■仕事のルール90「尊敬語と謙譲語を峻別しよう」
一人前の社会人かどうかを判断する基準の一つに、敬語が正確に使えるかどうかがあります。ただ、ややこしいことに、日本語には敬語が3種類も存在します。丁寧語、尊敬語、謙譲語です。丁寧語は、そのまま丁寧な言葉遣いによって相手を敬う言葉のことです。問題は、尊敬語と謙譲語です。
尊敬語は、相手を敬って、その人自身やその人に属する物・事・行為を言うときに使い、謙譲語は自分や自分に関することをへりくだって言う場合に使います。尊敬語は相手に対して遣い、謙譲語は自分に対して使うのです。ただ、間違って使ってしまうのがこの2種類です。
「○○さんがおられましたら・・・」と「○○さんは参られましたか」。
これはどちらも尊敬語と謙譲語を逆用した誤用例です。「おる」「参る」は謙譲語ですから、相手の行為には使いません。前者は「いらっしゃいましたら」、後者は「○○さんはおいでになりますか(お見えになりますか)」が正しい使いかたです。また「部長が申していらっしゃいました」なども間違いです。「部長が申しておりました」が正解です。謙譲語「申す」と尊敬語「いらっしゃる」を混同した例です。
尊敬語と謙譲語で誤りやすい語句を(一般形/尊敬語/謙譲語の順)いくつか紹介します。
●見る/ご覧になる/拝見する/見せて頂く
●聞く/お聞きになる/承る・伺う・拝聴する・お聞きする
●行く/いらっしゃる・行かれる・お出かけになる/参る・伺う
●来る/いらっしゃる・おいでになる・お見えになる/参る・伺う
●する/なさる・される・お~になる/いたす・お~する
●与える/くださる/あげる/差し上げる
●食べる/召し上がる・お食べになる・あがる/頂く・頂戴する
●思う/思われる・おぼしめす/存ずる・拝察する
●会う/お会いになる・会われる/お会いする・お目にかかる
●話す/お話になる/お話する
●使う/お使いになる/使わせて頂く
普段使わない言葉をいざ使おうとすると間違え易いのは誰もが経験していることです。日頃からちゃんと要所要所で敬語を使い慣れておかなければ、敬語はつかえません。
会社では使わなければならない場所は良くあるので、徹底して練習しておきましょう!