■仕事のルール20「言葉の省略はやめよう」

 インターネットや携帯電話の普及のためか、言葉、特に固有名詞をできるだけ略す傾向があるように感じます。短くなることはいいこともありますが、社名や人の名前を略すことは時に失礼になったり混乱を招きます。

 若い人の間では社内で頻繁に使う固有名詞があると略して呼び始めます。

 便宜上社内だけで使っているうちはいいのですが、使い方や場面がわからない新入社員の多くは、社外でもどうどうと頻繁にその簡易な名称を使います。

 聞いた方は、新しい営業手法なのか、何かの英語名なのか、聞き慣れないその言葉を不思議に思います。理解に苦しむのは、その言葉の省略の意味が分かっている人同士で省略形を使うのはいいのですが、知る余地のない人にも平気で頻繁に使っていることです。

 先日もある会社で大事なお客さんを交えての会議がありました。

 「部長、○○○には来週打合せに行きます」

 「なんだ○○○というのは?」

 「○○○○○株式会社の略です」

 「お客様の会社のことを君たちはそんな風に普段略して言ってるのか?」

 「はい!何しろ社名が長いので・・・」

 「担当部署内で省略することは考えられるが、何もお客様の前で省略して呼ばなくてもいいだろう!第一お客様に失礼だろう!」

 「すみません。いつも使ってるのでついつい・・・他も略して呼んでますが・・・」

 顧客であるその会社の担当者は、歴史と由緒のある会社だけに便宜上とはいえ勝手に自分の会社名を略して呼ばれたことでさすがに不機嫌。

 その場にいた顧客弁護士も「なんて気配りのない社員だろう」とでも言わんばかりの呆れた顔。

 社名を省略しただけのことですが、時と場合により、非常に失礼になります。

 そもそも便利ということで何でもかんでも省略してしまっていいものか極めて疑問です。会社名が長いといっても、たかだか5文字が3文字になるだけでした。

 固有名詞はできるだけ省略するのはやめ、省略する場合は時と場所を選びたいものです。