■仕事のルール65「先輩に敬意を払おう」

 仕事ができる先輩、あまり芳しくない先輩、優しい先輩、冷たい先輩などさまざまな先輩がいるでしょう。全ての人に同じように対応するのは難しいでしょうし、それを推奨しようとは思っていません。恩をうけた人にはそれなりの対応をするのは当たり前です。

 ここで言いたいのは「一日の長」ということです。自分よりも長く生きている人のことですが、仕事の面では特に一年二年は大きな差です。それだけ大きな経験をどんなタイプのの先輩に対しても、敬意を払わなければならない理由は分かるでしょう。

 「年長者を大切にしろということですね?」

 そうでもあり、そうでもないのです。ただ単純に大切にしろというのではありません。意見の対立を見たとしても、先輩の意見をよく聞き、その意見にあわせて自分でもう一度検討してみる。もちろん、さまざまなシミュレーションもしましょう。相手の意見をきちんと検討し、検証した上で自分の意見が正しいと導き出されたのなら、それをきちんと話す。

 単純に「年上の言うことを聞く」のでは敬意を払ったことにはなりません。

 きちんと検討することこそ、敬意を払うことになるのです。

 もちろん、無理難題を言われることもあるでしょう。それでも「検討」してみるのです。その態度は、必ず先輩に伝わるはずです。

 米国で国際会計・経営コンサルティング会社に入社したとき、私の能力は他の新入社員に比べ著しく劣っていました。先輩方が、経験・知識・専門能力のない私になぜ高いレベルの仕事を頼んでくるのか分かりませんでした。当初は苛めとしか考えられませんでした。

 しかし、自分が部下を持つようになってわかりました。あの先輩方の厳しさがあったから、必死に自分を磨くことに毎日専念できたのだと。今は本当にあの先輩方に感謝しています。

 敬意を払うことは、盲信することでも、服従することでもありません。

 そこをしっかり理解した上で、先輩に敬意を払った行動をとることはとても重要なことなのです。

■仕事のルール64「何事にも、誠実に対応しよう」

 ある時、営業に配属になったばかりの新入社員が先輩に付き添って飛び込みで営業先候補の会社を訪問しました。着くなり先輩から一喝。

 「僕も入社してすぐに一人で営業やらされたから、君もここからは一人でやってごらん」

 「は~?先輩!それは・・・。まだ、営業の何もわかっておりませんが・・・」

 「何言ってるんだよ!既に営業研修受けたじゃない。実際に営業の実演やったでしょう。」

 「は・・・い・・・。でもあれはあくまでもロールプレイでしたので・・・」

 「いいからやってごらん!そうじゃなきゃ、いつまでたっても営業できないよ!」

 「・・・」

 その会社の受付前で、こんな会話をしていた時、そこの社長が帰ってきました。

 「お帰りなさいませ、社長!先程からこちらの方が社長にご挨拶したいと待っておられますが・・・」

 と受付嬢が紹介してくれました。

 「何でしょう?」

 「はい、人材紹介業をやっております○○○株式会社の萩原と申します。新任でこの地域担当となりましたので、ご挨拶にまいりました」

 「それはわざわざありがとう。ただ、うちは紹介会社を使わないから、悪いけど遠慮しておくよ!」

 こんな会話から始まった心もとない営業だったが、そんとその新人はこの三ヶ月後にその会社から仕事をとってきました。理由は簡単です。毎日のようにその会社に行き、なんでも困っていることのお手伝いをしたため、社長はその新人の直向な態度からくる誠実さに心打たれたとのこと。遂に専属でその会社との契約を獲得。

 私も同様の経験があります。

 米国ではありましたが、新卒で入社間もない頃、ひたすら営業先企業の社長さんの相談に乗りお手伝いしたところ、初めての私の顧客になって頂きました。ビジネスの上で必要とされている経験・知識・自信は当時まったくありませんでしたので、先方からの質問やリクエストにただひたすら誠実に全力で応えるだけでした。

 その時、国は変われど、誠実は最高の戦術であり営業ツールだと痛感しました。

■仕事のルール63「仕事を楽しめる自分なりの方法を見つけよう」

 一日24時間、一週間で168時間となります。毎日7時間睡眠をとったと仮定して、睡眠時間の合計が49時間です。起きている時間だけを考えると、一週間に119時間しかありません。仕事をしている時間が、毎日1時間残業するとして9時から18時(昼休み1時間)、月曜日から金曜日とすると1週間で45時間。通勤で往復1時間半と想定すると7・5時間必要です。週の半分は完全に仕事で使われている計算になります。

 しかも仕事が終わったからといって、すぐに完全に自分の時間かと言えば、職場の付き合いもあるでしょう。となると、月曜日から金曜日は、起きている時間はほとんど仕事に費やされています。

 起きている間に、こんなに仕事に関っているのですから、嫌々仕事をするなどは、それこそ時間の無駄。もっと言ってしまえば、人生の無駄になります。どうせ同じ時間を過ごすなら、楽しまないともったいないですね。

 どんなに辛いことがあっても、無理矢理笑顔を作ることで、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)という腫瘍細胞を融解する機能をもつ細胞の数を増やすと言われています。全てが「病は気から」という訳ではありませんが、気持ちの持ちようで多少の変化は望めるということでしょう。

 仕事の多くは、辛いものでしょう。数字で競わなければならない仕事もあります。よりよいアイデアで他社との戦わなければならないものもあります。時間との勝負という仕事もあるでしょう。相手を蹴落とすという種類の仕事など楽しいと感じるよりも辛いと感じる人の方が多いかもしれません。

 そういう場合、ほんとうに小さいことでいいので、仕事の一端でも好きになりましょう。無理してでも好きになりましょう。無理してでも好きになるのです。営業にいくその電車の中が楽しい、それでもいいんです。

 自分のアイデアが、最終地点であるユーザーが喜んで使っている、ということをイメージするだけでも、喜びに変わるかもしれません。

 とにかく、無理してでも楽しめる部分を探しましょう。

 そのうち、無理をしなくても楽しめるようになります。

 そうすれば、またほかの楽しい部分が見えるようになり、最終的に仕事全体が楽しく感じるようになるのです。

■仕事のルール62「電話に出られない場合は{接客中}と伝えてもらおう」

 実際にあったケースです。

 「お電話ありがとうございます。株式会社○○○○でございます」

 「△△△株式会社社長の安田と申しますが、斎藤専務お願いいたします」

 「いつもお世話になっております。あいにく、ただ今斎藤は会議に出ておりますが・・・」

 「それでは、吉田常務か大山部長はおられますか?」

 「申し訳ございません、吉田も大山も同じ会議に出ております・・・。戻りましたら、お伝え致しますが、何かご伝言はございますか?」

 「う~ん、困ったな・・・、ちょっと急いでおりまして・・・。何時くらいにその会議終わりますか?」

 「もう終わる予定ですが、長引いているようでございます・・・」

 「わかりました。それではどなたか戻られましたら、△△△社の安田まで至急電話頂きたいとお伝え頂きますか?」

 「かしこまりました。そのようにお伝え致します・・・」

 この後、会議を終えて、斎藤専務、吉田常務、大山部長は戻ってはきましたが、会議が長引いたことから三人とも遅れてしまった次のアポに飛んで行ってしまった。ですので、安田社長には電話できませんでした。

 これは非常に問題です。

 なぜなら、△△△社は○○○社の顧客候補であり、安田社長は実は取引の提案書の件で至急誰かに連絡を取りたがっていたのです。○○○社には社内会議で誰とも連絡がとれずその後も連絡がもらえませんでした。

 つまり「あなたからの電話より社内イベントのほうが大事です」と言われたようなものです。結局、よくある話ですが、気を悪くした安田社長は内定していた△△△社との取引を白紙に戻しました。

 このような場合、正直に「会議中」と言うより「接客中」と伝える方がベターです。顧客の方は、接客なら自分同等(顧客)とのアポであるため、顧客を大切にしているとの理由から納得できます。

 即ちこの方が顧客に敬意を払っているのです。「嘘も方便」とはこのことでしょう。

■仕事のルール61「電話対応能力を高めよう」

 ファーストインプレッション、つまり第一印象がとても大切なものだというのは、それぞれの経験で知っていることと思います。最近、特にビジネスの世界では、第一印象が’声’というのが一般的ではないでしょうか。

 いきなり相手を訪問するというのは少ないでしょう。まず、電話で相手の都合を伺い、その後、時間を設定し、そして会う。第一印象は重要なのですが、実はこの電話での対応がとても重要といえるのです。

 たとえば、自分が直接お会いする予定の人でない場合も同じです。同僚に取引会社の人から電話があったとします。その時に同僚が外出だった場合、あなたはどう対応しますか?

 「あいにく外出しておりますが、お電話があったことをお伝えしましょうか?」

 そのような問いかけに、相手は

 「いえ、またかけ直します」

 と言ったとします。

 そのままにしてしまうようなら、電話対応能力はないと言えます。

 どんなときでも、「どこ」の「誰」から「何時」に電話が入り「どんな話」をしたかはメモに残すべきです。

 「かけ直す」といわれた場合でも、「かけ直すと言っていました」というメモを残せばいいのです。この電話をかけてきた相手の人は、実はすでに数回電話をしている場合もあります。その都度、「かけ直す」と言っていたとしても、メモが残っていれば、折返すこともできるでしょう。

 迅速なコミュニケーションを要求されるコンサルティング業界では、すぐに連絡しなければならない緊急事項も往々にしてあります。私の場合、いつ誰から何の用件で電話がかかってきたかなどを秘書に携帯メールまで通知してもらうようにしています。場合によっては会議中でもすぐに中座して即電話を折返すこともよくあります。

 電話は大事な第一印象です。

 声の調子だけでなく、対応の言葉使い、そして電話を切った後の対応も重要です。

■仕事のルール60「前向きに生きている人とのネットワークを広げよう」

 人はお互いに影響しあって生きています。

 たとえ孤独な一匹狼を気取っていても、必ず一人ではないのです。孤独を感じるのは、自分以外の人がいるからです。ということは、何らかの形で影響しあっているということですね。

 どうせ影響しあうなら、好影響の方がいいですよね。いい影響とは、いい生き方をしている人に影響されるということです。いい生き方と簡単にいっても何がいい生き方なのか、それが難しい。そこで、一番手っ取り早いのが「前向きに生きている人を探す」ことです。いわゆる「ポジティブシンキングの人」ですね。

 ここで一つ間違えてはいけないのが、ただの楽天家とか、結果を全く考えずに突き進むだけ進み、失敗してもその失敗の原因を考察しない、ただの向こう見ずな人を前向きにとらえることです。これは明らかに違っています。最悪な結果まで予測して、そうならないように考慮しながらチャレンジしていく。万が一その最悪の結果になったとしても、そこで思考をストップすることなく、二度と同じことのないよう自分なりに考え手を打っていく人のことです。

 そういう人達がまわりにたくさんいたら、さまざまな前向きの方向性の影響を多く受けることになります。どうやってポテンシャルを維持するのか、モチベーションはどうやって保つのか、緊張感はどうやって和らげるのか。そういった学校では教えてくれないことを、身をもって体験することによって影響しあえるのです。

 私の顧問先を見ますと、前向きに生きている社長の周りには必ずと言っていいほど、社内外に前向きに生きている人たちが集まっています。「類は友を呼ぶ」ですね。

 周辺に前向きな人たちのネットワークを作っておくと、その数は各方面からどんどん増えていきます。仕事のヒントとなる何かが得られるかもしれませんし、重要な人脈が作れるかもしれません。

 人は一人では生きていないのです。

 どうせなら、前向きな人たちとできるだけ時間を共有し行動を共にすることをお勧めします。そうすれば、気が付いたらあなたも「前向き人間」になっていることでしょう。正に「朱に交われば赤くなる」ですね!

■仕事のルール59「まず何のためにやるのか考えよう」

 上司に何か仕事を頼まれたとしましょう。例えば、資料集めだとします。

 単純に日曜日午後五時から午後十時までのテレビ番組ごとの平均視聴率を調べることになりました。

 これは、インターネットや各テレビ局などで調べることは可能ですね。もしかしたら一時間もかからないかもしれません。でも、それではアルバイトの人でも、あるいは高校生でもできることではないでしょうか。

 社会人なら、評価してもらいたいなら、ここで一つ頭を働かさないといけません。それは、「上司が何のためにその時間の視聴率を欲しているのか」を考えることです。ただ、数字を示せばいいのか?本当はそれだけでいいのかもしれません。

 ただ、例えばスポンサー名や番組の出演者などを書き添えてあると丁寧ですね。丁寧、というだけではありません。もしかしたら、後で必要になるものなのかも知れないのです。

 ある指示をされたら、その指示は何のためになされたのかを考えましょう。

 「何に使う資料なんですか?」と一言質問してみてもいいでしょうね。

 実は、たいして英語力も専門能力もなかった私が、米国の大手国際会計・経営コンサルティング会社でスピード出世できたのも、上司がこの点を高く評価してくれたからです。何か頼まれる度に、上司が何のために必要かをまず最初に把握するようにしました。私の仕事は質的には高いものではありませんでしたが、彼らが一番必要な情報を提供し続けたことによって部下としての満足度はかなり高かったと後で聞きました。

 ここがポイントです。

 まず、自分を上司の立場においてみることができるかどうか。自分だったら指示したもの以外に何があったらさらに効率的か、そこにどれだけ気が付くか。これが重要なのです。

 お茶一つ出す時でも、この気持ちがあれば変わるのです。

 夏だからといって必ず冷たいものなのか?そうでもない場合もあります。車でずっと移動している場合など、意外と体が冷えていて温かいものを飲みたくなるものです。

 そういったことも、ちょっとした頭の働かせ方次第で浮かんでくるのです。

 ですので、絶えず自分を相手の立場に置き換えて考える癖をつけましょう。

■仕事のルール58「まず整理整頓から」

 社会に出ると、一つのことだけに関っているわけにはいきません。仕事ももちろんです。一つのプロジェクトに集中したとしても、担当している会社や商品・サービスは多岐にわたっているのが、「普通」のことです。

 ついスケジュールが押してくるとしてしまうことの一つに、「上にどんどん重ねる」というものがあります。終わっていない作業がありながらも、次のものに手を付けなければならない場合、終わっていない作業をそのままにして、その上に新しい仕事を積み上げるのです。二つや三つなら、なんとかまだ対応できるかもしれませんね。でも、それが、四つ以上になったときを想像してみてください。

 また、積み上げるだけではなく、「場所をどんどん移動する」というものもあります。デスクの上だけではなく、デスクの下のスペース、デスク横にあるキャビネットのスペースにまで広げ、しかも重ねていったとしたら・・・。何がなんだか分からなくなるでしょうし、重ねたものはいつかは雪崩を起こすでしょう。

 そして、もう一度周辺を見回してください。

 スマートに仕事をこなして成績を上げている人、仕事のできる人は、デスクの周りが整理整頓されていませんか?会社から帰宅するとき、デスクの上がきれいな人に仕事のできる人が多いのではないでしょうか。

 効率を追求する経営コンサルティング会社である弊社も、整理整頓できている人ほど仕事が速く正確です。

 同じプロジェクトの中の仕事であれ、取りあえず一つの作業から次の作業に移行する時には、きちんとファイリングすることです。「いちいち片付けるのは手間が掛かる」と思うかもしれませんが、騙されたと思ってやってみてください。実は、結果的にはその方が効率が上がるのです。加えて整理整頓することによって、仕事の流れを再確認することにもつながるのです。

 更に会社から退社するときには、デスクの上をきれいに整頓する。

 それだけで気持ちがリセットされ、オンとオフの区別がしっかりつきます。

 この区別が次の仕事への活力となります。

 整理整頓は効率的に仕事をする上でも、また職場での精神衛生上必須条件です。

■仕事のルール57「発言は短くポイントをついて」
      
 人前で発言する時、どうしても緊張し説明が長くなったり、反対に周りの目が気になり過ぎて、発言自体を止めてしまう人がいます。

 これは外国語を学ぶ日本人とよく特徴が似ているんです。

 「間違えたら恥ずかしい」「反論されたらどうしよう」「それなら話しかけない方がいい、話さない方がいい」というわけですね。極度に反論を怖がるため、却って説明がだらだらと長くなりますし、間違えたら恥ずかしいと思うことから、曖昧な表現に終始してしまいます。

 「この商品は、軽量化するために塗装も内部も軽く作っています。軽いといっても、別に単純に薄くしたわけではなく、○○という技術を使い、この技術はうちで開発したんですけどね。あ、軽量化したからと言って壊れやすくなった訳じゃないですよ。それに小型化もできたんです。持ち運び便利ですよ。それと・・・」

 これはありがちな商品説明ですね。
 でも、これでは、商品の一番の売りがなんだかさっぱりわかりません。

 「何よりも軽くしたことがこの商品の一番の特徴です。軽量化し更に小型化にも成功しました」

 だけで十分伝わりますよね。軽くしたから壊れやすくなるとすぐに考えることはないでしょう。質問されたら答えればいいのです。

 「どうやって軽くしたの?」には、「塗装面と基盤の軽量化です。強度には問題ありません」

 ほら、この方が、この商品は、「軽くて小さくなったけど、壊れないんだ」という特徴が伝わりやすいですよね。何が違うのでしょうか。

 一番伝えたいことをポイントを付けて短く伝える点です。

 一回の発言で言いたいことは一つ、というのは、短ければ短い発言であれば伝わりやすくなりますよね。細かい説明は後で十分できますし、技術的なことなどは言葉で聞くよりパンフレットなどで読んだほうが理解しやすいものです。

 全ての情報を整然と伝えようとするのではなく、一番伝えたいことを短い発言でポイントをつけること。これが相手の心に伝わり易いテクニックなのです。

■仕事のルール56「会いたい人にはどんどん会おう」

 いろいろな本を読むと、自分が経験していない知識も身につくことがあります。それがたとえ恋愛小説でもいいのです。様々なことを全て自分で体験しなければならないとなると何回人生をやりなおしても太刀打ちできませんから。

 それなら、作家の考えた人生を擬似的に空想の中で体験すればいいのです。主人公になってもいいでしょう。主人公の親友でもいい。またライバルというのもおもしろいかもしれません。ただ、小説だとどうしても自分の思ったように登場人物は動いてくれませんし、自分の疑問にも答えてはくれません。やはり、生身の人間に会うのが一番だったりします。

 テレビに出ている人に意見が言いたいと思っても「そんな機会はない」と諦めていませんか?その人のWebサイトを見てみてください。講演会のスケジュールが載っていませんか?ディスカッションの時間はありませんか?芸能人などは自分と意見を交換する機会というのは少ないかもしれませんが作家や評論家、ジャーナリストなどは意外と意見を交換できる機会はあるのです。

 また仕事上で会いたい人もいるでしょう。会いたいと思ったら、まず連絡してみましょう!とにかく、お願いしてみて下さい。相手があなたのその積極性を高く評価してくれることも多いのです。会いたい人に会うと、その人になぜこんなに会いたかったのか、すぐに分かる場合があります。空気というのでしょうか。不思議と波長のようなものがあるみたいですね。

 私は、学生時代から相手が有名人であろうと、会いたいと思った人には必ず出会うようにしてきました。例えば、経営学を勉強していたとき、その道の世界的大家、ピーター・ドラッカー博士や故エドワード・デミング博士の本を読み、実際に直接質問をしたくて会おうと思いました。

 みんなに会ってもらえるわけがないと言われましたが、意外にすんなりと会って頂きました。彼らの本で分からなかったことを伺ったところ、具体的にかつ丁寧に説明頂き、深く納得できました。その面談はその後の勉強や仕事に大きな励みとなっています。

 人に会うことは、頑張れる原動力を得るのみならず、自分の経験や人生を豊かにしてくれることが多いです。

 また、人の経験談を直接伺うことは自分の経験にもすることができます。

■仕事のルール54「人に変わってもらいたければまず自分が変わろう」

 あなたのまわりに相性の合わない人、どうしても気が合わない人はいませんか?また、もう少しこうであってくれればと思う上司とか同僚とか。気の合う人と合わない人、顔を合わせると、どうしても嫌味な一言を言われてしまう人が必ずいますよね。避けて通れる関係ならいいけれども、そういうわけにもいかない場合、どうすればいいのでしょうか?

 本音を言えば、相手に変ってもらいたい、しかしそれは相手もあなたに対して思っていることかもしれません。ではどうすれば?

 こういう時、私はこの言葉を思い浮かべることにしています。

 仏教の教えに「依正不二(えしょうふに)」という言葉があります。

 これは、業の深い人間が集まる娑婆世界で、いかにしてより良い人間関係を作っていくか、ということの答えになっています。簡単に言うと、自分と自分のまわりを取り巻く環境は、別のものではなく一体であるということでまわりに起きる出来事も、まわりにいる人間も、すべて自分自身の心の状態を映す影なのだと教えています。

 自分が動けば影も動きます。影に合わせて自分が動くことはありません。

 というように、環境を変えたかったらまず自分を変えよという原理です。

 はじめてこの言葉を聞いたとき、「なるほど!」と思いました。

 相手を変えるのは難しいことですが、自分を変えてみることならできますよね。

 先日、ある会社の新人社員さんより職場の上司とうまくいかないという相談を受けました。いつも高飛車で、自分勝手な命令ばかりする上司についていけないというのです。「あなたが少し心を広げて、上司の誕生日などにちょっとした贈り物をしてみては?」と私はアドバイスしました。

 彼は、用事がない限り話しかけるのもイヤな上司の誕生日に、意を決して小さなギフトをしたそうです。すると、その上司は意外そうな顔をしましたが、それからはたまに笑顔で声をかけてくれるように変ったそうです!

 ちょっとしたことですが、相手より少しだけ心を広く持つことですね。

■仕事のルール53「言われる前に自分から率先してやろう」

 人間というものはとにかく自分中心に考えがちです。

仕事をする上でも、やはり自分のペースで進めたいもの。上司から「あの書類はまだか?」と言われると、今やろうと思っていたのに!と憤慨してしまいますよね。

 ある意味「自分中心」で人間社会が成り立っているとするならば、仕事も自分中心で進めていけるリズムを自分で作ればいいのです。「言われる前にやる」というリズムを。

 会社は、あなたを雇用した以上、当然のことですが、あなたに給料に見合うだけの働きを期待しています。それはあなたも納得済みで就職したはずです。

 そして、あなたが期待以上の働きをしてくれるなら、その報酬として昇給があり、昇進があるわけです。ならば、常に知恵や勘を働かせて、上司が何を望んでいるのか、会社が何を自分に要求しているのかを、いち早く察知して専念したほうが得ですよね。

 今、世間では「勝ち組」「負け組」という言葉が流行っていますが、本当の人生の勝ち負けは最後までわかりません。勝敗は人生の一場面をとっただけでは判断できません。

 しかし、色々な人生の局面で、あなたの選択の価値判断が正しかったか間違っていたか、つまり損をしたのか得をしたのか、ということの集大成が、最終的な勝ち負けを決めていくのではないでしょうか?

 そう考えると、一日一日、仕事の上でも「勝ち組」を目指して努力をしたほうが得です。上司に言われなくても、早く出勤して掃除をする。自分の仕事以外であっても、何かできることはないか、常に考えて行動する。そんな面倒くさいことなんて、マジメに働いても損だ、と思うかもしれませんが、これは会社のため人のためのようで、実は自分のためになっていることに気付いてください。何事も率先してやるということが、上司に認められ、まわりの評価となり、必ずあなたの得することとなるのですから。

 つまり、ちょっと人より知恵を働かせ、機転を利かせて人より多く働くことは、一見損しているように見えます。実は、全部自分に帰ってきて得をするという、究極の「自分中心」の生き方になっているのですね。

■仕事のルール52「プロとしての意識を持って仕事をしよう」

 ① 仕事に人生をかける人

 ② 不可能を可能にするために限りなき努力をする人

 ③ 自分の仕事に誇りを持つと同時に謙虚な人

 ④ 先や時代を読んで仕事をする人

 ⑤ 時間より目標を達成させるために仕事をする人

 ⑥ 高い志・理念・目標に向かって邁進する人

 ⑦ 結果にすべての責任を持つ人

 ⑧ 成果によって報酬を得る人

 ⑨ 仕事において甘えのない人

 ⑩ 能力向上のために常に学び、努力し続ける人

 ⑪ 仕事を通して人間性・能力を高めていける人

 ⑫ 謙虚にかつ貧欲に誰からでも学ぼうとする人

 ⑬ 仕事を通してまわりの人に夢と感動を与える人

 ⑭ 仕事のために自己管理が徹底できる人

 ⑮ 尊敬できる人(メンター・師匠)を持ち、その人から徹底的について

   学んでいる人

 ⑯ 真剣に人材(後輩)育成している、または将来する決意のある人

 これが私の一流プロフェッショナル(プロ)としての定義であり条件でもあります。

 すべてにおいて該当する人はそうはいないと思いますが、プロを目指す以上一つ一つチャレンジすることが大切だと思います。

 人間はスタート時点(例えば産まれたときや学校を卒業した時)では同じのはずですが、時間の経過と共に差がつきます。それは能力や資質からくることなのでしょうか?私は、その差は高い志をもって夢を実現させようとする日々の努力にかかっていると思っています。

 プロというと、ただ単にその道を極める人と思われがちですが、その極めていく過程の中で人間性を高めていくことが本当のプロではないでしょうか。

 例え新人でも、一度お金貰って仕事をするのであれば、その人はれっきとしたビジネスのプロです。
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■仕事のルール51「自然体で背伸びしよう」

 やり過ぎずやらなさ過ぎず」。一昔常識だったサラリーマンの掟。

 当時は右肩上がりの日本経済でした。今は成果を出すために徹底してやらなければなりません。日本もいよいよ本格的なプロフェッショナル(プロ)の時代に入りつつあります。

 つまり実力主義・成果主義の時代です。今まではある程度満遍なくこなせる人であれば、企業・特に大企業・中堅企業の社長は務まりました。そこそこ優秀であれば、経営者は誰がやっても似たり寄ったりだったのです。

 しかし、これからは、日産自動車のカルロス・ゴーン氏のように、できる人がやらなければ会社は崩壊します。山一証券、ダイエー、ヤオハン、日本長期信用銀行など例を挙げればきりがありません。このように日本でも経営はプロがやらなければ成り立たなくなります。今までのような、売り上げ・市場拡大主義は終わり、利益率・キャッシュフロー重視、更には株主への利益還元を重視した経営が必須となってきたからです。これは資本主義経済でのあたりまえの原理で、今までの歪んだ日本経済が国際的、特に先進国から遊離してただけです。

 企業において役職で組織が形成されるような形式的な経営の時代は終わりました。今後はプロとして何ができるかでその人の組織内での役割や存在価値、更には存続が決まります。

 まさに企業は、そもそもあたりまえであるプロ集団化への道を歩み始めています。

 平社員から始まって上は社長まで一人一人がプロとして効果的・効率的に仕事をしなければ、競争力ある勝ち組企業にはなれず生き残れません。

 プロとは「自然体で背伸びする人」だと思います。

 無理しすぎると、その反動とストレスで長続きしませんし、適度な無理、すなわち自己限界への挑戦をしなければ、人間性や能力は高まりません。自然にそうできるようになるのがプロです。

 国際ビジネスやベンチャービジネス支援を専門とした経営コンサルティング会社としての弊社は、依頼主である経営者や投資家がしっかりしてさえいれば、他の一流コンサルティング会社が引き受けないような難しい仕事でも積極的に受けるようにしています。

 プロ集団として能力以上に背伸びすることによって、私を含めスタッフの許容範囲を広げ、能力をより伸ばすことができると信じるからです。
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■仕事のルール50「メモ魔になろう」

 「藤沢くん、先日君が言ってた新製品のキャッチフレーズなんだったけ?」

 「はあ、いつですか?」

 「この間、京都出張の帰りに新幹線の中で突然言ってたじゃないか!あれだよあれ・・・。もう忘れたのか?」

 「ああー なんでしょう?すみません、あの時とっさに浮かんだので今すぐには思い出せませんが・・・」

 「忘れるくらいなら、なんでメモしなかったんだ?」

 「すみません、そんなに気に入って頂いてるとは思わなかったので・・・」

 「君はいつもそうだよね、新人なのに!いつも大事なことメモらないよね!なんでなんだ?私が君くらいのころ、先輩や上司が言うことは必ずどこでもメモしてたぞ!」

 確かに言われる通り、会社や仕事の仕方になかなか慣れていない新人や若手社員であるにもかかわらず大事なことをメモしないのを見ていると、話もしたくなくなります。伝えた瞬間忘れられるのが目に見えているからです。一回ならまだ目も瞑れますが、何度も繰り返されたらもう二度とその人とはかかわりたくなくなります。

 20年以上国際ビジネスに関ってきて自信をもって言えることがあります。

 国や年齢に関係なく一流のプロフェッショナルにはいくつかの共通点があることです。その一つに、彼らは「メモ魔である」ことが挙げられる。どんなに頭がよく記憶力のいい人でも、大事なことは必ずメモします。

 大事なポジションにいる忙しい人はなおさらメモを取ります。

 米国で、国際会計・経営コンサルティング会社に入社したての頃、研修で何度も言われました。とにかく大事なことは「ドキュメンテーション」するようにと。

 その「ドキュメンテーション」という言葉の意味がピンとこなかったのですが、先輩が書いたものを読んでいるうちによくわかりました。誰が読んでもわかるようにしてあるメモでした。そのメモを読むとそのクライアント(顧問先)のことすべてが分かるようになっていました。

 それも「短からず長からず」です。

 たかがメモですが、そのメモの威力を痛感した次第です。

■仕事のルール49「おごってもらったら、おごり返そう」

 「ここはいいよ、僕がだすから・・・」

 「ええ!先輩いいんですか、またおごって頂いて?」

 「いいんだよ。君より給料もらってるんだから・・・その分仕事頑張って・・・」

 「いつもいつも、すみません!今度は僕におごらせて下さい」

 新人の頃、上司や先輩におごってもらうことが多いでしょう。新人かつ安月給なので。当たり前といえばあたりまえなのかも知れません。ただ、いつもおごってもらって平気なのはエチケットに反します。先輩や上司は給料は多いかも知れません。でも、その分出ていくお金も多いものです。特に、所帯持ちであれば、奥さんやお子さんに関わる出費も多いため、使えるお金も少ないはず。かえって、独身であるあなたの方が自由になるお金は多いかも。

 それで、たまに感謝の意を込めて、給料日やボーナス時におごり返すのも礼儀です。

 「あいつ若いのに気配りあるなあ…将来立派なリーダーになれそうだ…」とお株もあがることでしょう。ただ、私もそうですが、上司や先輩によって新人や後輩に絶対おごらせない人も中にはいます。その場合、誕生日とかに何か簡単なプレゼントでもしたらどうでしょう。高価なものじゃなくてもいいのです。感謝の気持ちですから・・・。もし、本人が受け取らないタイプの人なら、奥さんやお子さん、また恋人に、ちょっとしたギフト、例えば本、お酒、花、コーヒーカップなど、もらって喜んでもらえるものを用意することをお薦めします。

 大事なことは感謝の気持ちです。お金やものではありません。食事や飲みに誘ってくれることは、あなたと本音で話しかったり、部下や後輩として好かれ評価されている証拠です。その期待と評価を仕事で恩返しをし、何かのチャンスにちょっとしたもので、感謝の意を表しましょう。上司や先輩はそんなあなたをいよいよ好きになり応援したくなるでしょう。

 おごってもらうのは当たり前だと絶対に思ってはいけません。

 例えおごられるのに慣れている若手の女性でもです。仕事の付き合いですから、持ちつ持たれつです。

 あまり頻度が多い場合、毎回おごられると今後一緒に行きにくいとでも言い割り勘にしてもらった方が、関係は長続きすることでしょう。

■仕事のルール48「定期的に企画書や提案書を上司に出そう」

 「冗談みたいな話なんですが、ある時、前々から温めていた新規事業を会社に出したら採用され、そのための新部署ができたのみならず、言いだしっぺということで、その部署の責任者に抜擢されました。もっと驚いたことに、その部署の新しい部下は、三年前私が新入社員だった時の上司達なんです。」

 短大を出て大手保険会社に就職した彼女は、どうしたら会社がもっとよくなるのか、就職して以来絶えず考え続けていました。そして、新しい考え方やアイデアが浮かんでは、企画書や提案書にして定期的に上司に見せてました。

 「ほう、感心じゃないか、忙しいのに新規事業なんか出してきて・・・でも、これじゃあ、うちにはちょっとできないな・・・。費用対効果が悪すぎるから」

 当初の頃、上司のコメントはこんなものでした。

 それにも懲りず、アイデアが浮かんでは企画書や提案書を会社に出していました。彼女としては、会社を良くしたいという一心でやっていたことです。ただ、案が採用されるとは夢にも思っていなかっただけに、本当にそのための部署ができたときは信じられませんでした。

 実は会社が入社して3年も経たない彼女の案を採用したのは、案そのものがよかっただけではありません。どんな困難な仕事をするときもいつも前向きで、誰よりも努力していたことから、彼女は社内で模範的な存在となっていました。その彼女が、若いとはいえ会社のために凄い案を出してきたのです。それが社長の目にとまりこの大抜擢となりました。

 彼女が新しい部署のリーダーになることに内定したとき、既に窓際族となっていた彼女の昔の上司達は、それを知りぜひ彼女と仕事がしたいと会社に申し出たとのこと。

 会社や上司というものは、例え若くても会社のために自分の頭で考え現実的な提案をしてくる、やる気のある社員を高く評価します。新しいことを提案することは、真剣に会社のことを考えていなければできないことだからです。

 会社のことを思って企画書や提案書をだすのに、経験・知識・年齢・性別・部署・役職など関係ありません。どれだけ真剣に会社のことを思い働いているかです。

 言われていることややらなければならないことは、会社から給料をもらっていれば誰でもしますから。

■仕事のルール47「いつも笑顔で」

 私が米国で国際会計・経営コンサルティング会社に勤務していたときに、秘書として一緒に働いてくれた日本人がいました。実に優秀な秘書で、何か頼むと、先々まで配慮してやってくれるので本当に助かりました。

 短大を卒業したばかりで秘書としては未経験の若い女性でしたが、今まで働いてくれた秘書の中では、今の秘書と並んでピカイチです。

 彼女に仕事を頼むと、いつでもどんな難しいことでも笑顔で受けてくれました。そして、彼女の能力では難しいだろうなと思う書類でも、短時間で見事に仕上げてきます。頼んだ仕事でできなかったことは一つもありませんでした。とても努力家で、前向きな姿勢には、本当に感心しました。

 その後、私が独立したこともあって、彼女は他の会社に移りましたが、持ち前の明るさと努力でどんどんキャリアアップし、いまでは日系の一流商社で、なくてはならないベテランの現地秘書として働いています。

 いつも笑顔を絶やさない人は、誰からも好かれ幸運にも恵まれることを実感しました。

 どんな時でも笑顔でいられるということは、心が常に前向きで、何にも負けない強さを持っているということです。また、外に向かって心が開かれているので、他人を受け入れることができるし、運気を招きます。

 反対に、ブスッとした顔でいる人には、何も頼みたくなくなるし、人からも好かれません。心が傲慢で自己中心になっているので、人を受け入れられない状態になっています。心が閉じているので、運も入ってこないし、当然頼んだ仕事も満足のいくものにはならないはずです。

 職場は戦場ですから、毎日様々な変化の連続です。

 お客様に満足していただく闘いであり、敵との攻防戦です。その中に身を置いていると、感情の起伏も激しくなるでしょうし、心もカサついてきます。そんな中にいつも爽やかな笑顔の人がいてくれたら、どんなに空気がなごみやる気が湧き、団結力が生まれることでしょう!

 笑顔は、人の心を癒し、励ましてくれる魔法のようなもの。

 ぜひ、あなたこそが職場の救世主、「いつも笑顔の人」であってください。

■仕事のルール46「部下を助けよう」

 私の事務所は、少人数であらゆる業務をこなしています。

 少数清鋭を目指したベンチャー企業ですのでたくさんの社員を雇う理由はないのですが、少人数でやっていくことには多くの利点があると思います。

 ①全員暇な時間がなく忙しいけれども、充実している

 ②上司に頼らず、自分が責任をとる覚悟で仕事に取り組むので、力がつく

 ③役割分担も大事だが、お互いの協力が何より大事になる

 ④一人がいくつもの責任を持つので、大企業よりも沢山の経験ができる

 私は社長という総責任者の立場ですが、事務所の席にじっと座っていられる時間はほとんどありません。皆にお願いしているのは、一人一人が社長のつもりで、できるだけ自分で判断し実行してほしい、ということです。

 弊社のような超多忙な会社では、何でもかんでも上司の意見を伺い、判断しているのでは仕事が進みません。たくましい責任感と鋭い判断力を養って欲しい、いつもそう願っています。

 その一方で、上司に相談せず自分勝手な判断をすることで、大失敗をするという場面も出てきます。そこのバランスが非常に難しく、皆が悩むところです。

 私が思うのは、できる限りのことは自己責任でやっていく、しかし判断に迷うときは、些細なことでも遠慮なく上司に相談し、知恵を拝借し手を借りるということです。ここを間違えると、些細なことが大きなミスにつながりその尻拭いに膨大な時間やお金を費やしたり、他の社員にまで迷惑をかけることになります。

 私が心がけているのは、一旦は社員に全てを任せる、しかし最後の責任は全部上司が持つということです。忙しい中でも、できる限り社員の相談には乗り、助けたいと願っています。今は上司の立場にある人も、皆かつては部下だったわけで、部下の気持ちはよくわかるはず。

 会社とは、社内の全員が志をひとつにし、共通の目標を持ち、その達成のために進んでいく場所であり、一種の戦場です。

 上司は部下を護り、部下は上司について行く。  そして、上司と部下が信頼の絆でつながり、スクラムを組んで仕事に取り組んでいくことが、競争社会の中で生き残り勝ち続ける手段だと思います。

■仕事のルール45「誰に対しても平等に」

 あなたは相手の立場にかかわらず、上司や同僚、後輩など、皆に同じ態度で接することができるでしょうか?上司に挨拶をする時の態度と、後輩に挨拶を返す時の態度は、同じでしょうか?これは難しいことですよね。

 役職が上の幹部に対しては、自然と声は大きくなり、お辞儀も深くなるし、後輩に対しては、挨拶も軽い声かけになるでしょう。お辞儀も会釈程度ではありませんか?

 私は長年アメリカで生活をしてきましたが、アメリカ人のよい所の一つに、誰にでも平等に接する、ということが挙げられます。矛盾する様ですが、アメリカ人には多種多様の人間がいるために、現実にはまだまだ人種差別の壁は残っています。特に、アメリカ南部のテキサス州に長くいた私は、アジア人であることを強く意識しながら生活しなければなりませんでした。しかし、だからこそ多民族が争わず仲良く暮らしていくために不可欠な、平等意識が非常に高く、人に接する態度に大変気を配っています。

 誰に対してもフレンドリーで、上司に対しても「ボブ」「キャシー」とファーストネームで呼び、部下や家族に対する親しさと変わりません。もちろん肌の色や職業の違いによっても、ほとんど態度に違いはありません(やはりゴマすり人間はいますが)。

 では、日本ではどうでしょうか?

 単一民族国家である日本では、人種による差別はほとんど存在しませんが、その分、立場や性別、職業などの違いで、大いに差別があると私は思います。

 上司に対する態度は丁寧で、部下に対する態度は雑になり、そして毎日事務所を掃除してくれる清掃業者さんにはどうでしょうか?

 私は日常的に、誰に対しても敬語を使うように心がけています。部下にも、友人にも、家族以外の人には、敬語を使っています。できるだけ立場の違いによって、態度を変えたくないからです。

 誰に対しても平等に接することができる人は、どんな人でも尊敬できる人です。

 そんな違いがあっても、相手を認めて尊重できる「寛容の精神」は、これからのボーダレスで多様の時代においては、なくてはならないものだと思います。