■仕事のルール75「経済力より信用力を」

 ライブドアの社長、堀江貴文氏。今、彼の名前を知らない人はいないでしょう。彼の会社と個人名が一躍新聞紙上をにぎわしたのが、プロ野球新規参入騒動の時です。経営不振で解体・合併を余儀なくされた「近鉄バッファローズ」の買収に手を挙げたのでした。

 当時、彼の話は何も間違えてはいませんでした。

 「自分のところにはお金がある。地元ファンも存続を望んでいる。選手も望んでいる。それなら、お金のある自分たちが買い取って、経営をしましょう」というものでした。この時、プロ野球経営者やその周辺は、彼の発言に対して反発したのではなく、彼の容姿でした。

 曰く「人前に出るのに、Tシャツとはなんだ」「礼儀知らず」「金さえあればいいと思っているのか」・・・。

 経営陣が経営に失敗し、選手やファンを路頭に迷わせようとしている時です。その責任者が「お金があるから買うよ」と言っている人に、そんな物言いがあるものかと思ったものです。堀江氏が問題提起したプロ野球問題は、結局、一つのチームがつぶれ、新しいチームが生まれるという「一

体なんの騒ぎだったのか」という結果に終わりました。しかも、新しいチームを作ったのが、同じIT関連企業の楽天だったのです。

 このとき、社長の三木谷浩史氏は、自慢のひげをそり落とし、ばっちりスーツで決めてきたのです。容姿は信用にもつながるという、日本の不思議なところでもあります。

 その後、ニッポン放送の買収劇、いわゆるホリエモン騒動に関しても、堀江氏の行動は法律的になんの問題もない、と東京高裁レベルで判断されたにも関わらず、非難を受け続けました。これはひとえに「経済力」よりも「信用力」の問題ということです。

 マイクロソフトのビル・ゲイツもTシャツで人前にでます。しかし彼はソフトウェアを作って広めたという信用が、容姿よりも大きいのでしょう。

 「お金があれば、格好なんてどうでもいいじゃないか」

それも事実かも知れません。しかし、信用できない人と仕事ができますか?

 信用を構築するまでは、見た目で勝負するのが一番なのです。経済力をひけらかすと逆効果なのです。

 一番はお金ももっているが、そのお金を生み出したのが信用力、というのが理想ですね。

 お金で信用は買えません。  しかし、信用がお金を生むことはよくあることです。