■仕事のルール84「できる人の言動から学ぼう」

 顧問先のベンチャー企業に伺ったところ、早すぎて社長はまだ出社されていませんでした。担当者に会いに寄ったら電話中。聞くつもりはなかったのですが、ついつい彼女のいつもながらの見事な電話応対の声が耳に入ってきます。

 「おはようございます。○○○株式会社でございます。」

 「・・・・」

 「はい、○○○工業の東田課長様でございますね。いつも大変お世話になっております。私、経営企画室の大木と申します。町田でございますね。町田は、本日午前中はお客様を訪問致しておりますが、午後1時には戻ると申しておりました。お急ぎでございましたら、至急こちらから連絡をとるように致しますが。それとも私の方で何かお手伝いできることがございますでしょうか?」

 適度な声の大きさ、言葉の歯切れの良さ。あまりに見事な応対に感心して聞き惚れておりました。するとその直後、新たに電話が鳴り、新人らしい若い女性が電話をとりました。

 「○○○株式会社です」

 「・・・」(先方)

 「はあ、町田さんはまだ来てません。あ!どこかに寄るって言ってた気もしますが・・・」

 「・・・」(先方)

 「え!私入ったばっかりなので、細かいことはわかりません。彼の予定も聞いていませんし・・・。本人じゃないとわからないので。言っときますが、また後でかけ直して下さい」

 あまりの二人の対応の違いにショックを受けました。ベテランとはいえ、二人が同じ会社の同じ部署の社員とは信じ難い思いでした。聞いたところ、その中途採用の新入社員は入社して既に三ヶ月は経過しているとのこと。

 電話応対は苦手だとのことですが、あんなに素晴らしくできる先輩が隣に座っているのに、なぜあの新人さんは彼女から学び、いいところを真似しようとしないのか不思議です。

 個人主義・マニュアル化されつつある仕事環境ですが、できる人の言動から学ぶことが最も効率的効果的仕事習得法であるのを、若手のみなさんには分かってほしいものです。