■仕事のルール97「人に頼むときは具体的な指示をだそう」
新入社員の頃は、人にものを頼むことは少ないでしょう。
新入社員は、人にものを頼まれる側の人だからです。この時期に、ものを頼まれている経験をしっかり身につけておくことが重要です。どういう風に頼めば、自分の欲しかったものが出来上がってくるのか、それは自分が頼まれてきた経験から、うまく物事を頼む人のいいとこ取りをしていけばいいのです。
たとえば、コピーを頼むときです。
「これ、5部コピーしてくれませんか?」
というだけでは、バラバラのまま5部のコピーがデスクに置かれるだけかも知れません。ところが、
「会議に使うので、文字を揃えて5部ほどコピーをとってください。その後1セットずつに分けて、左上をクリップで留めてもらえますか?」
と伝えたら、すぐに会議室に持って行ける状態になっているはずです。
ある時、私は上司にコピーを頼まれました。会議に使うということです。原本をみてみると、文字のサイズはバラバラで、しかも斜めに印字されていました。そこで、文字のサイズが揃うように拡大・縮小を工夫し、斜めに印字されていたものは真っ直ぐになるように置き、コピー機のガラス面をきれいに拭き取りました。そして、横書きの書類は左上を、縦書きの書類は右上をクリップで留めるようにしました。これは読んでいく目の動きを考えるとそうする方がページをめくり易いと考えたからです。
まだ新人だった私は、そのことによって上司にすぐ名前を覚えてもらえるようになり、気遣いのできる社員として評価されました。今は、私がものを頼む立場となりました。自分の経験を基に、できるだけ具体的に頼んでいます。その方が最低ラインで合格という計算が先にできますし、ほとんどの場合、さらに工夫をしてもらえますので、使い易いものが出来上がってくるのです。
頼まれる側の人は、頼む側の使い勝手を知らないことが多くあります。
「使いかたを考えて工夫して」と言っても新人には想像できないこともあるのです。
できるだけ具体的な指示を出してあげるほうが、頼む側も頼まれる側もストレスなく上手くいくのです。