■仕事のルール33「お金(報酬)を追えばお金で滅びる」

 これは米国に17年間いて、ぜひ皆さんにお伝えしたいメッセージです。

 一般的な言い方にすれば、「お金で溺れる人はお金に泣く」ということでしょうか。

 知人で金融のプロがいます。彼はスタンフォード大学を出て、米国のハーバード・ビジネススクール(経営大学院)を優秀な成績で卒業し、一流証券会社に入社しました。

 とてもハングリーな性格なため、新人でありながらどんどん成果を出し、報酬もそれにともなって上がっていきました。

 それでも、自分が会社に儲けさせてあげている額からすると報酬は少なすぎると判断し、もっと報酬を出す投資銀行に転職してました。そこでもそこそこの成果を出しましたが、また昇給率に納得がいかず、同業他社に転職する羽目に。

 そんなことを毎年続けているうちに、「多少なりとも成果はだすものの、お金ですぐ動くあてにならない人」という評判が業界でたち、遂にどこからも信用してもらえなくなり、転職先もなくなってしまったのです。

 似たような話をきいたことありませんか?

 米国にいたとき、結構同じようなことをしているエリート達にパーティー等で出会いました。そういう人達は一見頭がよく優秀そうですが、人をバカにした話し方で自慢話ばかりし、顔にいやらしさのようなものがにじみ出ているため、業界の人間ならばすぐに察知します。

 日本に戻ってきて、同じような若手エリートに会いました。

 一流大学を出て、国内外の一流ビジネススクールに自費か会社派遣で留学した後、実力と報酬が違うということでより高い報酬を求め、毎年のように転職を続けている人達です。

 私は米国のテキサス州立大学(ダラス校)経営大学院(ビジネススクール)で7年間ビジネス全般を教える機会を得ました。その時の経験やエピソードは「MBAでは学べない勝つ経営の本質」(日経BP企画刊)にまとめましたが、卒業生をフォローしてみると報酬を追う人は優秀でも最後はお金で苦労しています。

 先日出会ったある会社の新入社員は、たった数千円の給料が違うから、遣り甲斐のありそうな仕事をさせてくれそうな会社より、有名企業に就職を決めたと堂々と自慢していました。  若いときはお金より、どれだけ好きか、それだけ力がつくかで仕事を選びたいものです。