■仕事のルール81「毎日、小さな成功体験を積み重ねよう」

 ピンチや失敗が重要な意味を持ち貴重な体験につながると話してきました。順調な人生では得られない経験や力が身に付くと。しかし、もう一つ「負け癖」がついてしまうことは、避けなければならないともいいました。

 正反対のことのように聞こえるかもしれません。でも、よく考えてみれば分かると思いますが、同じなのです。ピンチや失敗を通じて経験した幾多のことで、負け癖をつけるのではなく、逆境に強くなる経験を身に付けることです。負け続けることではありません。

 そのためには「成功する」という事実も身に付けなければならないのです。成功といっても、まだ仕事を全て任されることもないのに、どうやって成功したらいいのか。ほんの小さなことでもいいのです。

 小さな成功体験ですから、何でもいいのです。

 今までできなかったちょっとしたことが今日できた、ということです。例えば、毎日飛び込み営業に行っても、どこの営業先企業の社長にも会えなかったのが今日始めて会えたとか、人前で話すのが苦手なのに、今日の朝礼で初めて上手く話せ聞いていた人から誉められたとかです。目的は、ささいなことでも成功し続けることによって自信をつけることなのですから。

 私も小さな成功を積み重ねてきたからこそ、仕事に対する絶対的な自信がつきました。勿論、失敗も多くありましたが成功体験も積み重ねてくると、勝ち癖がついてきますから、失敗の体験も次の成功に結びつけるための大事な反省・分析材料になりました。

 テキサス大学経営大学院(ビジネススクール)で、ビジネス関連科目を教えるチャンスを得た際、最初の頃は講義で失敗ばかりしていました。声が小さすぎて受講者のほとんどが理解できなかったとか、間違った内容を教えていたとか、時間配分を失敗して試験範囲をカバーできなかったなど挙げればきりがないです。しかし、毎回失敗する毎に対策を考え次にはできるよう準備しましたので、失敗体験が成功体験へと段々変わっていきました。その結果、大学院側は、私との契約を2年で終わるところを、7年間と長期延長してくれました。

 ピンチや失敗で得難い経験を積み、日々の小さな成功体験で「成功する喜び」を感じていけば、身に付いた経験と勝ち癖から大きな成功を手に入れることも可能なのです。