■仕事のルール70「締め切りや約束は絶対に守る」

 物事にはすべて終わりがあります。仕事もそうです。期限というものが必ずついて回ります。また、人との付き合いには、約束というものもあります。

 これは、期限や約束を決めたときに、必ず同意しているはずです。双方が「その日にできる」「可能である」と同意した結果、決められたものでしょう。一方的に押し付けられたものであっても、やると決めた時点で、同意したということになります。

 となると、同意したものは実行すべきです。無理をしてでも絶対に守るこれが基本です。

 とはいえ、守れなくなる事態も発生しますね。さぼっていたわけでもなく、忘れていたわけでもないのに、どうしてもその日時が不可能になってしまう。たとえば、事故にあって入院してしまったなど、不測の事態です。

 それでも、自分の代わりの人をすぐに決めて、期限は守るべきではあります。

 不測の事態が起こった場合、すぐに何をなすべきか。分かった時点で速やかに先方に連絡するのです。なぜ約束や期限を守れなくなってしまったのか、その分どういう形式をとるのかなど、それらフォローの提案をきちんと提示し、相手に受け入れてもらう努力をするべきでしょう。

 学生と社会人、特にプロフェッショナル(プロ)との大きな違いの一つに、締め切りと約束を守ることへの厳格さということがあるのではないでしょうか。米国の経営大学院(ビジネススクール)で夜間のMBAコースを教えていた頃、この差を幾度となく経験しました。

 例えば、宿題やレポートの課題をだすと、昼間働いているバンガー、弁護士、ビジネスパーソンなどは絶対にやってきました。仕事や病気などでクラスに来られない時でも、事前に連絡があり、クラスまで届けるアレンジをします。

 一方時間があるはずのフルタイムの学生の方は、よく宿題やレポートを忘れていたり、時間があったにもかかわらずやってこないのです。結局、時間ではなく、自覚とコミットメントの違いだったのです。

■仕事のルール69「電車・エレベーター内、他人の前では電話しない」

 携帯電話が広がって10年以上が経ちます。最近では小学生までもが携帯電話を持っています。本当に、ちょっと前までは、外出先で電話をかけなければならないときには、公衆電話を探したものです。後ろに人が並んでいたりすると、可能な限り会話を短くしようと工夫したものです。また、すぐ隣でも電話をしている人もいるので、結構、小さな声を心がけていたのではないでしょうか。

 ところが、携帯電話が一般化してから、みなさんが町中でもどこでも、電話できるようになった代わりに、周辺に気を遣うことを忘れてしまったようです。電車の中でどんなにアナウンスしても、いまだ呼び出し音を大音量で鳴らしてる人もいます。

 こういう時には、「最近の若者は」というのでしょうが、呼び出し音を大きく鳴らしているのも、大声で話している人にも、世代差はないようです。

 日本人は「恥の文化」を持つと言われてきました。恥ずかしいことは人前ではしなかったのです。語学を学ぶときには足かせになっている部分もありますが、公共の場、というものを考えると、こと携帯電話に関しては「恥の文化」を持ち続けて欲しいものです。

 電話の内容がプライベートなら、プライベートを他人の前でさらけ出していることになりますし、仕事の話なら極秘事項もあるかもしれません。

 少なくとも、電車などの交通機関やエレベーターなどの密閉された空間では、電話で話をするのは止めたいものです。

 留守番電話機能もついていますので、すぐに折返し電話できるはずです。もしも、どうしても受けなければならない電話だとしたら、出ることはやむを得ないかもしれません。ただしその場合も「5分以内に折り返します」などで、すぐに切りましょう。電車だったら次の駅で降りればいいですし、それが無理なら電話できる時間を相手に伝えればいいだけです。

 本当に今すぐ、という要件は意外と少ないはずです。ほんの数年前までは携帯電話なんてない中で、普通に生活していたのですから。

 携帯電話を使うなというのではなく、使う場所を考えて、極力マナーを持って利用したいものだと言っているのです。

 折り返し電話をすることは難しくありません。

 どこでも大声で話している人って格好悪いとおもいませんか?

■仕事のルール68「決断は素早く」

 時代はまさに ’タイム・イズ・マネー’ です。

 株式市場でも、ほんの数分の違いで大きな差が出ることはよくあることです。

 この10年でインターネットが世界中を網羅し、世界の距離も時間すら短くしてしまったようです。即断即決がなによりも望まれる社会になったといっても過言ではないでしょう。

 こういう話をすると、とにかくインスピレーションで行動すると受け取る人もいるのですが、私はそんなことを言っているのではありません。

 熟考することの大切さは変りません。

 大きな勝負の場合には特に熟考しなければいけません。取り返しのつかないことになる可能性があるからです。そして答えがでたら素早く行動するのです。

 熟考とは長い時間をかけて考えることではありません。

 深く考えるということなのです。今の時代、考える時間は短いほうがいいのですが、だからといって浅く考えて良い訳ではではありません。

 短い時間で深く考えるためには、訓練が必要でしょう。

 大学を卒業し、米国のプロフェッショナルな世界に飛び込んで愕然としました。今もそうですが、あまりに多くのことが連続的に発生し、即決しないと問題が起こるのです。どんどん決めていかなければどんどん問題が進み、やらなければならないことも増えていくのです。下手すると睡眠時間もなくなります。

 その時思いました。

 プロフェッショナルの証は、限られた時間内に深く考えてできるだけ正しい判断を下せることだと。

 まずは、どんなことでも短い時間で深く考えることを実践してみましょう。

 たとえば、今日身に付けるネクタイでいいんです。最初は3分などと時間を区切って、「今日会う相手の趣味は?」「気温は?」など次々に関連する項目を挙げ解決していく。ランチのメニューでもかまいません。「夕飯を食べるのが何時くらいになる予定か?」「消化にいいものの方がいいのか、それとも腹持ちのいいものにするのか」。そんな身近な決断でも訓練はできます。

 あまり難しく考えずに、肩の力を抜いてやってみてください。

 そうしていくうちに、ものをちょっとずつ掘り下げて考える能力がつき、そして素早く決断できるようになるはずです。

■仕事のルール67「他人と比較しない」

 受験戦争、競争社会、新階層社会、ヒエラルキー、これは比較が元になっている言葉ですね。受験戦争も自分との戦いだけでなく、他の受験生よりも一点でもいい点数を取ることを目標に勉強して、試験を受けないといけません。同僚との出世争いもそうです。

 でも他人と比較して自分を評価するということの意味を考えてみましょう。他人がいなければ、評価の基準がないということになります。あの人と比べて自分は・・・。では自分自身、個人ではどうなのか、という絶対評価はそこには生まれてきません。

 目指すべきは「あの人はこういう人だ」という評価なのです。

 誰かを目標にするのも、誰かをライバルにするのも、どちらもいいことだと思います。それが自分を磨く原動力になるのですから。

 競争相手を想定してはいけないというではないのです。それだけになってはいけないということです。

 他人と比較した偏差値教育やすべて満遍なくこなすことを重視する教育に合わなかった私は、日本では超劣等生でした。それが米国に行った途端、劣等生ではなくなりました。

 私はある分野の数学だけが大好きで、ある程度できましたから、それが米国では高く評価されました。ですので、その分野の勉強は好きで努力するため、さらに好きになり力もつき、成果を出していく私への評価は段々高まりました。その分野で国際的に認知頂いた時は、さすがに学者の道も考えました。

 米国に行って最大に得たことは自分が他人と比較しなくなったことです。

 また、他人と自分を比較させないことがこんなに気楽で自分らしさが出せるとは思いも寄りませんでした。

 自分への絶対評価があれば、目指すべきものもはっきりと見えてくるでしょう。やるべきことも見えるはずです。絶対評価同士で他者が、勝手に比べてくれるのはかまわないのです。

 自分自身の中では、常に「自分を磨く」ことを心がけ、絶対評価をあげていくことに努力すべきです。

 比べるべきは、去年の自分と今の自分、そして来年の自分です。

 そうすれば、たとえば配属先が変ったときでも、転勤となったときでも、転職しても、絶対評価はついてきます。自ずと自信にもつながってくるものです。

■仕事のルール66「毎日、To Do List をつくろう」

 仕事を覚えたての頃は、とにかくやることがたくさんあり、時間に追われる日々になってしまうでしょう。それもある意味では致し方ないかも知れません。

 ただ、毎日なんのために何をやっているか考える暇もなく、ばたばたと過ごしてしまっては、仕事を覚えるにも非効率です。そのため、会社にちょっと早めに行って、「今日やるべきこと」リスト(To Do List)をまず書き出しましょう。最初はそれだけでいいです。終わったものから線で消していくといいでしょう。

 とにかく、何をするかを理解するために書き出すことが必要です。

 書き出すことによって曖昧だったことがより明確になります。

 その作業に慣れてきたら、優先順位を付けていきます。仕事というのは時間とともに変化しますから、リストを作ったとしても途中で変ることもあります。もちろん、変更には柔軟に対応します。優先順位も同じで、朝考えた優先順位に縛られることはありません。

 自分が考えていた優先順位と、実際の仕事の流れの差が分かるだけでも十分、リストを作った価値がありますし、仕事を進めていく上で大きな効果があります。

 米国の一流のプロフェッショナル(弁護士、会計士、ビジネスパーソン、バンカー、技術者、研究者など)や経営者は、このリストを作り毎日実践しています。また、多くの米国企業は社員にリスト用紙を定期的に配っています。日本でも生産性を重視している職業であればあるほどこのリストを利用している人は多いのです。

 仕事の流れも優先順位も覚え、柔軟に対応できるようになった。そうなったとしても、リスト作りは続けましょう。人間は万能ではありません。つい何かを忘れてしまうことだってあります。リスト作りは習慣とするといいでしょう。1冊のノートを作れば、仕事の一連の流れも読めるようになります。

 他の仕事で何か躓いたときに、そのリストノートに解決のヒントが隠れているかもしれません。

 全ての経験を100%覚えていることはできません。

 書きとめておけば、いつか役に立つこともあるのです。

■仕事のルール65「先輩に敬意を払おう」

 仕事ができる先輩、あまり芳しくない先輩、優しい先輩、冷たい先輩などさまざまな先輩がいるでしょう。全ての人に同じように対応するのは難しいでしょうし、それを推奨しようとは思っていません。恩をうけた人にはそれなりの対応をするのは当たり前です。

 ここで言いたいのは「一日の長」ということです。自分よりも長く生きている人のことですが、仕事の面では特に一年二年は大きな差です。それだけ大きな経験をどんなタイプのの先輩に対しても、敬意を払わなければならない理由は分かるでしょう。

 「年長者を大切にしろということですね?」

 そうでもあり、そうでもないのです。ただ単純に大切にしろというのではありません。意見の対立を見たとしても、先輩の意見をよく聞き、その意見にあわせて自分でもう一度検討してみる。もちろん、さまざまなシミュレーションもしましょう。相手の意見をきちんと検討し、検証した上で自分の意見が正しいと導き出されたのなら、それをきちんと話す。

 単純に「年上の言うことを聞く」のでは敬意を払ったことにはなりません。

 きちんと検討することこそ、敬意を払うことになるのです。

 もちろん、無理難題を言われることもあるでしょう。それでも「検討」してみるのです。その態度は、必ず先輩に伝わるはずです。

 米国で国際会計・経営コンサルティング会社に入社したとき、私の能力は他の新入社員に比べ著しく劣っていました。先輩方が、経験・知識・専門能力のない私になぜ高いレベルの仕事を頼んでくるのか分かりませんでした。当初は苛めとしか考えられませんでした。

 しかし、自分が部下を持つようになってわかりました。あの先輩方の厳しさがあったから、必死に自分を磨くことに毎日専念できたのだと。今は本当にあの先輩方に感謝しています。

 敬意を払うことは、盲信することでも、服従することでもありません。

 そこをしっかり理解した上で、先輩に敬意を払った行動をとることはとても重要なことなのです。

■仕事のルール64「何事にも、誠実に対応しよう」

 ある時、営業に配属になったばかりの新入社員が先輩に付き添って飛び込みで営業先候補の会社を訪問しました。着くなり先輩から一喝。

 「僕も入社してすぐに一人で営業やらされたから、君もここからは一人でやってごらん」

 「は~?先輩!それは・・・。まだ、営業の何もわかっておりませんが・・・」

 「何言ってるんだよ!既に営業研修受けたじゃない。実際に営業の実演やったでしょう。」

 「は・・・い・・・。でもあれはあくまでもロールプレイでしたので・・・」

 「いいからやってごらん!そうじゃなきゃ、いつまでたっても営業できないよ!」

 「・・・」

 その会社の受付前で、こんな会話をしていた時、そこの社長が帰ってきました。

 「お帰りなさいませ、社長!先程からこちらの方が社長にご挨拶したいと待っておられますが・・・」

 と受付嬢が紹介してくれました。

 「何でしょう?」

 「はい、人材紹介業をやっております○○○株式会社の萩原と申します。新任でこの地域担当となりましたので、ご挨拶にまいりました」

 「それはわざわざありがとう。ただ、うちは紹介会社を使わないから、悪いけど遠慮しておくよ!」

 こんな会話から始まった心もとない営業だったが、そんとその新人はこの三ヶ月後にその会社から仕事をとってきました。理由は簡単です。毎日のようにその会社に行き、なんでも困っていることのお手伝いをしたため、社長はその新人の直向な態度からくる誠実さに心打たれたとのこと。遂に専属でその会社との契約を獲得。

 私も同様の経験があります。

 米国ではありましたが、新卒で入社間もない頃、ひたすら営業先企業の社長さんの相談に乗りお手伝いしたところ、初めての私の顧客になって頂きました。ビジネスの上で必要とされている経験・知識・自信は当時まったくありませんでしたので、先方からの質問やリクエストにただひたすら誠実に全力で応えるだけでした。

 その時、国は変われど、誠実は最高の戦術であり営業ツールだと痛感しました。

■仕事のルール63「仕事を楽しめる自分なりの方法を見つけよう」

 一日24時間、一週間で168時間となります。毎日7時間睡眠をとったと仮定して、睡眠時間の合計が49時間です。起きている時間だけを考えると、一週間に119時間しかありません。仕事をしている時間が、毎日1時間残業するとして9時から18時(昼休み1時間)、月曜日から金曜日とすると1週間で45時間。通勤で往復1時間半と想定すると7・5時間必要です。週の半分は完全に仕事で使われている計算になります。

 しかも仕事が終わったからといって、すぐに完全に自分の時間かと言えば、職場の付き合いもあるでしょう。となると、月曜日から金曜日は、起きている時間はほとんど仕事に費やされています。

 起きている間に、こんなに仕事に関っているのですから、嫌々仕事をするなどは、それこそ時間の無駄。もっと言ってしまえば、人生の無駄になります。どうせ同じ時間を過ごすなら、楽しまないともったいないですね。

 どんなに辛いことがあっても、無理矢理笑顔を作ることで、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)という腫瘍細胞を融解する機能をもつ細胞の数を増やすと言われています。全てが「病は気から」という訳ではありませんが、気持ちの持ちようで多少の変化は望めるということでしょう。

 仕事の多くは、辛いものでしょう。数字で競わなければならない仕事もあります。よりよいアイデアで他社との戦わなければならないものもあります。時間との勝負という仕事もあるでしょう。相手を蹴落とすという種類の仕事など楽しいと感じるよりも辛いと感じる人の方が多いかもしれません。

 そういう場合、ほんとうに小さいことでいいので、仕事の一端でも好きになりましょう。無理してでも好きになりましょう。無理してでも好きになるのです。営業にいくその電車の中が楽しい、それでもいいんです。

 自分のアイデアが、最終地点であるユーザーが喜んで使っている、ということをイメージするだけでも、喜びに変わるかもしれません。

 とにかく、無理してでも楽しめる部分を探しましょう。

 そのうち、無理をしなくても楽しめるようになります。

 そうすれば、またほかの楽しい部分が見えるようになり、最終的に仕事全体が楽しく感じるようになるのです。

■仕事のルール62「電話に出られない場合は{接客中}と伝えてもらおう」

 実際にあったケースです。

 「お電話ありがとうございます。株式会社○○○○でございます」

 「△△△株式会社社長の安田と申しますが、斎藤専務お願いいたします」

 「いつもお世話になっております。あいにく、ただ今斎藤は会議に出ておりますが・・・」

 「それでは、吉田常務か大山部長はおられますか?」

 「申し訳ございません、吉田も大山も同じ会議に出ております・・・。戻りましたら、お伝え致しますが、何かご伝言はございますか?」

 「う~ん、困ったな・・・、ちょっと急いでおりまして・・・。何時くらいにその会議終わりますか?」

 「もう終わる予定ですが、長引いているようでございます・・・」

 「わかりました。それではどなたか戻られましたら、△△△社の安田まで至急電話頂きたいとお伝え頂きますか?」

 「かしこまりました。そのようにお伝え致します・・・」

 この後、会議を終えて、斎藤専務、吉田常務、大山部長は戻ってはきましたが、会議が長引いたことから三人とも遅れてしまった次のアポに飛んで行ってしまった。ですので、安田社長には電話できませんでした。

 これは非常に問題です。

 なぜなら、△△△社は○○○社の顧客候補であり、安田社長は実は取引の提案書の件で至急誰かに連絡を取りたがっていたのです。○○○社には社内会議で誰とも連絡がとれずその後も連絡がもらえませんでした。

 つまり「あなたからの電話より社内イベントのほうが大事です」と言われたようなものです。結局、よくある話ですが、気を悪くした安田社長は内定していた△△△社との取引を白紙に戻しました。

 このような場合、正直に「会議中」と言うより「接客中」と伝える方がベターです。顧客の方は、接客なら自分同等(顧客)とのアポであるため、顧客を大切にしているとの理由から納得できます。

 即ちこの方が顧客に敬意を払っているのです。「嘘も方便」とはこのことでしょう。

■仕事のルール61「電話対応能力を高めよう」

 ファーストインプレッション、つまり第一印象がとても大切なものだというのは、それぞれの経験で知っていることと思います。最近、特にビジネスの世界では、第一印象が’声’というのが一般的ではないでしょうか。

 いきなり相手を訪問するというのは少ないでしょう。まず、電話で相手の都合を伺い、その後、時間を設定し、そして会う。第一印象は重要なのですが、実はこの電話での対応がとても重要といえるのです。

 たとえば、自分が直接お会いする予定の人でない場合も同じです。同僚に取引会社の人から電話があったとします。その時に同僚が外出だった場合、あなたはどう対応しますか?

 「あいにく外出しておりますが、お電話があったことをお伝えしましょうか?」

 そのような問いかけに、相手は

 「いえ、またかけ直します」

 と言ったとします。

 そのままにしてしまうようなら、電話対応能力はないと言えます。

 どんなときでも、「どこ」の「誰」から「何時」に電話が入り「どんな話」をしたかはメモに残すべきです。

 「かけ直す」といわれた場合でも、「かけ直すと言っていました」というメモを残せばいいのです。この電話をかけてきた相手の人は、実はすでに数回電話をしている場合もあります。その都度、「かけ直す」と言っていたとしても、メモが残っていれば、折返すこともできるでしょう。

 迅速なコミュニケーションを要求されるコンサルティング業界では、すぐに連絡しなければならない緊急事項も往々にしてあります。私の場合、いつ誰から何の用件で電話がかかってきたかなどを秘書に携帯メールまで通知してもらうようにしています。場合によっては会議中でもすぐに中座して即電話を折返すこともよくあります。

 電話は大事な第一印象です。

 声の調子だけでなく、対応の言葉使い、そして電話を切った後の対応も重要です。

■仕事のルール60「前向きに生きている人とのネットワークを広げよう」

 人はお互いに影響しあって生きています。

 たとえ孤独な一匹狼を気取っていても、必ず一人ではないのです。孤独を感じるのは、自分以外の人がいるからです。ということは、何らかの形で影響しあっているということですね。

 どうせ影響しあうなら、好影響の方がいいですよね。いい影響とは、いい生き方をしている人に影響されるということです。いい生き方と簡単にいっても何がいい生き方なのか、それが難しい。そこで、一番手っ取り早いのが「前向きに生きている人を探す」ことです。いわゆる「ポジティブシンキングの人」ですね。

 ここで一つ間違えてはいけないのが、ただの楽天家とか、結果を全く考えずに突き進むだけ進み、失敗してもその失敗の原因を考察しない、ただの向こう見ずな人を前向きにとらえることです。これは明らかに違っています。最悪な結果まで予測して、そうならないように考慮しながらチャレンジしていく。万が一その最悪の結果になったとしても、そこで思考をストップすることなく、二度と同じことのないよう自分なりに考え手を打っていく人のことです。

 そういう人達がまわりにたくさんいたら、さまざまな前向きの方向性の影響を多く受けることになります。どうやってポテンシャルを維持するのか、モチベーションはどうやって保つのか、緊張感はどうやって和らげるのか。そういった学校では教えてくれないことを、身をもって体験することによって影響しあえるのです。

 私の顧問先を見ますと、前向きに生きている社長の周りには必ずと言っていいほど、社内外に前向きに生きている人たちが集まっています。「類は友を呼ぶ」ですね。

 周辺に前向きな人たちのネットワークを作っておくと、その数は各方面からどんどん増えていきます。仕事のヒントとなる何かが得られるかもしれませんし、重要な人脈が作れるかもしれません。

 人は一人では生きていないのです。

 どうせなら、前向きな人たちとできるだけ時間を共有し行動を共にすることをお勧めします。そうすれば、気が付いたらあなたも「前向き人間」になっていることでしょう。正に「朱に交われば赤くなる」ですね!

■仕事のルール59「まず何のためにやるのか考えよう」

 上司に何か仕事を頼まれたとしましょう。例えば、資料集めだとします。

 単純に日曜日午後五時から午後十時までのテレビ番組ごとの平均視聴率を調べることになりました。

 これは、インターネットや各テレビ局などで調べることは可能ですね。もしかしたら一時間もかからないかもしれません。でも、それではアルバイトの人でも、あるいは高校生でもできることではないでしょうか。

 社会人なら、評価してもらいたいなら、ここで一つ頭を働かさないといけません。それは、「上司が何のためにその時間の視聴率を欲しているのか」を考えることです。ただ、数字を示せばいいのか?本当はそれだけでいいのかもしれません。

 ただ、例えばスポンサー名や番組の出演者などを書き添えてあると丁寧ですね。丁寧、というだけではありません。もしかしたら、後で必要になるものなのかも知れないのです。

 ある指示をされたら、その指示は何のためになされたのかを考えましょう。

 「何に使う資料なんですか?」と一言質問してみてもいいでしょうね。

 実は、たいして英語力も専門能力もなかった私が、米国の大手国際会計・経営コンサルティング会社でスピード出世できたのも、上司がこの点を高く評価してくれたからです。何か頼まれる度に、上司が何のために必要かをまず最初に把握するようにしました。私の仕事は質的には高いものではありませんでしたが、彼らが一番必要な情報を提供し続けたことによって部下としての満足度はかなり高かったと後で聞きました。

 ここがポイントです。

 まず、自分を上司の立場においてみることができるかどうか。自分だったら指示したもの以外に何があったらさらに効率的か、そこにどれだけ気が付くか。これが重要なのです。

 お茶一つ出す時でも、この気持ちがあれば変わるのです。

 夏だからといって必ず冷たいものなのか?そうでもない場合もあります。車でずっと移動している場合など、意外と体が冷えていて温かいものを飲みたくなるものです。

 そういったことも、ちょっとした頭の働かせ方次第で浮かんでくるのです。

 ですので、絶えず自分を相手の立場に置き換えて考える癖をつけましょう。

■仕事のルール58「まず整理整頓から」

 社会に出ると、一つのことだけに関っているわけにはいきません。仕事ももちろんです。一つのプロジェクトに集中したとしても、担当している会社や商品・サービスは多岐にわたっているのが、「普通」のことです。

 ついスケジュールが押してくるとしてしまうことの一つに、「上にどんどん重ねる」というものがあります。終わっていない作業がありながらも、次のものに手を付けなければならない場合、終わっていない作業をそのままにして、その上に新しい仕事を積み上げるのです。二つや三つなら、なんとかまだ対応できるかもしれませんね。でも、それが、四つ以上になったときを想像してみてください。

 また、積み上げるだけではなく、「場所をどんどん移動する」というものもあります。デスクの上だけではなく、デスクの下のスペース、デスク横にあるキャビネットのスペースにまで広げ、しかも重ねていったとしたら・・・。何がなんだか分からなくなるでしょうし、重ねたものはいつかは雪崩を起こすでしょう。

 そして、もう一度周辺を見回してください。

 スマートに仕事をこなして成績を上げている人、仕事のできる人は、デスクの周りが整理整頓されていませんか?会社から帰宅するとき、デスクの上がきれいな人に仕事のできる人が多いのではないでしょうか。

 効率を追求する経営コンサルティング会社である弊社も、整理整頓できている人ほど仕事が速く正確です。

 同じプロジェクトの中の仕事であれ、取りあえず一つの作業から次の作業に移行する時には、きちんとファイリングすることです。「いちいち片付けるのは手間が掛かる」と思うかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。実は、結果的にはその方が効率が上がるのです。加えて整理整頓することによって、仕事の流れを再確認することにもつながるのです。

 更に会社から退社するときには、デスクの上をきれいに整頓する。

 それだけで気持ちがリセットされ、オンとオフの区別がしっかりつきます。

 この区別が次の仕事への活力となります。

 整理整頓は効率的に仕事をする上でも、また職場での精神衛生上必須条件です。

■仕事のルール57「発言は短くポイントをついて」
      
 人前で発言する時、どうしても緊張し説明が長くなったり、反対に周りの目が気になり過ぎて、発言自体を止めてしまう人がいます。

 これは外国語を学ぶ日本人とよく特徴が似ているんです。

 「間違えたら恥ずかしい」「反論されたらどうしよう」「それなら話しかけない方がいい、話さない方がいい」というわけですね。極度に反論を怖がるため、却って説明がだらだらと長くなりますし、間違えたら恥ずかしいと思うことから、曖昧な表現に終始してしまいます。

 「この商品は、軽量化するために塗装も内部も軽く作っています。軽いといっても、別に単純に薄くしたわけではなく、○○という技術を使い、この技術はうちで開発したんですけどね。あ、軽量化したからと言って壊れやすくなった訳じゃないですよ。それに小型化もできたんです。持ち運び便利ですよ。それと・・・」

 これはありがちな商品説明ですね。
 でも、これでは、商品の一番の売りがなんだかさっぱりわかりません。

 「何よりも軽くしたことがこの商品の一番の特徴です。軽量化し更に小型化にも成功しました」

 だけで十分伝わりますよね。軽くしたから壊れやすくなるとすぐに考えることはないでしょう。質問されたら答えればいいのです。

 「どうやって軽くしたの?」には、「塗装面と基盤の軽量化です。強度には問題ありません」

 ほら、この方が、この商品は、「軽くて小さくなったけど、壊れないんだ」という特徴が伝わりやすいですよね。何が違うのでしょうか。

 一番伝えたいことをポイントを付けて短く伝える点です。

 一回の発言で言いたいことは一つ、というのは、短ければ短い発言であれば伝わりやすくなりますよね。細かい説明は後で十分できますし、技術的なことなどは言葉で聞くよりパンフレットなどで読んだほうが理解しやすいものです。

 全ての情報を整然と伝えようとするのではなく、一番伝えたいことを短い発言でポイントをつけること。これが相手の心に伝わり易いテクニックなのです。

■仕事のルール56「会いたい人にはどんどん会おう」

 いろいろな本を読むと、自分が経験していない知識も身につくことがあります。それがたとえ恋愛小説でもいいのです。様々なことを全て自分で体験しなければならないとなると何回人生をやりなおしても太刀打ちできませんから。

 それなら、作家の考えた人生を擬似的に空想の中で体験すればいいのです。主人公になってもいいでしょう。主人公の親友でもいい。またライバルというのもおもしろいかもしれません。ただ、小説だとどうしても自分の思ったように登場人物は動いてくれませんし、自分の疑問にも答えてはくれません。やはり、生身の人間に会うのが一番だったりします。

 テレビに出ている人に意見が言いたいと思っても「そんな機会はない」と諦めていませんか?その人のWebサイトを見てみてください。講演会のスケジュールが載っていませんか?ディスカッションの時間はありませんか?芸能人などは自分と意見を交換する機会というのは少ないかもしれませんが作家や評論家、ジャーナリストなどは意外と意見を交換できる機会はあるのです。

 また仕事上で会いたい人もいるでしょう。会いたいと思ったら、まず連絡してみましょう!とにかく、お願いしてみて下さい。相手があなたのその積極性を高く評価してくれることも多いのです。会いたい人に会うと、その人になぜこんなに会いたかったのか、すぐに分かる場合があります。空気というのでしょうか。不思議と波長のようなものがあるみたいですね。

 私は、学生時代から相手が有名人であろうと、会いたいと思った人には必ず出会うようにしてきました。例えば、経営学を勉強していたとき、その道の世界的大家、ピーター・ドラッカー博士や故エドワード・デミング博士の本を読み、実際に直接質問をしたくて会おうと思いました。

 みんなに会ってもらえるわけがないと言われましたが、意外にすんなりと会って頂きました。彼らの本で分からなかったことを伺ったところ、具体的にかつ丁寧に説明頂き、深く納得できました。その面談はその後の勉強や仕事に大きな励みとなっています。

 人に会うことは、頑張れる原動力を得るのみならず、自分の経験や人生を豊かにしてくれることが多いです。

 また、人の経験談を直接伺うことは自分の経験にもすることができます。

■仕事のルール54「人に変わってもらいたければまず自分が変わろう」

 あなたのまわりに相性の合わない人、どうしても気が合わない人はいませんか?また、もう少しこうであってくれればと思う上司とか同僚とか。気の合う人と合わない人、顔を合わせると、どうしても嫌味な一言を言われてしまう人が必ずいますよね。避けて通れる関係ならいいけれども、そういうわけにもいかない場合、どうすればいいのでしょうか?

 本音を言えば、相手に変ってもらいたい、しかしそれは相手もあなたに対して思っていることかもしれません。ではどうすれば?

 こういう時、私はこの言葉を思い浮かべることにしています。

 仏教の教えに「依正不二(えしょうふに)」という言葉があります。

 これは、業の深い人間が集まる娑婆世界で、いかにしてより良い人間関係を作っていくか、ということの答えになっています。簡単に言うと、自分と自分のまわりを取り巻く環境は、別のものではなく一体であるということでまわりに起きる出来事も、まわりにいる人間も、すべて自分自身の心の状態を映す影なのだと教えています。

 自分が動けば影も動きます。影に合わせて自分が動くことはありません。

 というように、環境を変えたかったらまず自分を変えよという原理です。

 はじめてこの言葉を聞いたとき、「なるほど!」と思いました。

 相手を変えるのは難しいことですが、自分を変えてみることならできますよね。

 先日、ある会社の新人社員さんより職場の上司とうまくいかないという相談を受けました。いつも高飛車で、自分勝手な命令ばかりする上司についていけないというのです。「あなたが少し心を広げて、上司の誕生日などにちょっとした贈り物をしてみては?」と私はアドバイスしました。

 彼は、用事がない限り話しかけるのもイヤな上司の誕生日に、意を決して小さなギフトをしたそうです。すると、その上司は意外そうな顔をしましたが、それからはたまに笑顔で声をかけてくれるように変ったそうです!

 ちょっとしたことですが、相手より少しだけ心を広く持つことですね。

■仕事のルール53「言われる前に自分から率先してやろう」

 人間というものはとにかく自分中心に考えがちです。

仕事をする上でも、やはり自分のペースで進めたいもの。上司から「あの書類はまだか?」と言われると、今やろうと思っていたのに!と憤慨してしまいますよね。

 ある意味「自分中心」で人間社会が成り立っているとするならば、仕事も自分中心で進めていけるリズムを自分で作ればいいのです。「言われる前にやる」というリズムを。

 会社は、あなたを雇用した以上、当然のことですが、あなたに給料に見合うだけの働きを期待しています。それはあなたも納得済みで就職したはずです。

 そして、あなたが期待以上の働きをしてくれるなら、その報酬として昇給があり、昇進があるわけです。ならば、常に知恵や勘を働かせて、上司が何を望んでいるのか、会社が何を自分に要求しているのかを、いち早く察知して専念したほうが得ですよね。

 今、世間では「勝ち組」「負け組」という言葉が流行っていますが、本当の人生の勝ち負けは最後までわかりません。勝敗は人生の一場面をとっただけでは判断できません。

 しかし、色々な人生の局面で、あなたの選択の価値判断が正しかったか間違っていたか、つまり損をしたのか得をしたのか、ということの集大成が、最終的な勝ち負けを決めていくのではないでしょうか?

 そう考えると、一日一日、仕事の上でも「勝ち組」を目指して努力をしたほうが得です。上司に言われなくても、早く出勤して掃除をする。自分の仕事以外であっても、何かできることはないか、常に考えて行動する。そんな面倒くさいことなんて、マジメに働いても損だ、と思うかもしれませんが、これは会社のため人のためのようで、実は自分のためになっていることに気付いてください。何事も率先してやるということが、上司に認められ、まわりの評価となり、必ずあなたの得することとなるのですから。

 つまり、ちょっと人より知恵を働かせ、機転を利かせて人より多く働くことは、一見損しているように見えます。実は、全部自分に帰ってきて得をするという、究極の「自分中心」の生き方になっているのですね。

■仕事のルール52「プロとしての意識を持って仕事をしよう」

 ① 仕事に人生をかける人

 ② 不可能を可能にするために限りなき努力をする人

 ③ 自分の仕事に誇りを持つと同時に謙虚な人

 ④ 先や時代を読んで仕事をする人

 ⑤ 時間より目標を達成させるために仕事をする人

 ⑥ 高い志・理念・目標に向かって邁進する人

 ⑦ 結果にすべての責任を持つ人

 ⑧ 成果によって報酬を得る人

 ⑨ 仕事において甘えのない人

 ⑩ 能力向上のために常に学び、努力し続ける人

 ⑪ 仕事を通して人間性・能力を高めていける人

 ⑫ 謙虚にかつ貧欲に誰からでも学ぼうとする人

 ⑬ 仕事を通してまわりの人に夢と感動を与える人

 ⑭ 仕事のために自己管理が徹底できる人

 ⑮ 尊敬できる人(メンター・師匠)を持ち、その人から徹底的について

   学んでいる人

 ⑯ 真剣に人材(後輩)育成している、または将来する決意のある人

 これが私の一流プロフェッショナル(プロ)としての定義であり条件でもあります。

 すべてにおいて該当する人はそうはいないと思いますが、プロを目指す以上一つ一つチャレンジすることが大切だと思います。

 人間はスタート時点(例えば産まれたときや学校を卒業した時)では同じのはずですが、時間の経過と共に差がつきます。それは能力や資質からくることなのでしょうか?私は、その差は高い志をもって夢を実現させようとする日々の努力にかかっていると思っています。

 プロというと、ただ単にその道を極める人と思われがちですが、その極めていく過程の中で人間性を高めていくことが本当のプロではないでしょうか。

 例え新人でも、一度お金貰って仕事をするのであれば、その人はれっきとしたビジネスのプロです。
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■仕事のルール51「自然体で背伸びしよう」

 やり過ぎずやらなさ過ぎず」。一昔常識だったサラリーマンの掟。

 当時は右肩上がりの日本経済でした。今は成果を出すために徹底してやらなければなりません。日本もいよいよ本格的なプロフェッショナル(プロ)の時代に入りつつあります。

 つまり実力主義・成果主義の時代です。今まではある程度満遍なくこなせる人であれば、企業・特に大企業・中堅企業の社長は務まりました。そこそこ優秀であれば、経営者は誰がやっても似たり寄ったりだったのです。

 しかし、これからは、日産自動車のカルロス・ゴーン氏のように、できる人がやらなければ会社は崩壊します。山一証券、ダイエー、ヤオハン、日本長期信用銀行など例を挙げればきりがありません。このように日本でも経営はプロがやらなければ成り立たなくなります。今までのような、売り上げ・市場拡大主義は終わり、利益率・キャッシュフロー重視、更には株主への利益還元を重視した経営が必須となってきたからです。これは資本主義経済でのあたりまえの原理で、今までの歪んだ日本経済が国際的、特に先進国から遊離してただけです。

 企業において役職で組織が形成されるような形式的な経営の時代は終わりました。今後はプロとして何ができるかでその人の組織内での役割や存在価値、更には存続が決まります。

 まさに企業は、そもそもあたりまえであるプロ集団化への道を歩み始めています。

 平社員から始まって上は社長まで一人一人がプロとして効果的・効率的に仕事をしなければ、競争力ある勝ち組企業にはなれず生き残れません。

 プロとは「自然体で背伸びする人」だと思います。

 無理しすぎると、その反動とストレスで長続きしませんし、適度な無理、すなわち自己限界への挑戦をしなければ、人間性や能力は高まりません。自然にそうできるようになるのがプロです。

 国際ビジネスやベンチャービジネス支援を専門とした経営コンサルティング会社としての弊社は、依頼主である経営者や投資家がしっかりしてさえいれば、他の一流コンサルティング会社が引き受けないような難しい仕事でも積極的に受けるようにしています。

 プロ集団として能力以上に背伸びすることによって、私を含めスタッフの許容範囲を広げ、能力をより伸ばすことができると信じるからです。
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■仕事のルール50「メモ魔になろう」

 「藤沢くん、先日君が言ってた新製品のキャッチフレーズなんだったけ?」

 「はあ、いつですか?」

 「この間、京都出張の帰りに新幹線の中で突然言ってたじゃないか!あれだよあれ・・・。もう忘れたのか?」

 「ああー なんでしょう?すみません、あの時とっさに浮かんだので今すぐには思い出せませんが・・・」

 「忘れるくらいなら、なんでメモしなかったんだ?」

 「すみません、そんなに気に入って頂いてるとは思わなかったので・・・」

 「君はいつもそうだよね、新人なのに!いつも大事なことメモらないよね!なんでなんだ?私が君くらいのころ、先輩や上司が言うことは必ずどこでもメモしてたぞ!」

 確かに言われる通り、会社や仕事の仕方になかなか慣れていない新人や若手社員であるにもかかわらず大事なことをメモしないのを見ていると、話もしたくなくなります。伝えた瞬間忘れられるのが目に見えているからです。一回ならまだ目も瞑れますが、何度も繰り返されたらもう二度とその人とはかかわりたくなくなります。

 20年以上国際ビジネスに関ってきて自信をもって言えることがあります。

 国や年齢に関係なく一流のプロフェッショナルにはいくつかの共通点があることです。その一つに、彼らは「メモ魔である」ことが挙げられる。どんなに頭がよく記憶力のいい人でも、大事なことは必ずメモします。

 大事なポジションにいる忙しい人はなおさらメモを取ります。

 米国で、国際会計・経営コンサルティング会社に入社したての頃、研修で何度も言われました。とにかく大事なことは「ドキュメンテーション」するようにと。

 その「ドキュメンテーション」という言葉の意味がピンとこなかったのですが、先輩が書いたものを読んでいるうちによくわかりました。誰が読んでもわかるようにしてあるメモでした。そのメモを読むとそのクライアント(顧問先)のことすべてが分かるようになっていました。

 それも「短からず長からず」です。

 たかがメモですが、そのメモの威力を痛感した次第です。