ⑨ 仕事において甘えのない人

 ⑩ 能力向上のために常に学び、努力し続ける人

 ⑪ 仕事を通して人間性・能力を高めていける人

 ⑫ 謙虚にかつ貧欲に誰からでも学ぼうとする人

 ⑬ 仕事を通してまわりの人に夢と感動を与える人

 ⑭ 仕事のために自己管理が徹底できる人

 ⑮ 尊敬できる人(メンター・師匠)を持ち、その人から徹底的について

   学んでいる人

 ⑯ 真剣に人材(後輩)育成している、または将来する決意のある人

 これが私の一流プロフェッショナル(プロ)としての定義であり条件でもあります。

 すべてにおいて該当する人はそうはいないと思いますが、プロを目指す以上一つ一つチャレンジすることが大切だと思います。

 人間はスタート時点(例えば産まれたときや学校を卒業した時)では同じのはずですが、時間の経過と共に差がつきます。それは能力や資質からくることなのでしょうか?私は、その差は高い志をもって夢を実現させようとする日々の努力にかかっていると思っています。

 プロというと、ただ単にその道を極める人と思われがちですが、その極めていく過程の中で人間性を高めていくことが本当のプロではないでしょうか。

 例え新人でも、一度お金貰って仕事をするのであれば、その人はれっきとしたビジネスのプロです。

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■仕事のルール53「言われる前に自分から率先してやろう」

 人間というものはとにかく自分中心に考えがちです。

仕事をする上でも、やはり自分のペースで進めたいもの。上司から「あの書類はまだか?」と言われると、今やろうと思っていたのに!と憤慨してしまいますよね。

 ある意味「自分中心」で人間社会が成り立っているとするならば、仕事も自分中心で進めていけるリズムを自分で作ればいいのです。「言われる前にやる」というリズムを。

 会社は、あなたを雇用した以上、当然のことですが、あなたに給料に見合うだけの働きを期待しています。それはあなたも納得済みで就職したはずです。

 そして、あなたが期待以上の働きをしてくれるなら、その報酬として昇給があり、昇進があるわけです。ならば、常に知恵や勘を働かせて、上司が何を望んでいるのか、会社が何を自分に要求しているのかを、いち早く察知して専念したほうが得ですよね。

 今、世間では「勝ち組」「負け組」という言葉が流行っていますが、本当の人生の勝ち負けは最後までわかりません。勝敗は人生の一場面をとっただけでは判断できません。

 しかし、色々な人生の局面で、あなたの選択の価値判断が正しかったか間違っていたか、つまり損をしたのか得をしたのか、ということの集大成が、最終的な勝ち負けを決めていくのではないでしょうか?

 そう考えると、一日一日、仕事の上でも「勝ち組」を目指して努力をしたほうが得です。上司に言われなくても、早く出勤して掃除をする。自分の仕事以外であっても、何かできることはないか、常に考えて行動する。そんな面倒くさいことなんて、マジメに働いても損だ、と思うかもしれませんが、これは会社のため人のためのようで、実は自分のためになっていることに気付いてください。何事も率先してやるということが、上司に認められ、まわりの評価となり、必ずあなたの得することとなるのですから。

 つまり、ちょっと人より知恵を働かせ、機転を利かせて人より多く働くことは、一見損しているように見えます。実は、全部自分に帰ってきて得をするという、究極の「自分中心」の生き方になっているのですね。

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■仕事のルール54「人に変わってもらいたければまず自分が変わろう」

 あなたのまわりに相性の合わない人、どうしても気が合わない人はいませんか?また、もう少しこうであってくれればと思う上司とか同僚とか。気の合う人と合わない人、顔を合わせると、どうしても嫌味な一言を言われてしまう人が必ずいますよね。避けて通れる関係ならいいけれども、そういうわけにもいかない場合、どうすればいいのでしょうか?

 本音を言えば、相手に変ってもらいたい、しかしそれは相手もあなたに対して思っていることかもしれません。ではどうすれば?

 こういう時、私はこの言葉を思い浮かべることにしています。

 仏教の教えに「依正不二(えしょうふに)」という言葉があります。

 これは、業の深い人間が集まる娑婆世界で、いかにしてより良い人間関係を作っていくか、ということの答えになっています。簡単に言うと、自分と自分のまわりを取り巻く環境は、別のものではなく一体であるということでまわりに起きる出来事も、まわりにいる人間も、すべて自分自身の心の状態を映す影なのだと教えています。

 自分が動けば影も動きます。影に合わせて自分が動くことはありません。

 というように、環境を変えたかったらまず自分を変えよという原理です。

 はじめてこの言葉を聞いたとき、「なるほど!」と思いました。

 相手を変えるのは難しいことですが、自分を変えてみることならできますよね。

 先日、ある会社の新人社員さんより職場の上司とうまくいかないという相談を受けました。いつも高飛車で、自分勝手な命令ばかりする上司についていけないというのです。「あなたが少し心を広げて、上司の誕生日などにちょっとした贈り物をしてみては?」と私はアドバイスしました。

 彼は、用事がない限り話しかけるのもイヤな上司の誕生日に、意を決して小さなギフトをしたそうです。すると、その上司は意外そうな顔をしましたが、それからはたまに笑顔で声をかけてくれるように変ったそうです!

 ちょっとしたことですが、相手より少しだけ心を広く持つことですね。

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■仕事のルール55「まず相手の意見を聞こう」

 「一を聞いて十を知る」

 この言葉を聞いたことはありますか?

 その人が、何を言おうとしているのかほんの一言で、理解してしまうと言うことです。確かに効率的ですね。でも、一を聞いて理解したことが本当に全て合っていたかどうかは、全部聞いてみないと分からないのです。

 ですから、まずは相手の話を全て聞くことです。

 例えば、最初の一言で自分の考えとは全く違う意見だったとします。そこで「それは違う!」と反対あるいは心の中で否定してしまったら、その意見を導き出した理由まで理解できないようになってしまうものです。

 もしかしたら、途中までは同じ考え方だったかもしれません。

 同じ考えなのに、結論が違っているとしたら、その導き方を学ぶことで、自分にとっても新しい思考の方法を学ぶことにつながるのです。

 コミュニケーションやプレゼンテーション能力を売り物にしている我々経営コンサルタントの世界でも、まず相手の意見を聞き、その内容を正確に掴む能力が非常に大事とされています。

 また、たとえば仕事上で上司の指示を話半ばで理解した気分になって、勝手に進めてしまったとします。さて、仕事も全部指定された時間よりも早く終わったと思い、上司に提出しました。ところが、肝心な部分が違っていたのです。そうなると、もちろんやり直し。指定された時間よりも膨大な時間を使うことになってしまいます。

 上司の評価はどうなるのでしょう。「一を聞いて十を知る」とはほど遠い

「話をきちんと聞いていないヤツ」と思われることは間違いありません。

 最初にきちんと話を聞いておけば、効率よく、そして最初の段階できちんと仕事ができていたかもしれません。きちんと指示された仕事を効率よく、そして正確に行うことこそが、経験の浅い若い世代の社会人がまず求められることなのです。

 「早合点」はほめられるものではありません。

 誰にでもできることだけど、なかなか誰にもできない「最後まで話を聞く」ことが人から評価される第一歩なのです。

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■仕事のルール56「会いたい人にはどんどん会おう」

 いろいろな本を読むと、自分が経験していない知識も身につくことがあります。それがたとえ恋愛小説でもいいのです。様々なことを全て自分で体験しなければならないとなると何回人生をやりなおしても太刀打ちできませんから。

 それなら、作家の考えた人生を擬似的に空想の中で体験すればいいのです。主人公になってもいいでしょう。主人公の親友でもいい。またライバルというのもおもしろいかもしれません。ただ、小説だとどうしても自分の思ったように登場人物は動いてくれませんし、自分の疑問にも答えてはくれません。やはり、生身の人間に会うのが一番だったりします。

 テレビに出ている人に意見が言いたいと思っても「そんな機会はない」と諦めていませんか?その人のWebサイトを見てみてください。講演会のスケジュールが載っていませんか?ディスカッションの時間はありませんか?芸能人などは自分と意見を交換する機会というのは少ないかもしれませんが作家や評論家、ジャーナリストなどは意外と意見を交換できる機会はあるのです。

 また仕事上で会いたい人もいるでしょう。会いたいと思ったら、まず連絡してみましょう!とにかく、お願いしてみて下さい。相手があなたのその積極性を高く評価してくれることも多いのです。会いたい人に会うと、その人になぜこんなに会いたかったのか、すぐに分かる場合があります。空気というのでしょうか。不思議と波長のようなものがあるみたいですね。

 私は、学生時代から相手が有名人であろうと、会いたいと思った人には必ず出会うようにしてきました。例えば、経営学を勉強していたとき、その道の世界的大家、ピーター・ドラッカー博士や故エドワード・デミング博士の本を読み、実際に直接質問をしたくて会おうと思いました。

 みんなに会ってもらえるわけがないと言われましたが、意外にすんなりと会って頂きました。彼らの本で分からなかったことを伺ったところ、具体的にかつ丁寧に説明頂き、深く納得できました。その面談はその後の勉強や仕事に大きな励みとなっています。

 人に会うことは、頑張れる原動力を得るのみならず、自分の経験や人生を豊かにしてくれることが多いです。

 また、人の経験談を直接伺うことは自分の経験にもすることができます。

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■仕事のルール57「発言は短くポイントをついて」

 人前で発言する時、どうしても緊張し説明が長くなったり、反対に周りの目が気になり過ぎて、発言自体を止めてしまう人がいます。

 これは外国語を学ぶ日本人とよく特徴が似ているんです。

 「間違えたら恥ずかしい」「反論されたらどうしよう」「それなら話しかけない方がいい、話さない方がいい」というわけですね。極度に反論を怖がるため、却って説明がだらだらと長くなりますし、間違えたら恥ずかしいと思うことから、曖昧な表現に終始してしまいます。

 「この商品は、軽量化するために塗装も内部も軽く作っています。軽いといっても、別に単純に薄くしたわけではなく、○○という技術を使い、この技術はうちで開発したんですけどね。あ、軽量化したからと言って壊れやすくなった訳じゃないですよ。それに小型化もできたんです。持ち運び便利ですよ。それと・・・」

 これはありがちな商品説明ですね。

 でも、これでは、商品の一番の売りがなんだかさっぱりわかりません。

 「何よりも軽くしたことがこの商品の一番の特徴です。軽量化し更に小型化にも成功しました」

 だけで十分伝わりますよね。軽くしたから壊れやすくなるとすぐに考えることはないでしょう。質問されたら答えればいいのです。

 「どうやって軽くしたの?」には、「塗装面と基盤の軽量化です。強度には問題ありません」

 ほら、この方が、この商品は、「軽くて小さくなったけど、壊れないんだ」という特徴が伝わりやすいですよね。何が違うのでしょうか。

 一番伝えたいことをポイントを付けて短く伝える点です。

 一回の発言で言いたいことは一つ、というのは、短ければ短い発言であれば伝わりやすくなりますよね。細かい説明は後で十分できますし、技術的なことなどは言葉で聞くよりパンフレットなどで読んだほうが理解しやすいものです。

 全ての情報を整然と伝えようとするのではなく、一番伝えたいことを短い発言でポイントをつけること。これが相手の心に伝わり易いテクニックなのです。

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■仕事のルール58「まず整理整頓から」

 社会に出ると、一つのことだけに関っているわけにはいきません。仕事ももちろんです。一つのプロジェクトに集中したとしても、担当している会社や商品・サービスは多岐にわたっているのが、「普通」のことです。

 ついスケジュールが押してくるとしてしまうことの一つに、「上にどんどん重ねる」というものがあります。終わっていない作業がありながらも、次のものに手を付けなければならない場合、終わっていない作業をそのままにして、その上に新しい仕事を積み上げるのです。二つや三つなら、なんとかまだ対応できるかもしれませんね。でも、それが、四つ以上になったときを想像してみてください。

 また、積み上げるだけではなく、「場所をどんどん移動する」というものもあります。デスクの上だけではなく、デスクの下のスペース、デスク横にあるキャビネットのスペースにまで広げ、しかも重ねていったとしたら・・・。何がなんだか分からなくなるでしょうし、重ねたものはいつかは雪崩を起こすでしょう。

 そして、もう一度周辺を見回してください。

 スマートに仕事をこなして成績を上げている人、仕事のできる人は、デスクの周りが整理整頓されていませんか?会社から帰宅するとき、デスクの上がきれいな人に仕事のできる人が多いのではないでしょうか。

 効率を追求する経営コンサルティング会社である弊社も、整理整頓できている人ほど仕事が速く正確です。

 同じプロジェクトの中の仕事であれ、取りあえず一つの作業から次の作業に移行する時には、きちんとファイリングすることです。「いちいち片付けるのは手間が掛かる」と思うかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。実は、結果的にはその方が効率が上がるのです。加えて整理整頓することによって、仕事の流れを再確認することにもつながるのです。

 更に会社から退社するときには、デスクの上をきれいに整頓する。

 それだけで気持ちがリセットされ、オンとオフの区別がしっかりつきます。

 この区別が次の仕事への活力となります。

 整理整頓は効率的に仕事をする上でも、また職場での精神衛生上必須条件です。

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■仕事のルール59「まず何のためにやるのか考えよう」

 上司に何か仕事を頼まれたとしましょう。例えば、資料集めだとします。

 単純に日曜日午後五時から午後十時までのテレビ番組ごとの平均視聴率を調べることになりました。

 これは、インターネットや各テレビ局などで調べることは可能ですね。もしかしたら一時間もかからないかもしれません。でも、それではアルバイトの人でも、あるいは高校生でもできることではないでしょうか。

 社会人なら、評価してもらいたいなら、ここで一つ頭を働かさないといけません。それは、「上司が何のためにその時間の視聴率を欲しているのか」を考えることです。ただ、数字を示せばいいのか?本当はそれだけでいいのかもしれません。

 ただ、例えばスポンサー名や番組の出演者などを書き添えてあると丁寧ですね。丁寧、というだけではありません。もしかしたら、後で必要になるものなのかも知れないのです。

 ある指示をされたら、その指示は何のためになされたのかを考えましょう。

 「何に使う資料なんですか?」と一言質問してみてもいいでしょうね。

 実は、たいして英語力も専門能力もなかった私が、米国の大手国際会計・経営コンサルティング会社でスピード出世できたのも、上司がこの点を高く評価してくれたからです。何か頼まれる度に、上司が何のために必要かをまず最初に把握するようにしました。私の仕事は質的には高いものではありませんでしたが、彼らが一番必要な情報を提供し続けたことによって部下としての満足度はかなり高かったと後で聞きました。

 ここがポイントです。

 まず、自分を上司の立場においてみることができるかどうか。自分だったら指示したもの以外に何があったらさらに効率的か、そこにどれだけ気が付くか。これが重要なのです。

 お茶一つ出す時でも、この気持ちがあれば変わるのです。

 夏だからといって必ず冷たいものなのか?そうでもない場合もあります。車でずっと移動している場合など、意外と体が冷えていて温かいものを飲みたくなるものです。

 そういったことも、ちょっとした頭の働かせ方次第で浮かんでくるのです。

 ですので、絶えず自分を相手の立場に置き換えて考える癖をつけましょう。

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■仕事のルール60「前向きに生きている人とのネットワークを広げよう」

 人はお互いに影響しあって生きています。

 たとえ孤独な一匹狼を気取っていても、必ず一人ではないのです。孤独を感じるのは、自分以外の人がいるからです。ということは、何らかの形で影響しあっているということですね。

 どうせ影響しあうなら、好影響の方がいいですよね。いい影響とは、いい生き方をしている人に影響されるということです。いい生き方と簡単にいっても何がいい生き方なのか、それが難しい。そこで、一番手っ取り早いのが「前向きに生きている人を探す」ことです。いわゆる「ポジティブシンキングの人」ですね。

 ここで一つ間違えてはいけないのが、ただの楽天家とか、結果を全く考えずに突き進むだけ進み、失敗してもその失敗の原因を考察しない、ただの向こう見ずな人を前向きにとらえることです。これは明らかに違っています。最悪な結果まで予測して、そうならないように考慮しながらチャレンジしていく。万が一その最悪の結果になったとしても、そこで思考をストップすることなく、二度と同じことのないよう自分なりに考え手を打っていく人のことです。

 そういう人達がまわりにたくさんいたら、さまざまな前向きの方向性の影響を多く受けることになります。どうやってポテンシャルを維持するのか、モチベーションはどうやって保つのか、緊張感はどうやって和らげるのか。そういった学校では教えてくれないことを、身をもって体験することによって影響しあえるのです。

 私の顧問先を見ますと、前向きに生きている社長の周りには必ずと言っていいほど、社内外に前向きに生きている人たちが集まっています。「類は友を呼ぶ」ですね。

 周辺に前向きな人たちのネットワークを作っておくと、その数は各方面からどんどん増えていきます。仕事のヒントとなる何かが得られるかもしれませんし、重要な人脈が作れるかもしれません。

 人は一人では生きていないのです。

 どうせなら、前向きな人たちとできるだけ時間を共有し行動を共にすることをお勧めします。そうすれば、気が付いたらあなたも「前向き人間」になっていることでしょう。正に「朱に交われば赤くなる」ですね!

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■仕事のルール61「電話対応能力を高めよう」

 ファーストインプレッション、つまり第一印象がとても大切なものだというのは、それぞれの経験で知っていることと思います。最近、特にビジネスの世界では、第一印象が’声’というのが一般的ではないでしょうか。

 いきなり相手を訪問するというのは少ないでしょう。まず、電話で相手の都合を伺い、その後、時間を設定し、そして会う。第一印象は重要なのですが、実はこの電話での対応がとても重要といえるのです。

 たとえば、自分が直接お会いする予定の人でない場合も同じです。同僚に取引会社の人から電話があったとします。その時に同僚が外出だった場合、あなたはどう対応しますか?

 「あいにく外出しておりますが、お電話があったことをお伝えしましょうか?」

 そのような問いかけに、相手は

 「いえ、またかけ直します」

 と言ったとします。

 そのままにしてしまうようなら、電話対応能力はないと言えます。

 どんなときでも、「どこ」の「誰」から「何時」に電話が入り「どんな話」をしたかはメモに残すべきです。

 「かけ直す」といわれた場合でも、「かけ直すと言っていました」というメモを残せばいいのです。この電話をかけてきた相手の人は、実はすでに数回電話をしている場合もあります。その都度、「かけ直す」と言っていたとしても、メモが残っていれば、折返すこともできるでしょう。

 迅速なコミュニケーションを要求されるコンサルティング業界では、すぐに連絡しなければならない緊急事項も往々にしてあります。私の場合、いつ誰から何の用件で電話がかかってきたかなどを秘書に携帯メールまで通知してもらうようにしています。場合によっては会議中でもすぐに中座して即電話を折返すこともよくあります。

 電話は大事な第一印象です。

 声の調子だけでなく、対応の言葉使い、そして電話を切った後の対応も重要です。

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■仕事のルール62「電話に出られない場合は{接客中}と伝えてもらおう」

 実際にあったケースです。

 「お電話ありがとうございます。株式会社○○○○でございます」

 「△△△株式会社社長の安田と申しますが、斎藤専務お願いいたします」

 「いつもお世話になっております。あいにく、ただ今斎藤は会議に出ておりますが・・・」

 「それでは、吉田常務か大山部長はおられますか?」

 「申し訳ございません、吉田も大山も同じ会議に出ております・・・。戻りましたら、お伝え致しますが、何かご伝言はございますか?」

 「う~ん、困ったな・・・、ちょっと急いでおりまして・・・。何時くらいにその会議終わりますか?」

 「もう終わる予定ですが、長引いているようでございます・・・」

 「わかりました。それではどなたか戻られましたら、△△△社の安田まで至急電話頂きたいとお伝え頂きますか?」

 「かしこまりました。そのようにお伝え致します・・・」

 この後、会議を終えて、斎藤専務、吉田常務、大山部長は戻ってはきましたが、会議が長引いたことから三人とも遅れてしまった次のアポに飛んで行ってしまった。ですので、安田社長には電話できませんでした。

 これは非常に問題です。

 なぜなら、△△△社は○○○社の顧客候補であり、安田社長は実は取引の提案書の件で至急誰かに連絡を取りたがっていたのです。○○○社には社内会議で誰とも連絡がとれずその後も連絡がもらえませんでした。

 つまり「あなたからの電話より社内イベントのほうが大事です」と言われたようなものです。結局、よくある話ですが、気を悪くした安田社長は内定していた△△△社との取引を白紙に戻しました。

 このような場合、正直に「会議中」と言うより「接客中」と伝える方がベターです。顧客の方は、接客なら自分同等(顧客)とのアポであるため、顧客を大切にしているとの理由から納得できます。

 即ちこの方が顧客に敬意を払っているのです。「嘘も方便」とはこのことでしょう。

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■仕事のルール63「仕事を楽しめる自分なりの方法を見つけよう」

 一日24時間、一週間で168時間となります。毎日7時間睡眠をとったと仮定して、睡眠時間の合計が49時間です。起きている時間だけを考えると、一週間に119時間しかありません。仕事をしている時間が、毎日1時間残業するとして9時から18時(昼休み1時間)、月曜日から金曜日とすると1週間で45時間。通勤で往復1時間半と想定すると7・5時間必要です。週の半分は完全に仕事で使われている計算になります。

 しかも仕事が終わったからといって、すぐに完全に自分の時間かと言えば、職場の付き合いもあるでしょう。となると、月曜日から金曜日は、起きている時間はほとんど仕事に費やされています。

 起きている間に、こんなに仕事に関っているのですから、嫌々仕事をするなどは、それこそ時間の無駄。もっと言ってしまえば、人生の無駄になります。どうせ同じ時間を過ごすなら、楽しまないともったいないですね。

 どんなに辛いことがあっても、無理矢理笑顔を作ることで、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)という腫瘍細胞を融解する機能をもつ細胞の数を増やすと言われています。全てが「病は気から」という訳ではありませんが、気持ちの持ちようで多少の変化は望めるということでしょう。

 仕事の多くは、辛いものでしょう。数字で競わなければならない仕事もあります。よりよいアイデアで他社との戦わなければならないものもあります。時間との勝負という仕事もあるでしょう。相手を蹴落とすという種類の仕事など楽しいと感じるよりも辛いと感じる人の方が多いかもしれません。

 そういう場合、ほんとうに小さいことでいいので、仕事の一端でも好きになりましょう。無理してでも好きになりましょう。無理してでも好きになるのです。営業にいくその電車の中が楽しい、それでもいいんです。

 自分のアイデアが、最終地点であるユーザーが喜んで使っている、ということをイメージするだけでも、喜びに変わるかもしれません。

 とにかく、無理してでも楽しめる部分を探しましょう。

 そのうち、無理をしなくても楽しめるようになります。

 そうすれば、またほかの楽しい部分が見えるようになり、最終的に仕事全体が楽しく感じるようになるのです。

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■仕事のルール64「何事にも、誠実に対応しよう」

 ある時、営業に配属になったばかりの新入社員が先輩に付き添って飛び込みで営業先候補の会社を訪問しました。着くなり先輩から一喝。

 「僕も入社してすぐに一人で営業やらされたから、君もここからは一人でやってごらん」

 「は~?先輩!それは・・・。まだ、営業の何もわかっておりませんが・・・」

 「何言ってるんだよ!既に営業研修受けたじゃない。実際に営業の実演やったでしょう。」

 「は・・・い・・・。でもあれはあくまでもロールプレイでしたので・・・」

 「いいからやってごらん!そうじゃなきゃ、いつまでたっても営業できないよ!」

 「・・・」

 その会社の受付前で、こんな会話をしていた時、そこの社長が帰ってきました。

 「お帰りなさいませ、社長!先程からこちらの方が社長にご挨拶したいと待っておられますが・・・」

 と受付嬢が紹介してくれました。

 「何でしょう?」

 「はい、人材紹介業をやっております○○○株式会社の萩原と申します。新任でこの地域担当となりましたので、ご挨拶にまいりました」

 「それはわざわざありがとう。ただ、うちは紹介会社を使わないから、悪いけど遠慮しておくよ!」

 こんな会話から始まった心もとない営業だったが、そんとその新人はこの三ヶ月後にその会社から仕事をとってきました。理由は簡単です。毎日のようにその会社に行き、なんでも困っていることのお手伝いをしたため、社長はその新人の直向な態度からくる誠実さに心打たれたとのこと。遂に専属でその会社との契約を獲得。

 私も同様の経験があります。

 米国ではありましたが、新卒で入社間もない頃、ひたすら営業先企業の社長さんの相談に乗りお手伝いしたところ、初めての私の顧客になって頂きました。ビジネスの上で必要とされている経験・知識・自信は当時まったくありませんでしたので、先方からの質問やリクエストにただひたすら誠実に全力で応えるだけでした。

 その時、国は変われど、誠実は最高の戦術であり営業ツールだと痛感しました。

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■仕事のルール65「先輩に敬意を払おう」

 仕事ができる先輩、あまり芳しくない先輩、優しい先輩、冷たい先輩などさまざまな先輩がいるでしょう。全ての人に同じように対応するのは難しいでしょうし、それを推奨しようとは思っていません。恩をうけた人にはそれなりの対応をするのは当たり前です。

 ここで言いたいのは「一日の長」ということです。自分よりも長く生きている人のことですが、仕事の面では特に一年二年は大きな差です。それだけ大きな経験をどんなタイプのの先輩に対しても、敬意を払わなければならない理由は分かるでしょう。

 「年長者を大切にしろということですね?」

 そうでもあり、そうでもないのです。ただ単純に大切にしろというのではありません。意見の対立を見たとしても、先輩の意見をよく聞き、その意見にあわせて自分でもう一度検討してみる。もちろん、さまざまなシミュレーションもしましょう。相手の意見をきちんと検討し、検証した上で自分の意見が正しいと導き出されたのなら、それをきちんと話す。

 単純に「年上の言うことを聞く」のでは敬意を払ったことにはなりません。

 きちんと検討することこそ、敬意を払うことになるのです。

 もちろん、無理難題を言われることもあるでしょう。それでも「検討」してみるのです。その態度は、必ず先輩に伝わるはずです。

 米国で国際会計・経営コンサルティング会社に入社したとき、私の能力は他の新入社員に比べ著しく劣っていました。先輩方が、経験・知識・専門能力のない私になぜ高いレベルの仕事を頼んでくるのか分かりませんでした。当初は苛めとしか考えられませんでした。

 しかし、自分が部下を持つようになってわかりました。あの先輩方の厳しさがあったから、必死に自分を磨くことに毎日専念できたのだと。今は本当にあの先輩方に感謝しています。

 敬意を払うことは、盲信することでも、服従することでもありません。

 そこをしっかり理解した上で、先輩に敬意を払った行動をとることはとても重要なことなのです。

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■仕事のルール66「毎日、To Do List をつくろう」

 仕事を覚えたての頃は、とにかくやることがたくさんあり、時間に追われる日々になってしまうでしょう。それもある意味では致し方ないかも知れません。

 ただ、毎日なんのために何をやっているか考える暇もなく、ばたばたと過ごしてしまっては、仕事を覚えるにも非効率です。そのため、会社にちょっと早めに行って、「今日やるべきこと」リスト(To Do List)をまず書き出しましょう。最初はそれだけでいいです。終わったものから線で消していくといいでしょう。

 とにかく、何をするかを理解するために書き出すことが必要です。

 書き出すことによって曖昧だったことがより明確になります。

 その作業に慣れてきたら、優先順位を付けていきます。仕事というのは時間とともに変化しますから、リストを作ったとしても途中で変ることもあります。もちろん、変更には柔軟に対応します。優先順位も同じで、朝考えた優先順位に縛られることはありません。

 自分が考えていた優先順位と、実際の仕事の流れの差が分かるだけでも十分、リストを作った価値がありますし、仕事を進めていく上で大きな効果があります。

 米国の一流のプロフェッショナル(弁護士、会計士、ビジネスパーソン、バンカー、技術者、研究者など)や経営者は、このリストを作り毎日実践しています。また、多くの米国企業は社員にリスト用紙を定期的に配っています。日本でも生産性を重視している職業であればあるほどこのリストを利用している人は多いのです。

 仕事の流れも優先順位も覚え、柔軟に対応できるようになった。そうなったとしても、リスト作りは続けましょう。人間は万能ではありません。つい何かを忘れてしまうことだってあります。リスト作りは習慣とするといいでしょう。1冊のノートを作れば、仕事の一連の流れも読めるようになります。

 他の仕事で何か躓いたときに、そのリストノートに解決のヒントが隠れているかもしれません。

 全ての経験を100%覚えていることはできません。

 書きとめておけば、いつか役に立つこともあるのです。

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■仕事のルール67「他人と比較しない」

 受験戦争、競争社会、新階層社会、ヒエラルキー、これは比較が元になっている言葉ですね。受験戦争も自分との戦いだけでなく、他の受験生よりも一点でもいい点数を取ることを目標に勉強して、試験を受けないといけません。同僚との出世争いもそうです。

 でも他人と比較して自分を評価するということの意味を考えてみましょう。他人がいなければ、評価の基準がないということになります。あの人と比べて自分は・・・。では自分自身、個人ではどうなのか、という絶対評価はそこには生まれてきません。

 目指すべきは「あの人はこういう人だ」という評価なのです。

 誰かを目標にするのも、誰かをライバルにするのも、どちらもいいことだと思います。それが自分を磨く原動力になるのですから。

 競争相手を想定してはいけないというではないのです。それだけになってはいけないということです。

 他人と比較した偏差値教育やすべて満遍なくこなすことを重視する教育に合わなかった私は、日本では超劣等生でした。それが米国に行った途端、劣等生ではなくなりました。

 私はある分野の数学だけが大好きで、ある程度できましたから、それが米国では高く評価されました。ですので、その分野の勉強は好きで努力するため、さらに好きになり力もつき、成果を出していく私への評価は段々高まりました。その分野で国際的に認知頂いた時は、さすがに学者の道も考えました。

 米国に行って最大に得たことは自分が他人と比較しなくなったことです。

 また、他人と自分を比較させないことがこんなに気楽で自分らしさが出せるとは思いも寄りませんでした。

 自分への絶対評価があれば、目指すべきものもはっきりと見えてくるでしょう。やるべきことも見えるはずです。絶対評価同士で他者が、勝手に比べてくれるのはかまわないのです。

 自分自身の中では、常に「自分を磨く」ことを心がけ、絶対評価をあげていくことに努力すべきです。

 比べるべきは、去年の自分と今の自分、そして来年の自分です。

 そうすれば、たとえば配属先が変ったときでも、転勤となったときでも、転職しても、絶対評価はついてきます。自ずと自信にもつながってくるものです。

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■仕事のルール68「決断は素早く」

 時代はまさに ’タイム・イズ・マネー’ です。

 株式市場でも、ほんの数分の違いで大きな差が出ることはよくあることです。

 この10年でインターネットが世界中を網羅し、世界の距離も時間すら短くしてしまったようです。即断即決がなによりも望まれる社会になったといっても過言ではないでしょう。

 こういう話をすると、とにかくインスピレーションで行動すると受け取る人もいるのですが、私はそんなことを言っているのではありません。

 熟考することの大切さは変りません。

 大きな勝負の場合には特に熟考しなければいけません。取り返しのつかないことになる可能性があるからです。そして答えがでたら素早く行動するのです。

 熟考とは長い時間をかけて考えることではありません。

 深く考えるということなのです。今の時代、考える時間は短いほうがいいのですが、だからといって浅く考えて良い訳ではではありません。

 短い時間で深く考えるためには、訓練が必要でしょう。

 大学を卒業し、米国のプロフェッショナルな世界に飛び込んで愕然としました。今もそうですが、あまりに多くのことが連続的に発生し、即決しないと問題が起こるのです。どんどん決めていかなければどんどん問題が進み、やらなければならないことも増えていくのです。下手すると睡眠時間もなくなります。

 その時思いました。

 プロフェッショナルの証は、限られた時間内に深く考えてできるだけ正しい判断を下せることだと。

 まずは、どんなことでも短い時間で深く考えることを実践してみましょう。

 たとえば、今日身に付けるネクタイでいいんです。最初は3分などと時間を区切って、「今日会う相手の趣味は?」「気温は?」など次々に関連する項目を挙げ解決していく。ランチのメニューでもかまいません。「夕飯を食べるのが何時くらいになる予定か?」「消化にいいものの方がいいのか、それとも腹持ちのいいものにするのか」。そんな身近な決断でも訓練はできます。

 あまり難しく考えずに、肩の力を抜いてやってみてください。

 そうしていくうちに、ものをちょっとずつ掘り下げて考える能力がつき、そして素早く決断できるようになるはずです。

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■仕事のルール69「電車・エレベーター内、他人の前では電話しない」

 携帯電話が広がって10年以上が経ちます。最近では小学生までもが携帯電話を持っています。本当に、ちょっと前までは、外出先で電話をかけなければならないときには、公衆電話を探したものです。後ろに人が並んでいたりすると、可能な限り会話を短くしようと工夫したものです。また、すぐ隣でも電話をしている人もいるので、結構、小さな声を心がけていたのではないでしょうか。

 ところが、携帯電話が一般化してから、みなさんが町中でもどこでも、電話できるようになった代わりに、周辺に気を遣うことを忘れてしまったようです。電車の中でどんなにアナウンスしても、いまだ呼び出し音を大音量で鳴らしてる人もいます。

 こういう時には、「最近の若者は」というのでしょうが、呼び出し音を大きく鳴らしているのも、大声で話している人にも、世代差はないようです。

 日本人は「恥の文化」を持つと言われてきました。恥ずかしいことは人前ではしなかったのです。語学を学ぶときには足かせになっている部分もありますが、公共の場、というものを考えると、こと携帯電話に関しては「恥の文化」を持ち続けて欲しいものです。

 電話の内容がプライベートなら、プライベートを他人の前でさらけ出していることになりますし、仕事の話なら極秘事項もあるかもしれません。

 少なくとも、電車などの交通機関やエレベーターなどの密閉された空間では、電話で話をするのは止めたいものです。

 留守番電話機能もついていますので、すぐに折返し電話できるはずです。もしも、どうしても受けなければならない電話だとしたら、出ることはやむを得ないかもしれません。ただしその場合も「5分以内に折り返します」などで、すぐに切りましょう。電車だったら次の駅で降りればいいですし、それが無理なら電話できる時間を相手に伝えればいいだけです。

 本当に今すぐ、という要件は意外と少ないはずです。ほんの数年前までは携帯電話なんてない中で、普通に生活していたのですから。

 携帯電話を使うなというのではなく、使う場所を考えて、極力マナーを持って利用したいものだと言っているのです。

 折り返し電話をすることは難しくありません。

 どこでも大声で話している人って格好悪いとおもいませんか?

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■仕事のルール70「締め切りや約束は絶対に守る」

 物事にはすべて終わりがあります。仕事もそうです。期限というものが必ずついて回ります。また、人との付き合いには、約束というものもあります。

 これは、期限や約束を決めたときに、必ず同意しているはずです。双方が「その日にできる」「可能である」と同意した結果、決められたものでしょう。一方的に押し付けられたものであっても、やると決めた時点で、同意したということになります。

 となると、同意したものは実行すべきです。無理をしてでも絶対に守るこれが基本です。

 とはいえ、守れなくなる事態も発生しますね。さぼっていたわけでもなく、忘れていたわけでもないのに、どうしてもその日時が不可能になってしまう。たとえば、事故にあって入院してしまったなど、不測の事態です。

 それでも、自分の代わりの人をすぐに決めて、期限は守るべきではあります。

 不測の事態が起こった場合、すぐに何をなすべきか。分かった時点で速やかに先方に連絡するのです。なぜ約束や期限を守れなくなってしまったのか、その分どういう形式をとるのかなど、それらフォローの提案をきちんと提示し、相手に受け入れてもらう努力をするべきでしょう。

 学生と社会人、特にプロフェッショナル(プロ)との大きな違いの一つに、締め切りと約束を守ることへの厳格さということがあるのではないでしょうか。米国の経営大学院(ビジネススクール)で夜間のMBAコースを教えていた頃、この差を幾度となく経験しました。

 例えば、宿題やレポートの課題をだすと、昼間働いているバンガー、弁護士、ビジネスパーソンなどは絶対にやってきました。仕事や病気などでクラスに来られない時でも、事前に連絡があり、クラスまで届けるアレンジをします。

 一方時間があるはずのフルタイムの学生の方は、よく宿題やレポートを忘れていたり、時間があったにもかかわらずやってこないのです。結局、時間ではなく、自覚とコミットメントの違いだったのです。

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■仕事のルール71「感動したことを話そう」

 本を読んだり映画を観たら、感動することがあるでしょう。その感動した感情はどうしていますか?恋人と一緒に映画にを観たら、本当の気持ちを隠して、相手にあわせたりしていませんか?

 自分の本当の気持ちを表に出すことは、簡単なようで難しいものです。

 小泉純一郎首相の言葉で「感動した!」というのがありました。ケガを押して土俵にたった横綱貴乃花(現貴乃花親方)が優勝を決めたときに、トロフィーを渡す際に叫んだ一言です。

 「痛みに耐えてよく頑張った」という言葉が頭に来ていたんですね。このように、どんな物に関しても感動したら、その理由があるはずなんです。

 感動を人に話すことは、その時の自分の動きを説明する必要があります。分かってもらうため、共感してもらうためには、整理して話さないといけません。感情的に話しているだけでは伝わらないのです。同じ映画を見ているひとならば、ある程度、勢いで伝わる可能性はありますが、同じところに感動していなかった場合は、「自分はなぜ、どんな理由」でそこに感動したのか、やはり説明しなければいけないでしょう。

 小説などはなおさら困難かもしれません。文字だけを追うわけですから、たとえ同じ本を読んでいたとしても、登場人物の容姿などはそれぞれ違うでしょうし、部屋の作りなども違っているはずです。

 その中で、物語を説明し、感動した箇所を説明し、そしてどういう理由で感動したのか相手にわかるように説明するのです。

 なぜ、感動したことを話さなければならないのでしょうか。

 感想文を書けばいいじゃないか。果たしてそうでしょうか。相手の反応はその相手がその場にいないとわかりません。仕事でも説明しなければいけない場合には、秩序立てて語らなければいけない場面はたくさん出てくるのです。

 自分の感動したこともきちんと説明できないようでは、仕事上相手を納得させることは難しいと言えます。きちんと状況などを整理して説明し、相手を説得する、その訓練のためには、感動したことを人にきちんと伝えることは早道なのです。

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■仕事のルール72「夢を持って思い続けよう」

 子供の時に、あなたは何になりたいと思っていましたか? パイロット?野球選手? 看護士? 保育士? さまざまな夢があったと思います。

 その夢といまの仕事は一緒ですか?

 「子供の頃の夢なんて、叶うものではないよ!」

 本当にそうですか?

 子供の頃になりたかった夢の職業に就くために、どれだけ努力したのでしょうか。努力しても、確かになれないものもあります。プロ野球選手やJリーガーなど、努力でどうにかなるものではありません。

 でも、夢に向けて努力をするということは、その夢が叶わなかったとしても、次の夢、次の目標に向かう原動力になったりもするものです。さらに十分な努力をしたというものは、結果いかんに関わらず、大きな自信と貴重な経験となって身についているはずです。

 私の夢は歳とともに変りました。小学校3年生までは、色々なユニークな建てたかったので大工さん、お金を貰いながら日本中を回りたかったためタクシーの運転手、寿司が好きな両親に毎日思いっきり寿司を食べさせてあげたかったことから板前さん、の順です。

 小学4年からは水泳を本格的に始めたので、高校まではバタフライのオリンピック選手。高校3年の夏に米国に1ヶ月ホームステイした後は今の職業である国際経営コンサルタント。頭が悪く英語が苦手だった私にとっては最後の夢は不可能に近いものでした。夢は努力も何もしなければ、本当に覚めてしまうものなのです。夢に努力が伴えば、現実的な目標になり、目標は人を前向きにし、モチベーションを高め、時にはリラックスや楽しみも伴うものです。

 「いつまでも夢ばっかり追って、子供みたいな・・・」

 という人もいますが、私はそうは思いません。いまの仕事の目標だけでなく、もっと大局的な、もっと将来的な夢を見て、そこに向けて努力することが、なぜ子供のようなのでしょうか。

 私は言います。おおいに大きな夢を持ってください。

 夢のない人には成長がありません。現実をしっかり掴んで、夢を見ることは人生をリッチにするとてもすばらしいことなのです。

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■仕事のルール73「返事はその日のうちに」

 新しい仕事の依頼があったとします。ただし、その段階ではスケジュールの確認ができません。安請け合いはしたくないので、返事は「後ほど、ご連絡致します」となるでしょう。この「後ほど」が曲者です。どれほどの後ほどなのか。いつまで待てばいいのか。

 待っている身になれば、返事はできるだけ早く欲しいものです。そこで、私は「返事はその日のうち」を実践することを進めているのです。

 ここで、「返事」を「YES」あるいは「NO」と決め込んではいませんか?

 必ず、どちらかの返事をしなければならないとなるから、その日のうちの返事がしづらくなるのです。

 仕事でどうしても会わなければならない人がいました。こちら側の都合ですが、どうしてもその人の話を聞きたかったのです。そこで連絡したところ「そちらの都合のいい日時をいくつかあげていただけませんか?」との返事。

 もちろん、複数回の候補を伝えました。すると「スケジュールを確認してご連絡致します」との返事でした。

 ところが、候補に挙げた最初の日時が来ても返事がありません。その時間は「もしかしたら、会えるかも知れないから」と空けてあります。折返し電話がもらえるというのに、こちらから電話をするのも気が引けましたが、再度連絡すると同じ返事でした。「これは、会う気がないな」と諦めたのですが。

 一方、ほかの方にアポイントを取りました。会話の流れは、全くと言っていいほど同じものでしたが、最後に一言「この日程の候補で時間がとれるかどうか、あるいは本日中に日程を決めるか決められないか、夕方までにはご連絡致します」と付け加えられたのです。

 そうなると、取りあえず待っている時間は今日の夕方までになります。

 明日になれば、また違った予定を組むことも可能なのです。

 このように、返事をその日のうちにというのは、「何らかのアクションをその日のうちにする」ということです。「本日はきちんとした回答はできません。明日まで待ってください」というのも、返事の一つなのです。待っている人の身になれば、容易にわかりますが、そこに気付くか気付かないかで電話の印象は大きく変るのです。

 その日のうちに何らかの’アクション’を伝えることを心がけたいものです。

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■仕事のルール74「出会いを大切に」

 日本には、お年寄りから生まれた赤ちゃんまで入れて、1億3千万人がいます。80歳まで生きるとして、生まれた瞬間から年間20人の新たな人に出会い続けたとしても、1600人にしかなりません。月に20人出会ったとしても、1万9200人です。それほど、その人と出会うことは貴重なのです。

 年間20人とすると人生で1600人。その人は1600分の1ですが1億3000万人の1でもあるのです。それほどの確率でせっかく出会ったのですから、そのままにしておくのはもったいないですよね。

 仕事で多くの人に出会うとしても、一生で1600人はかなり難しい数であるでしょう。生まれた直後の出会いは本人は分からないわけですし、会社を退職してしまうと、なかなか新たな人に出会う機会は減っていきます。

 先日、ベンチャービジネスで成功した若手起業家の会に参加しました。彼らになぜ成功できたのかを伺ったところ、皆さん一様に「運がよかったから」と言います。じゃあ、なぜ運がよくなったかと聞きますと、「いい人と出会ったから」とか「ビジネスパートナーとの出会いがあった」というのです。

 何においても成功に欠かせないことは「いい出会い」だと講演の度に私は話しています。なぜ「いい出会い」が成功に必要かと言いますと、いい人がいい情報やビジネスチャンスを持ってきてくれるからです。

 人間、能力があると言っても、一人の人間ができることは限られています。ビル・ゲイツにしても、マイケル・デルにしても、勿論、能力があったのは言うまでもありませんが、いい人に出会い、協力・支援してもらえたからこそ、若くして短期間で世界的な企業を創り上げ、莫大な個人資産も築き上げることができました。

 人との出会いを大切にすれば、ビジネスはもちろん、人生にも大きな価値と幸運が生まれます。その人の価値観、人生観、死生観など語り合うこともできますし、それによって自分の中に新たな考え方も生まれるのです。

 せっかく出会えたのですから、自分の人生の中でも、その出会いを色のあるものにしようではありませんか。

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■仕事のルール75「経済力より信用力を」

 ライブドアの社長、堀江貴文氏。今、彼の名前を知らない人はいないでしょう。彼の会社と個人名が一躍新聞紙上をにぎわしたのが、プロ野球新規参入騒動の時です。経営不振で解体・合併を余儀なくされた「近鉄バッファローズ」の買収に手を挙げたのでした。

 当時、彼の話は何も間違えてはいませんでした。

 「自分のところにはお金がある。地元ファンも存続を望んでいる。選手も望んでいる。それなら、お金のある自分たちが買い取って、経営をしましょう」というものでした。この時、プロ野球経営者やその周辺は、彼の発言に対して反発したのではなく、彼の容姿でした。

 曰く「人前に出るのに、Tシャツとはなんだ」「礼儀知らず」「金さえあればいいと思っているのか」・・・。

 経営陣が経営に失敗し、選手やファンを路頭に迷わせようとしている時です。その責任者が「お金があるから買うよ」と言っている人に、そんな物言いがあるものかと思ったものです。堀江氏が問題提起したプロ野球問題は、結局、一つのチームがつぶれ、新しいチームが生まれるという「一

体なんの騒ぎだったのか」という結果に終わりました。しかも、新しいチームを作ったのが、同じIT関連企業の楽天だったのです。

 このとき、社長の三木谷浩史氏は、自慢のひげをそり落とし、ばっちりスーツで決めてきたのです。容姿は信用にもつながるという、日本の不思議なところでもあります。

 その後、ニッポン放送の買収劇、いわゆるホリエモン騒動に関しても、堀江氏の行動は法律的になんの問題もない、と東京高裁レベルで判断されたにも関わらず、非難を受け続けました。これはひとえに「経済力」よりも「信用力」の問題ということです。

 マイクロソフトのビル・ゲイツもTシャツで人前にでます。しかし彼はソフトウェアを作って広めたという信用が、容姿よりも大きいのでしょう。

 「お金があれば、格好なんてどうでもいいじゃないか」

それも事実かも知れません。しかし、信用できない人と仕事ができますか?

 信用を構築するまでは、見た目で勝負するのが一番なのです。経済力をひけらかすと逆効果なのです。

 一番はお金ももっているが、そのお金を生み出したのが信用力、というのが理想ですね。

 お金で信用は買えません。

 しかし、信用がお金を生むことはよくあることです。
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■仕事のルール76「ピンチをチャンスに」

 順調に人生を送ってきた人が、小さなつまずきでも耐えきれず、そのままドロップアウトしてしまうことがあります。打たれ弱い、という言い方をされることが多いですね。

 昔は「苦労は買ってでもしろ」と言われていました。ピンチも苦労の一つです。わざわざ買う必要はありませんが(笑)。ただ、ピンチは人を成長させます。苦境に立ったとき、人は全ての感覚を使って、その危機から脱しようとします。そこには、通常では思いつかないようなアイデアが埋まっているのです。いわゆる「火事場のバカ力」ですね。

 リミッターが切れた段階で、ようやく出てくる力のことです。これは潜在的に持っているのに、危機に立たされるまで浮かんでこない種類のものなのです。ピンチ・苦境に何度か立たされると、脱出方法も学ぶようになります。最初の機会ではピンチだったかもしれませんが、同じことに2度目にあったときには、それはすでに「経験済み」となるわけですね。

 私は、経営大学院留学のため、日本の大学の卒業式を待たず、さっさと渡米してしまいました。7校も受けたので、どこか1校くらいは入るだろうと思い、周りの人に留学宣言したところ、祝賀会までやってくれました。ところが渡米後、すべて受験に失敗。途方にくれていたところ、元々その会社で働きたかったため経営大学院を受験した、米国大手国際会計・経営コンサルティング会社に無事採用。ピンチでしたが、結果的にはチャンスになりました。

 ただ、ピンチの時には必ず脱出できるとは限りません。脱出できず負けてしまうこともあります。負けから学ぶことも大いにあります。これも経験です。ただし、この経験を以降、間違えて使っては困ります。負けることに慣れてしまう、いわゆる「負け癖」がつくような経験にはしてはいけないのです。負けた時にでも、負けを認め、その中から負けた理由・原因を学び、次に負けないように回避方法を身につけて、次にはしっかり脱出する。負けの経験は、次の価値につなげる経験値としなければ、経験が無駄になってしまうのです。

 ピンチを知っている人間は、それだけ通常では出てこない力を使った経験があるということになります。これは、ピンチに陥っていない人よりも大きな知恵にもなり、大きな武器にもなるのです。こんなチャンス、望んで手にできるものでもありません。多いにピンチで学び取ることをお薦めします。

 つまり、ピンチは望んでもできない大きな経験ですよ。

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■仕事のルール77「好きな本を読みまくろう」

 恋愛小説、サスペンス、SF・・・。小説にもさまざまなジャンルがあります。また、ノンフィクションも、あらゆるジャンルが揃っています。

 「仕事が忙しくて、本なんて読んでいる時間がない」

 という人もいますが、いくらでも本を読む時間はあるはずです。

 本を読むべき理由は、一人の一生では体験できないことがたくさん詰め込まれているからです。例えドロドロ恋愛小説であろうと、絶対にこんな状態は自分の人生にはありえない、と思うようなものであろうと、仕事関係に置き換えてみたら、意外と似ていたりしませんか?

 また、文章を多く読むということは、知らず知らずのうちに、文章を書く能力を上げる側面もあります。文章を読む力、読解力が高まると、物事を頭の中で整理することが訓練されます。物事が整理されれば、何かを相手に伝えるときに、きちんと整理して話すこともできますし、文章も同じように整理して書くことができるようになるのです。

 私は高校を卒業するまで、読解力が大嫌いで大の苦手でした。その分、楽なテレビばかり観ていました。ところが、自分の進路について模索始めた際、本屋で面白そうな本を見かけて買ってみたら、楽しくて一気に読んでしまいました。それから好きな本をどんどん読むようになり、今では年間300冊以上は読んでいます。ただ好きな本だけ読んでいますが、段々思考能力や表現能力が高まってきているようで、仕事に大いに助かっています。

 出版されている本は、第三者に読まれることを前提に書かれています。

 そのため、別の場所で説明する必要のない書き方がなされているはずです。また、書籍という商品になるわけですから、書店に並ぶまでに何人もの人の目に触れているのです。その間に、不鮮明な表現などは加筆されたり、変更されてきています。

 そのような文章であれば、ジャンルを問わずどんどん読むべきです。

 トイレの中でも、また入浴中だってその気になれば読めます。電車の中など、ちょっとした時に読めますよね。

 どんどん読んで、その表現力などを吸収していきましょう。

 読書は、読解力がつくと同時に社会人としての表現能力も高まります。

 ですので、読書を続かせるためにジャンルはなんでもいいので好きな本を乱読してみて下さい。

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■仕事のルール78「書類のファイリングを即座にしよう」

 整理整頓はとても重要です。きれいな場所で仕事をする方がいいというのはあたりまえなのですが、一つ一つ片付ける時間と手間を考えても、効率は整理していた方が上がります。そこで、整理の仕方というものがあります。それは、結局は自分で見つけなければいけないのですが、私の方法のポイントを紹介します。

 最初の仕事だった場合、その仕事は一つの仕事としてファイルします。袋に入れて、その袋に仕事の件名を書くだけでもいいでしょう。そんな仕事の件名が書かれた袋が3つ4つ揃ったときに、一度、全て取り出してみましょう。仕事という縦割りのパッケージだけではなく、横に関連性のあるパッケージが見つかりませんか?市場調査情報など、1つの仕事だけで他の仕事には使わないというものではありませんし、また、そのような情報があれば、企画のヒントになったりもします。

 書類のファイリングは、自分で創意工夫して、できるだけ使いやすく、取り出しやすくしましょう。タイトルには日付を入れたり、キーワードを書き込んだりなど、自分なりのジャンル分けをすれば完璧です。

 どのファイリング方法を採用するにしても、絶対にしなければならないことがあります。それは、仕事の情報や資料ができたら、即座にファイリングすることです。時間があるときにファイルを作ろうと思っていたら、どんどん違う情報や資料ができ、溜まっていきます。そのうち、前の情報や資料が必要になるわけですが、ファイリングしていないですから、探し回って時間とエネルギーのロスをします。その上、締め切りに間に合わなくなる等、仕事上でのダメージが発生します。ですので、絶対に情報や資料を溜めず、すぐにファイリングすることです。

 このように、ファイリングがきちんとできていないと、いざ必要となった時にどこにあるのか、探すことから始めないといけません。それは時間の無駄でファイリングしている意味がありません。効率よく、物事を行うためにも、ファイリングは大きな武器になるのです。

 人のファイリング方法を真似ても、自分に合っていなかったり、上手くいかないことが多いので、自分独自のファイリング方法を見つけ出し実行してみて下さい。

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■仕事のルール79「コピーする時は、誰が何のために使うか考えて」

 新入社員のうちは、上司からコピーを頼まれることが多いですね。

 その時に、「何に使うのか」「誰が見るのか」「何部必要なのか」「サイズは?」などを確認するのは基本です。

 ここにもう1つ工夫を加えましょう。

 コピーの原本を1つ1つ確認すること。元が曲がって印刷されていたらそのままコピーすると曲がってしまいます。また、原本に汚れや印刷ずれができていたら、その部分は修正液できれいにマスキングし、コピーされたものには、写らないようにします。コピー機のガラス面の汚れもきれいに拭き取りましょう。

 もしも、会議で使うものだったら、参加人数にプラスして何部か予備にコピーをとっておくのも重要です。その時、急に参加人数が増える可能性もあります。

 また、参加者の中に年配の方がいる場合には、文字が大きくなるように拡大コピーもとっておくことも重要でしょう。

 正直言って、私は会社勤めしていた際、仕事上での能力はいつも並以下でした。そんな私をアメリカ人上司は引き上げ、スピード出世させてくれました。経験・知識・専門能力という面では人よりも劣っていた私を上司が評価してくれたのは、この「気を遣う」部分だと確信します。

 能力面ではとても他の社員に勝てないと判断した私は、戦いの場をコピーなど含めた、気配りが必要なところに持ち込みました。案の定、仕事のコアの部分しか考えていなかった他の社員は、コピーなどどうでもよく、いい加減なことをしては上司からの評価を悪くしていました。見るに見かねて、「コピーも気を遣って真剣にやろう!」と私が進言したら、「それじゃあ、これから私達の分までコピーしてよ」って皮肉一杯。

 要するに、使う人の立場に立って小さな作業から気を遣って行うことです。そういう1つ1つが、仕事の成果と同様に評価の基となっていくのです。

 例えば、同じ程度の仕事の能力だったら、少しでも気を遣える人と組んだほうが気分もいいですし、効率も上がるというものです。気を遣うことは、「人の身になる」ということですから、心の持ちようでできるのです。

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■仕事のルール80「ベンチャー人間を目指そう」

 「ベンチャー人間」という言葉に、どんなイメージがあるのでしょうか。人よりも秀でた感性と能力があり、統率力とチャレンジ精神に優れ、時勢を読むのがうまく、新しいビジネスを立ち上げ成功させる人。つまりスーパーマンを想像したりしませんか?

 確かに、マスコミなどでもてはやされるベンチャー社長に対するイメージは1元的で、よくその様に見られますね。その裏にある努力や修行、勉強などはあまり表にでることはありません。

 ベンチャーは、冒険や冒険的な企て、投機などと訳されます。冒険心を持ってチャレンジする人間は、さまざまなアイデアを持っていることでしょう。

 冒険家と言われる人たちは、その冒険のためにあらゆる準備をします。最悪のケースを想像して、そのための脱出方法だって何種類も考えていくはずです。なんといっても、命が掛かっていますからね。

 ベンチャー人間とは、冒険心がある人ということです。様々なことにチャレンジする精神、そして、そのための準備を怠らない心がけ。それがあれば社会で苦境に立たされた時にでも、自分で脱出する術を考えられるからです。

 また、ベンチャー人間は起業家という意味合いもあるでしょう。会社員であっても、持っている仕事で自分が責任者だと想定して動くことは、責任の所在なども明確になるものです。そういう、起業家意識を持つこともベンチャー人間といえるのです。

 今、社会ではサラリーマン的な生き方をしている人が大多数で、会社員でベンチャー的な生き方や仕事をしている人、即ちベンチャー人間はほとんどいません。しかし、不況が続く現在、企業はそのベンチャー人間を求めています。ですので、若いときからベンチャー人間的生き方を目指した方が、勝ち組になれる可能性は高くなります。

 ベンチャー人間は責任感があるので、慎重ではありますが、冒険心と創造力溢れるチャレンジャーです。社会、特に会社がベンチャー人間を求めている以上、そうなれるよう自己変革したいものです。

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■仕事のルール81「毎日、小さな成功体験を積み重ねよう」

 ピンチや失敗が重要な意味を持ち貴重な体験につながると話してきました。順調な人生では得られない経験や力が身に付くと。しかし、もう一つ「負け癖」がついてしまうことは、避けなければならないともいいました。

 正反対のことのように聞こえるかもしれません。でも、よく考えてみれば分かると思いますが、同じなのです。ピンチや失敗を通じて経験した幾多のことで、負け癖をつけるのではなく、逆境に強くなる経験を身に付けることです。負け続けることではありません。

 そのためには「成功する」という事実も身に付けなければならないのです。成功といっても、まだ仕事を全て任されることもないのに、どうやって成功したらいいのか。ほんの小さなことでもいいのです。

 小さな成功体験ですから、何でもいいのです。

 今までできなかったちょっとしたことが今日できた、ということです。例えば、毎日飛び込み営業に行っても、どこの営業先企業の社長にも会えなかったのが今日始めて会えたとか、人前で話すのが苦手なのに、今日の朝礼で初めて上手く話せ聞いていた人から誉められたとかです。目的は、ささいなことでも成功し続けることによって自信をつけることなのですから。

 私も小さな成功を積み重ねてきたからこそ、仕事に対する絶対的な自信がつきました。勿論、失敗も多くありましたが成功体験も積み重ねてくると、勝ち癖がついてきますから、失敗の体験も次の成功に結びつけるための大事な反省・分析材料になりました。

 テキサス大学経営大学院(ビジネススクール)で、ビジネス関連科目を教えるチャンスを得た際、最初の頃は講義で失敗ばかりしていました。声が小さすぎて受講者のほとんどが理解できなかったとか、間違った内容を教えていたとか、時間配分を失敗して試験範囲をカバーできなかったなど挙げればきりがないです。しかし、毎回失敗する毎に対策を考え次にはできるよう準備しましたので、失敗体験が成功体験へと段々変わっていきました。その結果、大学院側は、私との契約を2年で終わるところを、7年間と長期延長してくれました。

 ピンチや失敗で得難い経験を積み、日々の小さな成功体験で「成功する喜び」を感じていけば、身に付いた経験と勝ち癖から大きな成功を手に入れることも可能なのです。

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■仕事のルール82「まず目の前にあることに全力であたろう」

 少し仕事に慣れてくると、どんどん仕事を頼まれるようになります。

 とはいえ、仕事を任されることはなく、誰かの指示の下に動かなければならないでしょう。

 仕事を頼まれたら、まずスケジュールを考えます。

 優先順位をつけて、きちんと分かるようにファイリングします。その後何のために必要なものなのかを理解したら、とにかく目の前にある仕事に全力を投じましょう。他の仕事もやりながら、あっちの仕事もこっちの仕事もとやっていたら、集中力も欠けミスがでる可能性が増えてしまうのです。

 時間で区切るのも手です。何時まではこの仕事をやって、それ以降はあっちの仕事と。ただし、その仕事をやっている時は、とにかく集中して仕事に邁進することが、仕事を覚える上でも、生産性を上げるためにも、また自分の評価を上げる上でも必要なことです。

 自社の経営、顧問先への経営支援・コンサルティング、他社の役員としての活動、本・雑誌のための執筆、社内外組織主催の講演、NPO法人・慈善事業団体への理事長・理事としての活動、教育・研究機関への支援。私の毎日の活動内容です。すべて独立したものですので、同時に進めています。が、もし、目の前にあることを全力でやらなければ、集中力を欠きリズム・調子を崩し、波及的に他の活動にも影響を与え、全てが狂い始めるでしょう。

 人間は機械と違います。

 精神的なものが仕事の成果を大きく左右させます。例えば、汚い場所や落ち着かないところでは集中できにくいため、仕事の効率も下がります。そんな中で無理して仕事をしても精神衛生上悪いので、ストレスがたまり病気にもなるでしょう。

 仕事に全力であたれば、自ずと集中力もつき、仕事の密度も高くなります。そして慣れてくると仕事に費やす時間も短くなり、効率もどんどん上昇するのです。

 そんな姿を上司が見ていれば、評価も上がり、少しずつ責任のある仕事を任せてくれるようになるでしょう。一生懸命、毎回目の前の仕事をこなすことは、例えミスをしたとしても、評価を下げることにはつながりません。むしろ、限界に挑戦して弱音を吐かず頑張っている姿を見ると、上司や周りの人たちもあなたのことを励まし応援してくれますよ。

 とにかく、目の前にある仕事を「片付ける」のではなく、「全力を持って丁寧かつ効率的にあたる」ことです。

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■仕事のルール83「聞く前にまず自分で答えをだしてみよう」

 「わからないことがあったらとにかく質問しよう!」と推奨しています。しかし、聞く前にまず自分で答えを出すことも薦めます。まったくわからないのに聞かないのも困りますが、考えもしないで答えを最初から聞くのは、「私はバカです」と言っているようなものです。

 「わからない」という現象には、2種類があると思っています。

 1つは「どんなに考えても答えがでてこない」状態。そしてもう一つが「話を聞いた直後の今わからない」です。

 自分が質問される立場だと考えて見ましょう。何か仕事上の指示をだした途端、すぐに質問されたらどう思いますか?

 「自分で考えろ!」って思いますよね。質問にはその仕方というのがあるのです。まずは、間違えてもいいから自分で考えてみます。もちろん、考えの過程も明らかにしていきます。そして、答えが出たときに、上司に「これはこれこれ、こういうことで、こうすればいいのですか?」と、何をどう考えて導かれた答えかわかるように質問すればいいのです。

 質問は、ただ「聞く」という意味ではありません。考えて導き出した答え、あるいは考えても導き出せなかった経緯を明らかにして、ものを問うのです。

 新入社員時代、超忙しい上司についた私は、まったくわからなければ質問はしましたが、その前に徹底的に調べました。ただでさえ頭が悪いことで上司に迷惑をかけていましたので、自分でできることはまずやり、上司の時間と手間をとらせないようにしました。

 どんなことでも、立ち止まって自分で考える習慣をつけましょう。

 自分で考えて出した答えは、間違えていたとしても無駄にはならないのです。答えの正邪よりも、その考える過程がもっと大事です。なぜなら、考え方や過程が正しければ、次からはその問題に関しては、正しい答えが出せます。でも、たまたま答えが合ってしまった場合、考え方や過程が正しくなければ、次回からまた同じ問題で行き詰まるでしょう。

 何でもまず人に答えを聞くのではなく、自分で考える癖をつければ、創造力や問題解決力が飛躍的に伸びるでしょう。ビジネスにおいて、答えは必ずしも一つではなく、複数あることはよくあります。

 従って、自分なりの答えを見つけ自分なりの方法で実行することも、一人前の社会人としては当たり前のことです。

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■仕事のルール84「できる人の言動から学ぼう」

 顧問先のベンチャー企業に伺ったところ、早すぎて社長はまだ出社されていませんでした。担当者に会いに寄ったら電話中。聞くつもりはなかったのですが、ついつい彼女のいつもながらの見事な電話応対の声が耳に入ってきます。

 「おはようございます。○○○株式会社でございます。」

 「・・・・」

 「はい、○○○工業の東田課長様でございますね。いつも大変お世話になっております。私、経営企画室の大木と申します。町田でございますね。町田は、本日午前中はお客様を訪問致しておりますが、午後1時には戻ると申しておりました。お急ぎでございましたら、至急こちらから連絡をとるように致しますが。それとも私の方で何かお手伝いできることがございますでしょうか?」

 適度な声の大きさ、言葉の歯切れの良さ。あまりに見事な応対に感心して聞き惚れておりました。するとその直後、新たに電話が鳴り、新人らしい若い女性が電話をとりました。

 「○○○株式会社です」

 「・・・」(先方)

 「はあ、町田さんはまだ来てません。あ!どこかに寄るって言ってた気もしますが・・・」

 「・・・」(先方)

 「え!私入ったばっかりなので、細かいことはわかりません。彼の予定も聞いていませんし・・・。本人じゃないとわからないので。言っときますが、また後でかけ直して下さい」

 あまりの二人の対応の違いにショックを受けました。ベテランとはいえ、二人が同じ会社の同じ部署の社員とは信じ難い思いでした。聞いたところ、その中途採用の新入社員は入社して既に三ヶ月は経過しているとのこと。

 電話応対は苦手だとのことですが、あんなに素晴らしくできる先輩が隣に座っているのに、なぜあの新人さんは彼女から学び、いいところを真似しようとしないのか不思議です。

 個人主義・マニュアル化されつつある仕事環境ですが、できる人の言動から学ぶことが最も効率的効果的仕事習得法であるのを、若手のみなさんには分かってほしいものです。

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■仕事のルール85「電話は短くポイントをついた内容を話そう」

 人と約束をするとき、まずは電話を使うことが多くなったでしょう。

 最近ではメールも多用されるでしょうが、最終決定や確認のために電話をする、というのは通常行われている行為だと思います。

 電話をかける場合、相手がその時間何をしているのか見えません。相手の時間に突然割り込む行為だということを、電話をかけるときには忘れてはいけないのです。ということは、相手は機嫌よく電話口に出たとしても、通常何らかの作業を中断しています。

 そこで、電話での会話は、重要なポイントをついてできるだけ短い時間で済ませるように心がけましょう。

 もしも、電話をかける前に長くなりそうな場合は、それこそメールの出番です。メールで「お話をお伺いしたいのですが、少々時間が掛かると思います。ご都合のいい時間をお伝え頂ければ、こちらからご指定の時間にお電話差し上げます。などと、最初から断っておくと、相手もそのつもりで時間をとってくれるはずです。

 顧問先で、一流大学、大手商社出身の中堅幹部を雇うことになり、社長に最終面接に同席するよう言われて立会いました。経歴書は立派だし、人柄も良さそうなので、問題ないのではということで採用が決まりました。

 ところが大いに問題がありました。彼は「長電話魔」だったのです。

 一度電話で話し出したら止まりません。世間話から始まって、忙しい相手を捕まえて長い長い冗談を連発。かわいそうなのは相手先です。「長電話魔」で知られた彼は、顧客からは相手にされず、結局、下請けのリストラ対象としか話してもらえなくなりました。それもそうです。一度電話をかけてきたら平気で30分。場合によっては1時間も話し続ける。相手もたまったものではありません。

 最後は、会社が成功報酬型給与体系に切り替え、彼は結果が出せず辞めていきました。それもそのはず、あんなに毎日電話で無駄話をしていたら、成果など出るわけがありません。

 何が何でも、短くしなければいけないというわけではありませんが、電話は突然の来訪者です。仕事での電話は、特に敬意を表すためにも、相手の時間を奪わないように気を遣い、話はポイントをついて短くしましょう!

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■仕事のルール86「会議では脱線させるような話・質問はやめよう」

 会社に入れば様々な会議があります。

 取締役会・経営会議などフォーマルなものから、ちょっとした部署やチーム内での打合せのようなインフォーマルなものもあります。全ての会議で議論が白熱し、しっかりとした結論が出るわけではありません。時には誰もが押し黙るように進まないこともあります。

 例えそうなったとしても、無駄な時間というわけではありません。様々な考えやバックグラウンド、また責任をもった人が顔を突き合わせて、同じ話題で頭を働かせるというのは、重要な時間の過ごし方の一つでもあります。ちょっとした誰かの発言からヒントを得て、一人では浮かばない素晴らしい知恵やアイデアが出てくることもあります。

 ただし、せっかく一つの議題に参加者全員が集中して議論している時に流れも読まず、頭を働かせずに、混ぜっ返すような発言や質問をする人がいます。本人は大真面目なのでしょうが、きちんと話の流れや趣旨を理解していないのです。要するに、みんなで同じ議題で考え話しているはずがその人だけは、同じ時間を共有していないということになります。

 極論してしまえば、会議の中身を共有できない人は、そのまま共有しなくてもいいのです。しかし、そのお陰で会議が混乱したり、脱線してしまっては、参加者全員の時間を奪うのみならず、やる気を欠いてしまいます。

 もしも議論に加われなくても、あるいは理解できないため質問をしたくても、しっかりと場の雰囲気を読みましょう。

 あるいは理解できないため質問をしたくても、しっかりと場の雰囲気を読みましょう。

 場の雰囲気を読むことも頭を働かせることの一つであり、立派に会議に参加している証です。他の人の話をしっかりと聞いているうちに、疑問がはれるかもしれません。そして、議論が進むうちに、質問の時間がくるかもしれません。その時に、いつ頃話したこういう内容について、こう考えたのだけれども分からなかったと要旨をしっかり伝える形の質問をしましょう。そうすれば、脱線させることにはなりません。

 理解できないのが罪なのではなく、参加者の時間を奪ったり混乱を招くことが大罪であることを肝に銘じたいものです。また、会議で結論が出なくても、焦る必要はありません。いい議論ができたかもしれません。

 ただ、その会議を意義あるものにするため、会議の終わりに、次の会議までに誰が何をするかを確認することは必須です。

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■仕事のルール87「会議中、相手から書類を渡されたらまず上司に見せよう」

 取引相手と会議をする場合、判断を下せる人、決定権を持つ人が双方にいるはずです。あなたにとっては、それは上司ということになるでしょう。会議中たまたま座っている位置から便宜上、相手はあなたに書類を手渡しすることもあります。また、取引相手があなたを介して、決定権のある上司に書類を渡してもらおうと思い、あなたに差し出してくることもあります。

 この場合、場の雰囲気の読めない人、気遣いができない人は、自分に見る様暗示されたものと勘違いし、上司に回すどころか、上司差し置いてその内容を読み始めます。

 私は何度となくこの場面に出くわしました。それも、ある時は書類を差し出した側で、ある時は受け取る側です。相手の意思決定者に見てもらうために差し出した書類がそうならず、部下が読み始めた時、「頼むから上司に見せてくれ!」と思わず心の中で叫びます。会議中その書類が相手方の上司に行くまで場を保たなければならないからです。下手に説明を続けると、資料なしでは理解不足になり、再度説明しなければなりません。最悪の場合、時間切れで説明が再度できない時は、通常相手方の上司は内容を正しく理解していません。

 また、逆のケースもあります。

 私はスピード経営を心がけていますので、何でもできるだけ早く決断を下します。初めての件でも、忙しいこともあり、できれば会議中に決めたいのが本音です。一度理解してしまえば時間をかけて考えても結論は変りませんので。

 しかし、部下がその意思決定に必要な資料を即刻私に回してくれない時は、かなりストレスがたまります。相手方の説明はよく理解できないし、そのため判断もできなくなるからです。

 何も言われなくても、取引相手に書類を渡されたらすぐに上司に見せましょう。決定権を持ってない人が、最初に見る必要はないのです。例えメモ書きでも、重要なものである可能性もあります。上司から見せられ意見を求められた際、初めて書類を読みコメントすればよいのです。

 とにかく、決定権のないうちは、自分で勝手な判断をしないことがビジネスの基本的なルールであることを覚えておいて下さい。

 また、取引先との会議はいつも真剣勝負の戦いである事も忘れないで下さい。

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■仕事のルール88「仕事は全力で緻密に、結果は楽天的か前向きに」

 目の前にある仕事は全力で、集中して行おうと言いました。「一生懸命やった」としても「集中して向かった」としても、必ず成功するとは限らないのが仕事というものです。

 一生懸命やったのだから、絶対にいい結果になって現れるはず、と思っていても、何やらミスがある場合もあります。

 そうなってしまった時には、あなたはどう感じるでしょうか。

「一生懸命やっても、駄目なものは駄目なんだ」

とやる気をなくしますか。それとも

  「結果はミスしてしまったけど、それまでの経緯に得るべきものはあった。次こそは、ミスがないように頑張ろう!」

 とミスを次への活力にしますか?

 勿論、後者となって欲しいものです。

 新人のうちには、ミスは大きな悪評価にはならないものです。ミスを怖がってびくびく仕事をすると、覚えられることにも二の足を踏んでしまうことも考えられます。それくらいなら、多少のミスを気にするよりも、大胆にチャレンジしたほうが経験値は上がります。

 もう一つ。新入社員のミスは、会社のビジネスに大きな損失を与えるようなことにつながりません。そこまで重要な案件を新人に頼むことはあり得ないのです。ある種、新人がミスを犯すことは想定の範囲内なのですね。

 だから、ミスしてもいいと言っているのではありません。仕事は全力かつ集中し、緻密に行うことは言うまでもありません。しっかりとそうやって仕事したのなら、結果は最悪でも、得るものはあるということなのです。ミスをしたら、なぜミスをしてしまったのか考える動機になったいい機会を与えてくれたといい意味で楽天的に受け止めることです。

 気にしないというのではなく、次につなげること。これが何よりも必要な態度であり、重要な心がけなのです。

 ミスを怖がって萎縮するよりは、とにかく全身全霊を賭けて仕事してほしいですね。

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■仕事のルール89「業務日報は事務的な作業にせず反省に使おう」

 業務日報のない会社も最近出てきましたが、私は日報はつけるべきだと思っています。一日のはじめに、今日やるべきことのリストの成果を評価することが必要だからです。

 そのために業務日報は最適なものです。多少時間が掛かっても毎日つけることです。リスト通りに仕事ができたのか、リストの中の何に手間取ったのか、その理由はなんだったのか。そういう仕事については、その日のうちにきちんと考察すべきなのです。

 単純に、スケジュールを書き込んでいてはもったいないです。

 どちらにしろ、時間をとられるのなら、その日の朝に計画したことと、実施したことを比較すべきなのです。いわゆる反省ですね。

 その日に反省し対策を考えておけば、次の日に引っ張ることはありません。それよりも、次の日にはその反省と対策に基づいた行動をすぐに起こせるでしょう。

 一日の終わりにその日を振り返ることは、心と仕事の整理整頓にもつながります。それが仕事の効率を上げることにもなるのです。

 会計事務所・弁護士事務所、コンサルティング会社などプロフェッショナル・ファームと言われるところでは、緻密なタイム・シートを毎日書くことになっています。会社によって違いますが、私がいた米国の大手国際会計・経営コンサルティング会社の場合、そのタイム・シートでは30分毎にどのクライアントに何の仕事をしたかを、毎日具体的につけなければなりませんでした。そのため、みんな仕事の効率とスピードをかなり意識して行動して

いました。1分1秒惜しんで仕事する、正に真剣勝負という感じです。当時は機械みたいで嫌でしたが、タイム・シートを毎日つけたお陰で、プロとしてより効率よく仕事をする方法を毎日追求しては実行し、それを体で覚えさせられた思いです。

 タイム・シートのことを思うと、業務日報を書くのは比較にならないほど楽です。私の会社では業務日報を書くことを義務づけていますが、業務日報を毎日欠かさず出せない人は信用しません。

 仕事においても、毎日のコツコツとした努力の積み重ねとその反省ができる人のみ結果が出せるからです。

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■仕事のルール90「尊敬語と謙譲語を峻別しよう」

 一人前の社会人かどうかを判断する基準の一つに、敬語が正確に使えるかどうかがあります。ただ、ややこしいことに、日本語には敬語が3種類も存在します。丁寧語、尊敬語、謙譲語です。丁寧語は、そのまま丁寧な言葉遣いによって相手を敬う言葉のことです。問題は、尊敬語と謙譲語です。

 尊敬語は、相手を敬って、その人自身やその人に属する物・事・行為を言うときに使い、謙譲語は自分や自分に関することをへりくだって言う場合に使います。尊敬語は相手に対して遣い、謙譲語は自分に対して使うのです。ただ、間違って使ってしまうのがこの2種類です。

 「○○さんがおられましたら・・・」と「○○さんは参られましたか」。

 これはどちらも尊敬語と謙譲語を逆用した誤用例です。「おる」「参る」は謙譲語ですから、相手の行為には使いません。前者は「いらっしゃいましたら」、後者は「○○さんはおいでになりますか(お見えになりますか)」が正しい使いかたです。また「部長が申していらっしゃいました」なども間違いです。「部長が申しておりました」が正解です。謙譲語「申す」と尊敬語「いらっしゃる」を混同した例です。

 尊敬語と謙譲語で誤りやすい語句を(一般形/尊敬語/謙譲語の順)いくつか紹介します。

 ●見る/ご覧になる/拝見する/見せて頂く 

 ●聞く/お聞きになる/承る・伺う・拝聴する・お聞きする

 ●行く/いらっしゃる・行かれる・お出かけになる/参る・伺う 

 ●来る/いらっしゃる・おいでになる・お見えになる/参る・伺う 

 ●する/なさる・される・お~になる/いたす・お~する 

 ●与える/くださる/あげる/差し上げる 

 ●食べる/召し上がる・お食べになる・あがる/頂く・頂戴する 

 ●思う/思われる・おぼしめす/存ずる・拝察する 

 ●会う/お会いになる・会われる/お会いする・お目にかかる 

 ●話す/お話になる/お話する  

 ●使う/お使いになる/使わせて頂く

 普段使わない言葉をいざ使おうとすると間違え易いのは誰もが経験していることです。日頃からちゃんと要所要所で敬語を使い慣れておかなければ、敬語はつかえません。

 会社では使わなければならない場所は良くあるので、徹底して練習しておきましょう!

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■仕事のルール91「まず結論から言おう」 

 「起承転結」という言葉があります。この順番に文章を書くと、良い文章になるといわれているものです。

  「起」・・・問題提起

  「承」・・・起をうけ

  「転」・・・起・承に対して反論を展開し

  「結」・・・全体を結んで結論づける。

 基はといえば漢詩、特に絶句の構成法がその原点です。この起承転結、数学の証明問題でも使われています。この形が論理的に一番すんなりいく形なのでしょう。

 しかし、会話はリズムです。また、口から出した瞬間から過去になってしまい、正確に戻ることも難しくなります。起承転結で話をしようと思っても、途中で質問されたり、同意されたりなどで他の人が割り込んでくると、なかなか「結」までいかないことも多いでしょう。

 特にビジネスでは、長々と最初に説明を行っても、興味を示してくれる可能性は低いのです。

 そこで、まず結論から話し始めましょう。

 例えば、商品を売るために人と話したとします。その商品は、軽さが売りのOA機器と仮定しましょう。

 「従来のOA機器は、重たく、持ち運びに不便という問題がありました」

 「そこで、その問題を何とか解決できないかと、弊社では技術部門が一丸となって、バッテリー部分を小さくしたのです」

 「でも、それで短時間しか連続利用できないようでは、持ち運びができるというこの商品の特徴は生かせません。試行錯誤の末、ようやく問題が解決しました」

 「これが、6時間の充電で12時間連続利用できるOA機器です。胸ポケットに入るくらい軽いのです!」という話と、

 「これは胸ポケットに入るほど軽いOA機器です」と結論を言ったほうが、興味を持ちませんか?顧客は細かい技術や、開発過程よりもその結果が重要なのです。結果に興味を持てば、「なぜそんなことができたの?」と質問されるかもしれません。結論以外の話全てを相手に伝える必要はないし、相手も知りたいとも思わないかも知れません。

 まずは、結論。これが相手の興味を引く魅力的なビジネス会話術です。

 商談の際、重要なのは課程よりも結果ですから。

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■仕事のルール92「間違えたら謙虚に認めよう」

 人は必ず間違いを犯します。間違いに更に間違いを重ね、間違いを犯し続けてしまうことが多いのも人です。一番犯しやすい間違いが、間違いを認めないという間違いと言ってもいいでしょう。

 小さなミスでも、決して認めたがらないという人が少なからずいます。刑事事件になりそうなものではなく、日常の些細なことです。ちょっと「ごめん」「失礼」と言えば、お互い気持ちよくなれるはずのものに対しても、認めない場面によく遭遇します。

 「欧米では、自分から絶対に謝ってはいけない。そんなことしたら裁判で負けてしまうから」と言って、自分のミスを認めない人がいました。この話も間違いですね。まず、間違いを犯した事実を認めないという間違い。それと、欧米では絶対に謝らないという間違い。これは、交通事故などのケースに多いでしょう。

 訴訟王国なので、その手の話は「代理人が来るまで口を開かない方がいい」という特殊なケースです。ですから、全てにおいて欧米人は間違いを認めないということはありません。それに、ここは日本で相手は日本人です。ここも間違いのポイントですね。

 米国でも私のアメリカ人の友人達は、日常の生活の中では間違いをすぐに認め謝罪していました。私が車のドアの前で背を向けて電話をかけていたら急にドアを開けて私にぶつかったのです。すると「ソーリー」とすぐに言ってくれました。「ケガはありませんか?」と気遣うことまでしてくれたのです。ここで謝ってもらえなければ、きっと腹が立ったことでしょう。人間関係にも影響してくるのです。

 仕事上のミスでも同じです。

 間違えたら謙虚に認めましょう。

 間違えが事実であれば、まず、認めること。言い訳の機会が与えられたらそこで説明すればいいのです。どんな理由で間違えてしまったのか、人に指摘されてはじめて間違いを発見した場合には、その理由を指摘されなければ考えなかったと言えます。

 間違いを認めることで、間違いという過ちを重ねなくても済むのです。

 また、人間は完璧ではありませんから、必ずどこかで間違えます。気が付いたら、指摘されたら、すぐに認め謝る器の大きさが、ビジネスでも長期的に成功できる因になります。

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■仕事のルール93「行き詰ったら書いて思いをまとめよう」

 ものを考える前に、部屋中を歩く人がいます。公園に散歩に出る人もいます。トイレに引きこもると言う人もいました。考えに行き詰ったら、特にそういった行動に出るようです。ものを考える時、行き詰った時には、その解決方法は人それぞれでしょう。しかし、1つだけ全員に当てはまると考えられるものがあります。それは、それまで考えてきた過程を書き記すことです。

 「堂々巡り」という言葉があります。

 AからBに考えて、Cに行き着いたのだけど、結論がでない。そしてもう一度考え直して、CからA、そしてB、結局結論には行き着かない、そんな状況です。

 なぜ行き着かないのか。考える方向は変えていても、考えている事柄は一緒だからです。それで、同じ道を行ったり来たりしてしまうわけですね。誰しもそんな経験はあるはずです。でも、頭の中で考えているだけでは、同じ範囲で組み合わせを変えているだけということには気がつかないかもしれません。

 そこで提案です。とにかく、考えたら書き留めることです。何をどのように考えたのか、書くのです。書いておけば、どこに思考の間違いがあるのか、あるいはほかの思考への枝があるのか、見えてきますね。

 スムーズに結論が導けた時は、書き留めなくてもいいでしょう。しかし行き詰った時には、書き留めることがとても参考になります。少なくても堂々巡りは回避できます。

 そして、不思議なことに文字にすると考え方が自ずまとまることが往々にしてあるのです。そして、違う道が見えてくる。書き留めることによって、客観的に見られるようになるものなのです。

 そうなれば、解決の糸口を見つけることもできます。最初から考える方向が間違えていたのかも知れないし、最後のほんのちょっとの気付きの部分かもしれません。それを書き留めることによって、客観的に見つめるのです。

 客観的になれれば、あとはその気持ちのまま、考えを精査していくだけです。実は、人間は書くことで思わぬ知恵や創造力を働かせることができます。ぜひ体験してみて下さい。

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■仕事のルール94「批判や評論している暇があれば自分を磨こう」

 いまや「一億総評論家」時代です。

 芸能はもとより政治に関しても、経済に関しても誰もが批判や評論をしています。勿論、その標的は社会的な話題に限ったことではありません。ビジネス街のランチタイムのレストランで、あるいは終業後の居酒屋で、会社の経営方針から上司に対する評価、批判、評論を行っている場面に出くわすことはよくあります。

 少し前までは、アルコールの入った席で日頃の鬱憤を晴らすというものが主流でした。いわゆる「愚痴」ですね。いまは愚痴なんてかわいいものではなく、痛烈な非難・中傷に変りつつあります。しかし、人のことを評論や批判をしている時間があったら、自分を顧みる方が、自分の成長のためになることに気づいて欲しいのです。

 評論や批判は自分を主体として他人に向けて行いますね。

 自分は蚊帳の外か、自分は正しいという立脚点です。そこには、自分が成長するポイントはありません。もしも、評論・批判をしたいのなら、「自分はああいったことはしない」という反面教師というとらえ方をしないと、自分の身にはつきません。

 そんな、人の話をしている時間があるのなら、自分を磨く方がよほど有意義です。何も、終業後にスクールに通いなさいといっているのではありません。好きな本を読む、好きな音楽を聴きに行く、趣味のサークルに参加する。それでも十分に自分を磨くことになります。勿論、帰宅途中で語学を習いに行くのも、ビジネススクールに通うのもいいと思います。

 同僚と一緒にいることが全て悪いわけでもありません。それも、自分を磨く手がかりになることだって十分あります。その時には、単純に他人の評論をするのではなく、同僚の仕事の進め方や、学生時代の体験など、自分と違った経験を語り合うだけでも、自分を磨く材料になります。

 全ての時間を自分磨きに使おうと言っているのでもないのです。

 「自分を磨こう」という気持ちが大事なのです。それは意識しないとなかなか身につくものではありません。日頃から、「自分を高める」、「自分を磨く」という意識を持ち続けることなのです。そうすれば、他人のことを評価している時間がいかに無駄なことか気づいてくるはずです。

 どこに行くにも何をしていても、自分を磨く行動が実は成功の基となるのです。

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■仕事のルール95「意見や提案に反対するときは、明確な理由と代替案を出そう」

 会議や上司の指示、同僚との会話などのなかで、意見の相違や結論の違い、あるいは全く理解のできないことなど出てくることでしょう。その時には、闇雲に反対するのではなく、筋の通った反対理由が必要となります。

 例えば、誰かが一ヶ月かけて考えた提案を、綿密で詳細な資料とともに提出したと仮定します。上司へのプレゼンテーションの練習もしました。台詞も熟考して印象に残る言葉を使っています。会議の参加者に配る書類の誤字脱字のチェックもし、カラーで印刷。この企画に賭ける気持ちもしっかりと表現しました。一見完璧です。

 プレゼンテーションも終わり、会議参加者も資料を読みながらペンを走らせている状態の時に、ある人が一言「これ、なんとなく駄目なきがする」と口走ったらどう思いますか?

 まず「なぜ駄目だと思うのでしょうか?」と提案者は聞くでしょう。すると相手は「いやだから何となく」と答えたらどう感じるでしょうか?

 会議とは不思議なもので、何気ない一つの発言で流れが一気に変ってしまいます。何となく、というのはわからないでもありません。きっと、インパクトに欠けるとか、新しいものが見えてこないとか、言葉にしづらい何かが欠けているということなのでしょう。

 しかし、言われた人にしてみれば、「そんなの理由にならないよ!」と不満爆発ですよね。ですから、提案などに反対を唱える場合は、可能な限り具体的にどこがどう自分とは意見が違うのかを明確にする必要があるのです。そうすれば、回答者も対応のしようがあります。単純に説明し忘れていたり、書類に書き忘れていただけで、明確に反対意見に対する回答を出し、会議も引き続き前向きに進められます。

 また、時間がたってから反対意見をだす場合には、代替案を考えて一緒に提案すると、より効果的です。比較検討するものがある方が、より具体的で前向きになれるからです。

 仕事では、具体性が重視されます。「イメージ」という言葉が多用される昨今ですが、イメージを具体化していくのがビジネスです。

 自分の心無い一言で、大事な会議の流れを大きく変えてしまう可能性があることを心して、もし、反対する場合、合理的で明確な理由と代替案を出すのがマナーでしょう。

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■仕事のルール96「疲れたら無理に続けないで休憩しよう」

 眼の下に隈を作り顔色が悪く、睡眠不足が続いているのでしょうか。充血した眼で仕事を続けている人がいます。「少し休めば?」と声をかけると決まって返ってくる答えがあります。「今休むとみんなに迷惑をかけるから」。本当にそうでしょうか?

 睡眠不足が続くと、人間は判断力が鈍ってきます。判断力が鈍るということは思考力も鈍り動きも暖慢になります。集中力もかけ、簡単なミスや間違いを犯す確率も高くなるのです。

 実は、「今休まないと迷惑がかかる」というのが正解なのです。

 今だったら、たとえば30分の仮眠で、ある程度復活するかもしれません。2~3日残業を止めて家に帰って休養をとれば、またバリバリ残業できる体に戻るでしょう。

 しかし、青い顔をしたまま仕事を続けていれば抵抗力も低下しますので、体をこわす可能性が高くなり実際に倒れてしまうことだって考えられます。そのまま1週間や10日入院などということになったら、もっとみんなに迷惑をかけてしまうのです。

 さらに、風邪を引き易くなるので、同僚に移してしまい、集団感染なんてことになるかも知れません。そうなったら、迷惑を更に重ねることになるのです。

 「自分がいなければ、他の人の負担が増える」という概念を持つのもある意味正しいでしょうが、ちょっと休憩をもらっている間に負担してもらった分は、逆に誰かが休憩しているときに率先して負担すればいいだけのことです。

 また、「自分が動かないと仕事が止まってしまう」どれだけの決定権を与えられていたとしても、こんなことが事実なら、仕事の進め方が間違えているとしか言いようがありません。仕事は一人でやっているのではないですから、自分に何かあった時には、他の人にすぐに代わってもらえるように常に準備しておかなければいけないものです。

 どう考えても、疲れても無理して働くよりも、少し休んでリフレッシュした方が迷惑をかける度合いは小さくて済むのです。

 また、仕事で体を壊すなど本末転倒。健康だから、作業が効率的にはかどり中身の濃い本物の仕事ができるのです。

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■仕事のルール97「人に頼むときは具体的な指示をだそう」

 新入社員の頃は、人にものを頼むことは少ないでしょう。

 新入社員は、人にものを頼まれる側の人だからです。この時期に、ものを頼まれている経験をしっかり身につけておくことが重要です。どういう風に頼めば、自分の欲しかったものが出来上がってくるのか、それは自分が頼まれてきた経験から、うまく物事を頼む人のいいとこ取りをしていけばいいのです。

 たとえば、コピーを頼むときです。

 「これ、5部コピーしてくれませんか?」

 というだけでは、バラバラのまま5部のコピーがデスクに置かれるだけかも知れません。ところが、

 「会議に使うので、文字を揃えて5部ほどコピーをとってください。その後1セットずつに分けて、左上をクリップで留めてもらえますか?」

 と伝えたら、すぐに会議室に持って行ける状態になっているはずです。

 ある時、私は上司にコピーを頼まれました。会議に使うということです。原本をみてみると、文字のサイズはバラバラで、しかも斜めに印字されていました。そこで、文字のサイズが揃うように拡大・縮小を工夫し、斜めに印字されていたものは真っ直ぐになるように置き、コピー機のガラス面をきれいに拭き取りました。そして、横書きの書類は左上を、縦書きの書類は右上をクリップで留めるようにしました。これは読んでいく目の動きを考えるとそうする方がページをめくり易いと考えたからです。

 まだ新人だった私は、そのことによって上司にすぐ名前を覚えてもらえるようになり、気遣いのできる社員として評価されました。今は、私がものを頼む立場となりました。自分の経験を基に、できるだけ具体的に頼んでいます。その方が最低ラインで合格という計算が先にできますし、ほとんどの場合、さらに工夫をしてもらえますので、使い易いものが出来上がってくるのです。

 頼まれる側の人は、頼む側の使い勝手を知らないことが多くあります。

「使いかたを考えて工夫して」と言っても新人には想像できないこともあるのです。

 できるだけ具体的な指示を出してあげるほうが、頼む側も頼まれる側もストレスなく上手くいくのです。

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■仕事のルール98「FAXの宛先が複数人の場合、宛先全員にコピーして渡そう」

 プロジェクトをチームを組んで外部と動かす作業をしている時には、よくチーム宛にファックスなり書類なりが送られてくることがあります。また宛先が複数名になっていることもあります。

 そんな書類を手にしたら、どうしますか?連名になっている中で、決定権を持っている人だけにそれを渡すのでしょうか?

 その書類を送った人は、チーム全員、連名者全員にできるだけ早く読んでもらいたいと思っているから、そのような送り方をしているのです。ですから、代表者だけでなく、全員にコピーして渡すのがあたりまえなのです。

 ある時、あるプロジェクトチームに書類をファックスしたことがあります。あえて、チーム名にしたのは、そこに書かれている事項は、チーム全体が共通認識として持っておいて欲しい事柄だったからなのです。送った私としては、当然チーム全体が読んでいるものと思っていました。

 従って、次の全体会議の際には、共通認識を前提に話を進めたのです。

 しかし、出てくる質問のほとんどが、その書類に書かれていることについてで、しかも、その書類の内容を全く把握していないことが分かる質問でした。最初は一人だけ理解していないのかなぁと思っていたところ、ほとんどがそうだった時に初めてあの書類が全員に配られていないことが分かりました。

 そこで、書類をその場でコピーしてもらい全員に配り、書類の内容説明に切り替えたのです。実はその時間がもったいなかったために事前にファックスしたのですが、その意図をこの書類を最初に受け取った人も、次に受け取った人も理解していなかったということです。

 今は書類をメールで添付して送ることも多くなりました。読んで欲しい人には、同報で送れば済むというのが実情です。しかし、まだファックスで送るということも多くあります。

 弊社では、連名やチーム名の宛先のファックスを受け取った時には、受けた人が責任を持って全員に行き渡るようにコピーするよう徹底しています。新人たちには、わざわざ連名やチーム名にして送ってきている意味を考えなさいと先日話したばかりです。

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■仕事のルール99「作業は終了の時間を逆算し、ダラダラせずに進めよう」

 全ての仕事には、締め切りにギリギリ終わらせるのではなく、締め切りよりも早く作業を終了し、確認してから提出する、それが間違いを極力少なくするための動きといえます。

 そこで、効率よく進めるには、この締め切り・確認作業の時間から逆算して、いつまでに何をして、その後どうやって進めていくのか、スケジュールを最初の段階で設定することをお薦めします。勿論、スケジュールは突然変更になることもあり得ますので、柔軟な対応ができるように余裕を持った進行を心がけましょう。

 そうやって作業をこなすか、計算ができたら直ちに取りかかります。

 効率よく作業が進み、時間が余ってしまうこともあるでしょう。そうなったら、「今日の作業は終わり。余った時間は適当に過ごそう」などと考えては駄目です。

 今日の作業は効率よく早めに終わったからといって、次の作業も速く終わるとは限りません。予定よりも字亜kンが掛かることだってあるのです。それを見越して、余った時間は次の作業に取りかかってしまいましょう。何も、できるだけ早く終わらせるために、予定より先に先に常に行い、そのために残業をしようというのではありません。時間が余っているのならダラダラと時を過ごすのは無駄というものだと言っているのです。

 もしも、作業の工程が全て予定より早く進み、最初に設定された締め切りよりも3日も早く仕上がったとしましょう。早く作業が終わって怒る人がいるでしょうか?迷惑と思う人がいるでしょうか?

 早く終われば、次の仕事が与えられるかもしれません。早くしかも正確に仕事ができれば、それは当然高い評価につながるのです。ダラダラと時を過ごしてしまえば、それは周辺にはわかってしまうのです。余った時間があったはずなのに、締め切りギリギリに提出したら、例え正確なものができていたとしても、それなりの評価で終わってしまいます。

 「時は金なり」。ダラダラ過ごすよりも、より有意義な時間の過ごし方をしたいものです。最初に設定したスケジュールで守るべきものは締め切りです。締め切りは絶対に守らなければならないので、そのための完璧なスケジュールを立て、日々厳格にチェックしましょう!

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■仕事のルール100「就業・会議中は携帯電話の電源をマナーモードに設定しよう」

 携帯電話をこれだけみんなが持つようになると、もちろんビジネスツールともなってきます。携帯がないと仕事ができないとはいかないまでも、携帯を持っていたほうが仕事もやりやすいのも事実です。携帯でメールも受け取れるようになったので、重要事項が外にいても読めるようになりました。

 しかし、携帯が広がれば広がるほど、マナーが低下しているのはいかがなものでしょうか。まだ少数しか持っていない時には、マナー自体整備されていないわけですから、ある程度のでたらめも大目に見られてました。しかし、ほとんどの人が持つようになると、誰もが「あれは迷惑だ」と感じる行為に関しても共通認識が生まれ、自ずとマナーが成立てくるはずです。残念ながら、現状は満員電車でも、携帯での会話を禁止している公共の場所でも、所構わず着信音が鳴り響いています。着メロを利用している人も多いので、明らかに場違いな音楽や歌声が聞こえてくるときもあります。

 先日、ある人の法事で寺を訪れました。法要の最中、参加者のバックから大音量で冬のソナタのタイトルソングが流れてきたのです。持ち主は、さすがに慌ててバックを探っていましたが、慌てれば慌てるほど小さい携帯電話は見つかりません。僧侶も、読経をしながらも気に掛かって仕方がない様子。

 勿論、法要の後の食事の席で「故人に対して失礼に当たるので、今後は寺に入る際には電源を切るか、マナーモードにして下さい」と注意されていました。

 お寺で着メロというのは、あまりにも酷い話でマナー以前の問題でしょうが、仕事中や会議中でも平気で音を鳴らす人はいまでも少なくありません。取引先からの電話だとしても、音を鳴らす必要はないのです。明らかに集中して仕事している人の邪魔です。

 最低でも、マナーモードに設定して、他の人の集中力を途切れさせることはやめましょう。

 特に会議中は、特別な急用でもないかぎり、留守番電話機能を利用しましょう。携帯の液晶画面を見れば、どこからの電話だかナンバーディスプレイで確認できますし、緊急かどうかも番号によって分かるはずです。最低のマナーを守らないと、便利なツールであるのに職場でも「利用禁止」なんてことになりかねませんから。

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■仕事のルール101「会議のときは上司より先に行って待とう」

 「じゃあ会議始めるか・・・。あれ、また大山君いないね?どうしたんだろう?」

 「課長、たぶんトイレに行ってると思います・・・」

 「え!また!彼はいつも会議に遅れてくるなあ・・・」

 「ああ、すみません・・・。でも間に合ってよかった・・・」

 「こら、間に合ってなんかないよ!もう10分も過ぎてるぞ!君はいつも遅れてくるなあ・・・気がたるんでるじゃないか!毎回会議に上司や先輩より遅れてきて平気なのか?」

 「すみません・・・。以前早く来たとき、なかなか会議が始まらなかったので・・・」

 「あの時は、大事な顧客から緊急電話が入ったからじゃないか!そもそも新人なんだから、誰よりも先に来て待ってるくらいじゃないとダメじゃないか!毎回待たせるなんて、みんなに失礼だろう!」

 これは実際にあった話でよくあることです。

 不思議なことに、一つの会議に遅れてくる人は、どの会議にも遅れてきます。

 気が緩んでいるのか、「会議自体長いので多少遅れても大目に見てもらえるのでは」という甘えがあるからか、とにかく周りの評価はガタ落ちです。

 いずれにしても、会議で遅れてくるということは大罪です。その分他の仕事ができたであろう全参加者の大事な時間を奪うからです。特に就業時間中は、自分のみならず他人の時間も1分1秒たりとも無駄にしてはいけません。

 例えば会議参加者が10人とします。

 各人の給料から逆算して、参加者の平均時給は3000円であれば、一人当たり50円です。もし、一人が10分遅れてきた場合、5000円×50回=25万円。従って一年でその部署だけで25万円の損をします。もし、その会社に100部署があり、同じようなことをやっていたら、年間2500万円の損失をだすことになります。

 これが、私が勤めていた国際会計・経営コンサルティング会社や弁護士事務所などのように時間一人当たり3万円~10万円チャージするプロフェッショナルが参加していたら、最低その10倍、つまり年間2億5000万円のコストになるのです。

 恐ろしいとは思いませんか。

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