■仕事のルール68「決断は素早く」

 時代はまさに ’タイム・イズ・マネー’ です。

 株式市場でも、ほんの数分の違いで大きな差が出ることはよくあることです。

 この10年でインターネットが世界中を網羅し、世界の距離も時間すら短くしてしまったようです。即断即決がなによりも望まれる社会になったといっても過言ではないでしょう。

 こういう話をすると、とにかくインスピレーションで行動すると受け取る人もいるのですが、私はそんなことを言っているのではありません。

 熟考することの大切さは変りません。

 大きな勝負の場合には特に熟考しなければいけません。取り返しのつかないことになる可能性があるからです。そして答えがでたら素早く行動するのです。

 熟考とは長い時間をかけて考えることではありません。

 深く考えるということなのです。今の時代、考える時間は短いほうがいいのですが、だからといって浅く考えて良い訳ではではありません。

 短い時間で深く考えるためには、訓練が必要でしょう。

 大学を卒業し、米国のプロフェッショナルな世界に飛び込んで愕然としました。今もそうですが、あまりに多くのことが連続的に発生し、即決しないと問題が起こるのです。どんどん決めていかなければどんどん問題が進み、やらなければならないことも増えていくのです。下手すると睡眠時間もなくなります。

 その時思いました。

 プロフェッショナルの証は、限られた時間内に深く考えてできるだけ正しい判断を下せることだと。

 まずは、どんなことでも短い時間で深く考えることを実践してみましょう。

 たとえば、今日身に付けるネクタイでいいんです。最初は3分などと時間を区切って、「今日会う相手の趣味は?」「気温は?」など次々に関連する項目を挙げ解決していく。ランチのメニューでもかまいません。「夕飯を食べるのが何時くらいになる予定か?」「消化にいいものの方がいいのか、それとも腹持ちのいいものにするのか」。そんな身近な決断でも訓練はできます。

 あまり難しく考えずに、肩の力を抜いてやってみてください。

 そうしていくうちに、ものをちょっとずつ掘り下げて考える能力がつき、そして素早く決断できるようになるはずです。