■仕事のルール44「言葉ではなく行動と結果のみ信用」

 「課長、今回はインターネットでターゲットを絞り込んで集中的にプロモーションすれば短期間でかなりチケットは売れます」

 「かなり売れるってどのくらいだ?」

 「たぶん5万人以上です」

 「たぶん?ターゲットはどうやって絞り込むつもりだ?」

 「まだ、具体的には浮かばないのですが、リストを入手すればいいと思います」

 「じゃあ、どんなリストをどうやって入手するんだ?」

 「すみません、これから調べます。でも大丈夫です!」

 「なんだ、全部まだアイデア段階か!」

 「はい、でもなんとかなると思います」

 「なんとかなる根拠は?」

 「特にはありませんが、色々なところを巻き込んでやれば必ず結果がでると思います」

 「色々なところとはどこだ?」

 「提携先になり得る企業です」

 「もう、いいよ!君の言うことはいつも言葉だけだから・・・。具体的に成果をだしたことないじゃないか!実績もなく、なんでそんなに自信満々で言えるんだ?今までと違って、今回は絶対に結果をだしてくれよ!そもそも君が言い出して始めたんだからな・・・」

 よく「必ずやります」「大丈夫です」と堂々という人がいますが、結果がでるまではそんな言葉を信用してはいけません。それが本当かどうかその人の行動を見ていれば分かります。

 言っていることが本当に出来るのであれば、細かい裏付けや根拠となる情報がだせるはずです。聞いても出ないようであれば、「根拠のないただの自信」でいい加減なものと受け止め、信用すべきではありません。万が一、責任者がそんな言葉を当てにして進めるようでは、後で大失敗になるでしょう。

 提案する人は、言ったことが現実化するかどうかで、その人の真価が問われていることを肝に銘じて、「有言実行」を実践すべきです。

■仕事のルール43「頼まれたことはすぐやろう」

 「西山君、先週頼んだ、大木商事の大木社長とのアポどうなった?」

 「あ!あれはですね・・・・。翌日大木社長に電話したら留守でしたので、一応電話あったことを秘書に伝えてもらうことにしました」

 「え!じゃあ、その後何もフォローしてないの?」

 「いえ、また電話したのですが、その時もいらっしゃらなかったので・・・」

 「じゃあ、まだアポが入ってないということだな!」

 「はい、こんな調子だとアポ入れるのはかなり時間かかると思いますが・・・」

 「ちょっと待て!私が君に頼んだ時は、大木社長と電話で話した直後だったんだぞ!なんであの時すぐに秘書に電話してアポ入れなかったんだ?あの時すぐに電話してれば、一発でアポ入っていたはずだ!」

 「すみません、そんなにお急ぎだとは思いませんでしたので・・・」

 「普段から言ってるだろう。お客様とのアポは何よりも最優先だと。今まで何を聞いていたんだ?もう、いい!君にはもう頼まん! これからは、何でもすぐやってくれる横山君に頼むようにするから」

 「いや課長、次から気をつけますので・・・」

 西山君には次のチャンスはないでしょう。本当によく起こることです。

 昔から「急ぐ仕事を頼む場合、一番忙しい人に頼め」というルールがあります。忙しい人は、次から次へと仕事が入ってきますから、頼まれたらすぐにやるからです。

 一方、暇な人や仕事の出来ない人は、行動が遅い上、時間がかかるので後でやろうとします。しかし、後になれば忘れるか、他の急ぎの仕事が入ってきて更に後回しにします。結果的には、やるチャンスを逸してしまいます。

 私も職場では戦争の様な毎日を過ごしていますので、頼まれたら本人の目の前で電話し、必要なアレンジをするよう心がけています。もし、その場でアレンジできなかった場合、後でも必ず実行されるよう秘書に確認するなどの手を打ちます。

 頼まれたことを結果的にやらなかった場合には、今まで積み上げてきた信用をすべて失います。

■仕事のルール42「いつも前向きなジョークを」

 これは米国に17年いたことでとても感謝していることの一つです。

 私は日本にいた頃、超真面目で冗談一つ言えない、つまらない人間でした。それが、ある日突然米国に行くことになり、母に 「男になって来い!」、「ユーモアのセンスを身に付けておいで!」などと気合を入れられたのでした。「ええ!!人生22年生きてきて今さら外国に行ったくらいでそう簡単に性格変わるわけないでしょ?」と諦めムードで渡米しました。

 ところがです。

 超根アカのアメリカ人に絶大なる影響を受けて、私は超超超(超3つ)根アカになってしまいました。挙句の果てに、唯一の長所であったA型人間的つまりきめの細かい性格だったのが、O型中心社会であるアメリカ人に感化されて、いい面でも悪い面でも、ドンブリ勘定となり限りなくO型に近い性格に変身してしまいました。

 元々自分の「みみっちい」性格に嫌気がしてましたので、大変喜ばしい変身を遂げたのです。本当に米国社会並びにアメリカ人には感謝しています。もし、米国に住んでいなければ今でもせせこましく生きていたことでしょう!

 米国で生活を始め10年位が経った頃、気が付いたら根アカになっていました。何で気付いたかと言うと、大手国際会計・経営コンサルティング会社に勤めていたころ、締め切りとミスが許されないことのプレッシャーと毎日格闘していたわけですが、なぜだか元気でストレスが溜まらないのです。まわりの人はストレスが爆発し過度の心労から、ある日突然病気になったり、出社拒否したり、最悪の場合、行方不明になったりで毎週事件との遭遇でした。

 私はその頃、日中はその会社に勤め、夜は経営大学院で教えたり、博士課程の学生として自ら授業を受講したりしており、殺人的なスケジュールをこなしておりました。

 一歩間違えば発狂してもいいくらい、緊張感溢れる環境に置かれていたにもかかわらず、毎日リラックスし、楽しく学び働いていました。

 日本にいたころ「融通性なし度」「不器用度」では右に出るものはそういなかった自分にどんな異変がおきたのか、今でも理解に苦しみます。一ついえる事は、緊張したり追い込まれたりすると、前向きなジョークが自然と出て、まわりの雰囲気を和ましているのです。

 それがまた次へのやる気に繋がっています。  また、前向きなジョークは困難に直面した際、参加者の団結を図るのにも役立ちます。

■仕事のルール41「毎朝経済紙を読もう」

 先日、ある講演会で毎朝経済新聞を読んでいるかどうかと質問したところ半数以上の人が読んでいないことがわかり驚きました。もっとショックだったのは、読んでいない人のほとんどが新入社員と若手社員だったからです。

 私たちが新入社員や若手だった頃は、世の中の経済を理解するのに、またその動きに付いて行く為、毎朝経済新聞を隅々まで徹底的に読みました。

 さらに、誰かからいきなり記事のコメントを求められるのが怖くて、読まないわけにはいきませんでした。それでもどうして記事になったことが起きたのか、また細かい理解までできず、自分の知識不足と理解力の乏しさに焦りを感じたものでした。

 いま、顧問先の会社でも若手社員と朝礼や打合せなどをしているときに、少し専門的な話をするとキョトンとした顔をしています。気になるので質問したら、答えられません。こちらが知らないことにビックリしていると、知らなくても「誰も教えてくれなかったからあたりまえでしょ!」と言わんばかりの顔をしています。あまりひどい時は、「今朝の新聞に載ってたし、第一常識ですよね!」厭味の一つでも言いたくなります。

 ちなみに、アメリカのビジネスエリート達は年齢にかかわらず、毎朝よく経済新聞を熟読しています。私が新入社員のころ、アメリカ人上司が毎朝経済新聞を6紙読んでいると聞き、まずいと思い慌てて真似して同じ6紙をとり、更に日系経済紙2紙追加して必死に情報をとる努力をしてました。それが日本に帰国した今でも日課となり、毎朝日本経済新聞から始まり8つの新聞を読んでいます。

 新聞を会社に着くまでに読み切るため、私は会社には車では通いません。電車のみです。毎日続けていると、お陰様で満員電車の中でもまったく人の邪魔をしないで、端から端まで複数の新聞を読むテクニックを身に付けられました。

 将来会社を担っていかなければならない若手社員が、基礎的情報源である経済新聞を読まないとなると、その時点で負け組に入る大きな原因を作っているのではないでしょうか。

 新人時代は会社について行くのがやっとです。

 経済紙くらいは読まないとビジネスの常識から取り残されることでしょう。

■仕事のルール40「セミナーやイベントには積極的に参加しよう」

 長いようで短い人生です。たかが頑張って生きて百歳前後。その中で何人との意義のある出会いがあるでしょう。経営コンサルタントという職業柄、次のことをよく聞かれます。

 「自分を向上させるにはどうしたらいいのでしょうか?」

 「自己啓発の効果的な方法は何でしょうか?」

 「効率をアップさせるには?」と。

 私の場合、特効薬は二つあります。

 まず、本を読みまくることです。これはほとんどの方が実行していると思います。もう一つは、セミナーやイベントに出まくることです。これは、時間とお金、更に実際に会場に行って理解に努めるという労力が必要ですので意外と実践している人は少ないようです。

 劣等生だったにも関らず、高校卒業直前に急に国際経営コンサルタントを目指すことにしました。それで、自分の人間性と必要な能力を向上させてくれそうなセミナーやイベントは出まくりました。たとえ高額でも親や姉に借りてまで参加しました。

 例えば、英語が全然できなかたにもかかわらず、いつかペラペラになりたいと思い、米国一流週刊誌「TIME」を教科書に使って学ぶ、「速読の英語」という講座を三ヶ月かけて受講しました。受講生のほとんどが同時通訳者や海外長期留学経験者で、私とのあまりのレベルの違いに愕然としました。講義はまったくわかりませんでしたが、「いつかこういう講座の講師ができるくらい知識と英語力を身に付けるぞ!」と決意しました。

 あれから26年。あの講座を受講したお陰で、その時の悔しさをバネに米国に行って必死に学びました。そして、米国経営大学院生を相手に米国経営大学院で英語でビジネス全般を教えられるまでになりました。

 すべては、あの講座「速読の英語」を受講したことから始まりました。

 本で読むと理解に時間がかかることでも、直接講師に教えてもらったら一発で理解できることもあります。今では、私は毎週のようにセミナーで講演させていただいていますが、学生や若手社員が背伸びして講義を受けてくれている姿をみると、昔の自分が懐かしくて、思わず、「頑張ってね!今理解できなくても、学び続ければ将来必ずものになりますよ!」とついつい励ましています。

 一流の経営者の中でもセミナーやイベントに参加し感化され人生が開けた方も多いのです。

■仕事のルール39「言う前に言っていいかどうかまず考えよう」

 日本の格言に「覆水、盆に返らず」という言葉があります。一度溢れてしまった水が、盆の中に戻ることはあり得ないということで、取り返しのつかない失敗のことを言います。

 この、取り返しがつかない失敗とは、口から始まることが多いと思います。

 「災いは口より出て身を滅ぼす」とも言いますが、まさに言葉による失敗は取り返しがつきません。

 言葉は言葉ですが、ただの言葉では終わりません。

 口から出た言葉は、相手の心にしっかりと刻まれてしまいます。紙に書いた言葉は言葉ですが、ただの言葉では終わりません。口から出た言葉は、相手の心にしっかりと刻まれてしまいます。紙に書いた文字は、消すことも破り捨てることもできますが、口から出た言葉は絶対に消せないのです。たとえ相手の耳に入っていなかったとしても、最近では、録音技術も進んでいますので、言ったつもりはないでは済まされません。

 失言という失敗によって、一体何人の政治家が辞職に追い込まれたことでしょうか。

 また、世界からヒンシュクを買うことになったら政治家の発言などは、枚挙に暇がありません。うっかり口にしてしまった一言によって、信用を失い職を失い、果ては家族からも去られてしまう人までいるほどです。

 まさに「気をつけろ!」ですね。

 家族や気の置けない友人との間では、ちょっとした失言はよくあることで、お互いに許せることかもしれませんが、職場においてやお客さんに対する失言は、思わぬ結果を招きます。

 一度言ったことは消せないので、たとえ何毎回謝って言い直したとしても、この人はこんなことを考えていたのか!という相手のショックは消えないし、ギクシャクした関係は続き、修復する方法はないと言って良いでしょう。

 家庭の中でも、発言には充分注意が必要です。

 たとえ夫婦であっても、ちょっとした心ない一言が深く相手を傷つけてしまうからです。長年連れ添った夫婦といっても、血のつながりのない他人同士が愛情という純粋な感情でつながった関係なのですから、愛する相手からの一言は重みを持ちます。夫婦間での口喧嘩が、最後は激しいののしりあいになるのは、気を許しあっている関係というよりも、愛情が一瞬にして憎しみに変わりうるほど純粋な関係であるからだと思います。ましてや親子関係においては、夫婦以上に切っても切れない関係であるだけに、一言には気をつけるべきでしょう。  家庭こそ人間関係の学習をする原点の場でもあるからです。

■仕事のルール38「毎日語学を5分楽しく学ぼう」

 あるベンチャー企業の入社式での社長の挨拶です。

 「今後ビジネスの世界において、ボーダーレス化がどんどん進み、語学、特に英語が出来ない人は大企業はもとより、中小企業においても重職に就けなくなるでしょうし、ビジネスチャンスも逃すことでしょう!私も苦手ですが、毎日出社と退社の途中、車の中で英語を勉強しています。皆さんも負けずにチャレンジしてください!」

 まったく同感です。

 私は、5年前より株式会社伊藤園の社長対象に能力開発目的のため創設された企業内大学である「伊藤園大学」で、「国際ビジネスコース」の講義をさせて頂いています。海外事業展開をする上で即戦力の人材となることを目指し、海外雄飛を夢見た若手社員さん達が年2回2日間の特訓のために全国から募ってきます。講義は容赦なく英語で行うこともあり、いつも次のような質問をうけます。

 「毎日早朝から深夜まで業務で殺人的なスケジュールです。海外で頑張りたいのですが、英語は苦手ですし勉強する時間もありません。どうしたら早く上達できますか?」

 英語の嫌いな人が英語を勉強するのはかなりの苦痛です。

 まして、時間がないとなると上達させることは不可能に近いように映ります。私も高校時代、英語は大の苦手で成績もずっと赤点(落第点)でした。高校を卒業できたこと自体、奇跡でもあったのですが、あまりに英語が出来ないので見るにみかねた担任の英語の先生が、3年生の夏に一ヶ月間米国にホームステイさせてくれました。それから、英語が身近な存在となり、日本語より楽しい言葉に思えてきました。

 それで大嫌いだった英語を短期間で上達させる方法を私なりに見つけました。ポイントは少しでもいいので毎日楽しく学ぶことです。映画が好きなら映画の台詞を繰り返して覚えるとか、歌が好きなら毎日好きな歌を歌い歌詞を覚えるとかです。

 私の場合、お金もなかったので、ラジオとテレビで放映されている英会話番組を毎日欠かさず見聞きし、英語のフレーズを歌うように楽しく繰り返しました。

 「継続は力なり」です。「毎日5分でいいので、楽しく語学を学ぶ習慣をつけましょう!」

■仕事のルール37「人の相談に乗ろう」

 私は人の相談に乗るのが大好きです。

 暇さえあれば、人に会い色々な相談に乗っています。

 驚くかもしれませんが小学生の頃から人の相談に乗ってきています。母親が人の相談に乗るのが大好きで、いつも一緒に付いて行って横で話を聞いていたことから、私まで大好きになりました。小学生の時は、姉や学校・スポーツクラブの友達の相談に乗り一生懸命激励していました。時には学校の担任や他の先生の相談にも乗ったこともありました。

 なぜ人の相談に乗るのが好きかと言うと、困っている人を見るとなんとか助けたくなるからです。また、いずれ自分や家族も同じような問題で悩む日がくるのではないかと思うと人事ではなくなります。気が付いたら相談に乗った人の問題だったのに、自分の問題になって同苦しているのです。

 高校3年生の進路の選択の段階で、困っている人の相談に乗り、激励し助けられる職業がないか真剣に探しました。ただ、決して頭はよくありませんでしたので、高度な学問が必要な分野は能力的に無理だと思い、実践的であり、身近に感じられたビジネスに関する相談に乗る仕事を探しました。その結果、現在の「経営コンサルティング業」を見つけ、これをライフワークにすることにしたのです。

 ビジネスの分野に限ってはいるものの、人の相談に乗る「経営コンサルティング業」を長年職業にしてみて、つくづくと痛感します。「本当に自分にぴったりの転職だなあ・・・」と。

 「自分のことで毎日手一杯なのに、人の相談まで乗っている余裕はありません」「若くて経験・知識がないので、とても人様の相談に乗り、励ます力などありません」などとよく反論されます。

 なるほど一見、理に叶っています。

 ただ、それらは本気で人の相談に乗ったことがない人の言い訳です。

 もし、自分の愛する人が悩んでいたら、年齢・経験・知識とは関係なく相談に乗り必死に解決策を探すはずです。実は人の相談に乗るのに年齢・経験・知識などいらないのです。勿論あったほうがベターです。

 必要かつ大事なのは、その人のことを本当に心配し、なんとか助けたいと願う誠実な心です。  人の相談に乗ることは人生において最高の勉強になり、人間としても成長します。また、もの凄いエネルギーも出てきます。

■仕事のルール36「約束の時間より5分早く行こう」

 仕事でもプライベートでも絶対に行うべきことがあります。

 約束をしたら時間守ることです。しかも、待ち合わせよりも5分は早く着くようにして下さい。

 最近では携帯電話の普及で、時間にルーズな人が多くなってきたように感じます。時間に遅れても、携帯で連絡すればいいとでも思っているのでしょうか。

 これは大きな間違いです。

 基本的には、待ち合わせの時間がタイムリミットです。

 約束の時間を守れない人はルーズだと判断されてしまいます。また、5分余裕を持って行けば、何かあった場合でも、間に合う可能性は高くなりますし、何かあっても対応する時間もあるということです。

 いつもいつも、なぜか5分約束の時間に遅れてくる人が来ました。彼は、仕事はきちんとこなすのですが、彼と仕事をしているスタッフは、打合せ時間より5分前に、約束の場所にいつも来ていました。ですので、彼を待っている時間は合計10分以上になります。いつものことなので、そのうち、待ち合わせ時間を5分早く伝えることにしました。すると時間通りに来るのです。

 となると「ワザと遅れて来ているのか」「待たせることで、自分が一番偉いと思わせたいのか」と変な不信感をスタッフは持つようになりました。その結果、彼のスタッフは一人離れ二人離れて懇意にしていたスタッフはほとんど彼の元を離れてしまったのです。

 先に述べましたが、彼は仕事は出来る人でした。それでも、このようにちょっとしたことでスタッフは不信感を高めていき、袖を分かつ結果になってしまったのです。

 絶対に約束の時間に遅れないように心がけることです。

 もしも相手がもっと早く来ている人だったとしても約束より早くその場に着くことによって「気遣いのできる人」として評価は高まります。

 小さいことですが、時間に関する評価は意外と大きなものです。能力以上に評価される場合もあります。

 少なくとも私の過去の上司たちは、時間にとても厳格で、私も時間を常に守っていましたので、能力以上の評価をしてくれました。

 たかが5分、されど5分。

 たった5分の違いであなたの人生の展開が大きく変わることすらあります。

 また、その些細な5分の心がけをまわりの人達は本当によく見ているのです。

■仕事のルール35「一度注意されたら二度と同じことを言われないようにしよう」

 何度注意されても同じ失敗を繰り返す人があなたの職場にもいませんか?

 その人はとても不誠実なことをしています。

 何度言っても直らないと言うことは、言われてることを真剣に聞いていない受け入れていないということだからです。

 普通、尊敬できない人から何かを言われても素直に聞く耳は持てませんよね。

 あなたの会社でも同じことが言えます。つまり、注意してくれた人を尊敬していないから、何度言っても同じ失敗を繰り返すわけです。

 もし、あなたが上司から注意されたことを繰り返すとれば、注意してくれた上司からすれば、あなたは実は上司を尊敬していないんだと判断されてしまうのです。

 例えば、注意してくれた人が、大好きな恋人だったらどうでしょうか?

 「今日の君の服装、ちょっと似合ってないよ」

 「君の香水、キツ過ぎるよね」

 あなたは、しまった!と思って、二度と同じ服は着ないでしょうし、二度とその香水はつけないでしょう。

 好きな人に言われたことは、絶対に繰り返さないはずです。それはもちろん嫌われたくないからです。

 会社で同じ失敗を繰り返すということは、上司に嫌われることを、何とも思っていないということであり、上司に信頼されて将来を嘱望されることを拒否していることなのです。

 あなたの会社が、サービス業であった場合は、最悪の結果を招くでしょう。

 お客様相手の仕事で、同じことで注意を繰り返されるということは、お客様にいわれたことも即座に対応できないということの証明なので致命的です。

 本来ならば、言われなくてもお客様の立場に立って、何を望んでいるか察し的確なサービスをするのが当然なのですから。

 上司に嫌われる前に、お客様に去られてしまうでしょう。

 また、何度言っても変わらない人は、そのうち周りの人が何も言わなくなります。言われなくなることは楽かもしれませんが、それが得か損かは少し考えてみればわかりますよね。

 取り返しがつかなくなる前に、一度注意されたことは即座に直すようにしましょう。

■仕事のルール34「どんな時でも言い訳をしないようにしよう」

 私が大嫌いなことの一つに「言い訳」があります。

 言い訳をしないで生きていくのは、確かに難しいことです。

 反対に、言い訳をすることは、実に簡単なことです。

 約束した時間に遅れた場合、あなたはどうしますか?また、仕事上で失敗した場合はどうでしょう?言い訳を考えるのは、難しくないですよね。

 相手には、あなたの行動を全て把握することはできないので、いくらでも理由を創作できるのです。本当は寝坊しただけなのに、自分の非を知られたくないために、子供が急病になったので病院に連れて行ったということも出来ます。

 仕事の失敗も、ちょっと考えれば、いくらでも理由が見つかるでしょう。

 言い訳とは、実に「自分の失敗を隠し、自己正当化するための悪知恵」なのです。だからそこには、その人の人生に対する卑怯な姿勢が見て取れるので、私は言い訳をする人を信用する気にはなれません。

 言い訳をしないということは、自分の行動にいつも責任を持てる、ということであり、これこそが真の大人として、社会人として心がけるべき姿勢ではないでしょうか。

 しかし残念なことに、日本社会では言い訳をしない人に出会うことのほうが難しいかもしれません。一方、失敗したら言い訳をせずに謝ればいい、それで許されるという安易な姿勢も考えものです。

 では、そうすればいいのか?

 それには言い訳が必要な失敗は、しないようにするしかありません。

 つまりあなたが責任をとれない失敗はしないと決めて、最大の注意と努力をすることです。

 確かに人生は失敗の繰り返し、事実、私も今まで失敗の繰り返しで生きてきました。世界の一流の人達も失敗が転じて成功した例がたくさんあります。

 つまり、成功につながる失敗は大いにしてもいいわけです。

 しかし、他人に迷惑のかかる失敗は二度と繰り返さないこと。これは常に「心がける」ことで実行できます。  言い訳によって信用をなくす人生か、ちょっと大変でも、日ごろの心がけで言い訳をしなくて済む人生にするか、どちらが得かはあなたの判断次第です。

■仕事のルール33「お金(報酬)を追えばお金で滅びる」

 これは米国に17年間いて、ぜひ皆さんにお伝えしたいメッセージです。

 一般的な言い方にすれば、「お金で溺れる人はお金に泣く」ということでしょうか。

 知人で金融のプロがいます。彼はスタンフォード大学を出て、米国のハーバード・ビジネススクール(経営大学院)を優秀な成績で卒業し、一流証券会社に入社しました。

 とてもハングリーな性格なため、新人でありながらどんどん成果を出し、報酬もそれにともなって上がっていきました。

 それでも、自分が会社に儲けさせてあげている額からすると報酬は少なすぎると判断し、もっと報酬を出す投資銀行に転職してました。そこでもそこそこの成果を出しましたが、また昇給率に納得がいかず、同業他社に転職する羽目に。

 そんなことを毎年続けているうちに、「多少なりとも成果はだすものの、お金ですぐ動くあてにならない人」という評判が業界でたち、遂にどこからも信用してもらえなくなり、転職先もなくなってしまったのです。

 似たような話をきいたことありませんか?

 米国にいたとき、結構同じようなことをしているエリート達にパーティー等で出会いました。そういう人達は一見頭がよく優秀そうですが、人をバカにした話し方で自慢話ばかりし、顔にいやらしさのようなものがにじみ出ているため、業界の人間ならばすぐに察知します。

 日本に戻ってきて、同じような若手エリートに会いました。

 一流大学を出て、国内外の一流ビジネススクールに自費か会社派遣で留学した後、実力と報酬が違うということでより高い報酬を求め、毎年のように転職を続けている人達です。

 私は米国のテキサス州立大学(ダラス校)経営大学院(ビジネススクール)で7年間ビジネス全般を教える機会を得ました。その時の経験やエピソードは「MBAでは学べない勝つ経営の本質」(日経BP企画刊)にまとめましたが、卒業生をフォローしてみると報酬を追う人は優秀でも最後はお金で苦労しています。

 先日出会ったある会社の新入社員は、たった数千円の給料が違うから、遣り甲斐のありそうな仕事をさせてくれそうな会社より、有名企業に就職を決めたと堂々と自慢していました。  若いときはお金より、どれだけ好きか、それだけ力がつくかで仕事を選びたいものです。

仕事のルール32

■仕事のルール32「本を読んで知恵と知識と運をつけよう」

 人生を何度も生きることができたら、私達の生きる姿勢はまったく違ってくることでしょう。しかし人生は一度きりです。この一度の人生を、どのように豊かに生きていくか。

 そのヒントは「読書にある」と私は思います。小説、詩歌、ミステリー、実用書など様々な種類の書籍がありますが、どの本の中にも、著者の人生経験に基づいた豊富な知恵が溢れていて、自分の人生では経験できない新しい何かが書かれています。

 そして私たちは、本を読むということで、あらゆる違った人生を経験できるとも言えます。

 著者にとって、どういう種類の本であれ一冊の本を書くということは、人に何かを伝えたいからであり、そのために著者が今まで生きてきた全てを、言葉というエッセンスにして注ぎ込もうとします。だからこそ、フィクションであれ、ノンフィクションであれ、読む人になんらかのメッセージを与えることが出来るのだと思います。

 私の趣味は、時間を見つけて本屋に立ち寄ることです。現在、ベンチャー企業の経営者として、また経営コンサルタントとして、一週間が10日に、一日が30時間にも匹敵するほど忙しい毎日で、日付が変わる前に帰宅することはほとんどありませんが、移動の合間や週末のわずかな時間を見つけては頻繁に本屋に立ち寄ります。

 私の場合、沢山並んだ本に囲まれるということが、まず心地よい。

 現在は仕事柄、ビジネスコーナー、情報雑誌コーナーに立ち寄るのが主になりますが、パラパラとページをめくりながら、溢れている情報に浸るのもわくわくするし、背表紙のタイトルを順番に眺めていくだけでも仕事のヒントを得たり、意欲が湧いてくるのが不思議です。直感で数冊買って帰るので、書斎は本で溢れています。読書の時間は主に通勤の電車内です。

 私は特に成功している人の本を読むようにしています。なぜなら、過去の人であっても、現在の人であっても、そこには幸運のキーワードが潜んでいて、そのカギを文中から見つけ出し、自分のものにしていく作業は、私にとってこの上ない楽しみだからです。

 その本を読むだけで、著者の強運が読者に移る、そんな気がします。

 数え切れない本の中から出会った一冊は、大切な縁なのですから。

 読書を通して主人公や著者と出会い、少しでも充実した人生を!

仕事のルール31

■仕事のルール31「毎日大いに挫折しよう」

 クイズです。次の二人は誰でしょう?

 まず一人目。22歳でビジネスに失敗。23歳で地方議員選挙落選。24歳で再度ビジネスに失敗し、26歳の時最愛の恋人が死去。27歳で神経衰弱の病にかかる。34歳、39歳で連続して下院議員選挙に落選。46歳でまた上院議員選挙に落ちる。47歳の時、副大統領選挙に敗れる。49歳で再び上院議員選挙に落選・・・。

 二人目です。6歳で父を失い、3人の兄弟の世話をしながら、働きづめの母を助けるために家庭料理を手がけるようになる。12歳の時、母の再婚をきっかけに家を出てからは、機関車の助手や保険の外交、蒸気船、フェリーのサービスステーションなどの様ざまな職業を転々としながら30代後半でガソリンスタンドを経営するが、干ばつや大恐慌で倒産。60歳でレストラン事業を始めるが、失敗し多額の借金を抱え込み社会保険で生計を立てる。62歳で、背水の陣の思いで更に借金を重ね、手元に残ったわずかな資金で再度レストラン事業を模索。65歳でそのレストランを事業化し、世界初のフランチャイズビジネスを始める。

 最初の人が、後に第16代アメリカ合衆国大統領となるエイブラハム・リンカーンで、二人目は世界最大級のフランチャイズビジネスとなった「ケンタッキー・フライドチキン」の創業者、カーネル・サンダーズです。

 この話を聞くと、職場での挫折なんてたいしたことないと思いますね。

 挫折は繰り返せば繰り返すほど力がつきます。

 私も小さい頃から挫折の連続でした。小学一年生から競泳選手を目指し大学生まで必死に練習しましたが、背が伸びず挫折。国際経営コンサルタントになるという夢をもって米国の経営大学院七校受け全大学院の受験に失敗。ようやく拾ってもらった国際会計・経営コンサルティング会社に勤めている際に米国公認会計士を毎年受験するが失敗の連続。念願かなって国際経営コンサルタントとして米国で独立するが、その直後、資金・信用・人材などすべてを賭けて応援していた会社が倒産。

 挫折は繰り返しましたが、その経験が今大きな財産になっています。  挫折した分、コンサルタントとして力もついたようですし、どんな困難でも乗り越えていける自信がつきました。

■仕事のルール30「なんでもいいからリーダーを務めよう」

 振り返ってみて今までやってきたことの中で、私にとって仕事をやる上で一番役立ったことは、リーダーと言っても色々ありました。小学生のときは図書委員長、美術部部長をやり、中学では、水泳部部長などもやりました。

 小さい時の体験も大事ですが、十代後半から二十代でのリーダーの経験は掛け替えのない財産になります。その時期ではまだまだ経験・知識・自信はありません。にもかかわらず、まとめていかなければならない対象の人達はある程度自分というものを持ち、命令では動きません。一番苦労して人をまとめていかなければならない時期でもあります。

 その時にいかにみんなを同じ方向に向かわせ団結して成果を出せるかということは、組織の大小にかかわらず、大変なエネルギー・能力・勇気が要求されます。それをやってのけることは、人間として大きく成長し魅力もつきます。

 どんな仕事に就こうと、成功に欠かせないことがあります。それは対人関係マネジメント能力です。

 つまり、どこの会社や組織に行こうと、そこには必ず人がいて、その人達と上手くやっていかなければ自分の評価・価値もなく、当然成果もでません。

 学生時代にスポーツや体育会系クラブをやっていた人が会社に入ったら、俄然力を発揮します。よくよく観察してみると、彼らには共通点があります。まず、スポーツで鍛えた強靭な体力と根性。それ以上にスポーツ活動を通じて、人をまとめたり、リードすることを学んできているのです。

 「私はリーダーに向いていないからリーダーをやれといわれても・・・」とよく聞きます。それは違います。

 リーダーに向いていないからこそ、リーダーの経験が必要なのです。一度は職場でリーダーを経験してみてください。どれだけ大変か、どれだけ力がつくか、痛感することでしょう。

 そうすると、上司を含めリーダーをしている人に対する敬意を払い、感謝し素直に協力する気持ちになれます。毎年新人が入社してきて、気が付いたら部署の中で自分が一番上だったりします。その時、嫌でもリーダーをやらなければならなくなります。

 今のうちにリーダーとしての力をつけておかなければ、後輩に追い越されるのは時間の問題でしょう。

■仕事のルール29「なんでもいいからわくわくすることをしよう」

 先日、新入社員を対象に「社員としての心得」に関する研修を行いました。

 既に、正社員になる半年以上も前からインターンとして働いてる人達に「現状での職場の問題点」について聞いたところ、「刺激がない」、「新鮮さがない」

「慣れたので、スピーディーに仕事をしなければならないというプレッシャーがなくなった」というコメントがありました。

 インターンを先に始めたからといって、まだ働いて一年も経っていません。

 彼らには「なんでもいいからわくわくすること」をするよう提案しました。彼らは悪い意味での「仕事オンリー人間」に既になってしまっていたからです。人間である以上、どんなに好きでも毎日同じ仕事だけやっていたら、刺激も新鮮さもプレッシャーもなくなります。

 わくわくすることは職場だけに限れば、常に新しいことにチャレンジすることです。同じことばかりしていれば、マンネリ化したり、ワンパターンなので要領を使ったりします。最初は楽でいいのですが、そのうちに飽きてきてしまいます。ですので、毎回少しずつでもいいので、仕事は同じような内容・レベルではなく、多少以前よりレベルアップしたものをさせるようにすると、社員は緊張感から少しはわくわくしながら仕事が出来るものです。

 また社員側もマンネリ化防止のために、仕事以外に何か楽しくチャレンジできることを見つけることです。

 職場だけで常にわくわくするような心理状態を作る出すのは無理です。

 職場以外の趣味や習い事で、好きなもの、本当に学びたいことを選びどんどんレベルアップを図ることでわくわくする毎日を送りましょう。いろいろな人と出会うことも刺激になるでしょう。そうすることで、仕事でも効率よく成果を出せるようになるものです。

 私の場合、暇さえあれば文章を読んだり書いたりしています。また、人と会い新しい価値観・考え方・情報を教えてもらうことで毎日をエキサイティングなものにしています。

 仕事以外のことでわくわくしていると、仕事自身でもわくわくしてくるから不思議です。

 仕事でのわくわく感でも仕事で作られるものではなく、会社外で演出されます。

 そのためにも、社内だけで友人を作るのではなく、社外での人的ネットワークを作り、色々活動してみて下さい。  大事なことは、仕事以外のことでわくわくし、仕事でもそれを生かすことです。

■仕事のルール28「どんな時でも嫌な顔はしないようにしよう」

 当たり前のことですが、会社での仕事には、イレギュラーがつきものです。

 いつも決められた仕事をやっていればいいというものでもなく、自分のリズムでやっていればいいというものでもありません。

 また、仕事というものは、自分の頑張りに応じた結果が必ず出るとも限りません。

 今日やり終えなければならない仕事に懸命に取り組んでいる時に、突然上司から別の仕事を頼まれることはよくあります。それも「急ぎでやってくれ」とのコメント付きで。もしくは、自分では満足のいく結果が出せたと思っている仕事に対して上司から厳しい評価が下されることもあるでしょうし、時には、四苦八苦して仕上げた仕事に対して、簡単にやり直しを命じられることも。

 そんな時、あなたはどういう反応をするでしょうか?

 大概の場合、上司に対する不満の色を、顔に出してしまうのではないでしょうか。

 「なぜこの仕事を私がしなければならないの?」

 「え?これ以上の結果は、俺には出せないよ!」

 「一生懸命にやったのにやり直しだなんて、全く意地悪な上司だな」等々・・・。

 しかし、気をつけなければいけません。この一瞬のあなたの反応を上司はよく見ています。信頼して仕事を任すことができる部下なのか、それとも心配で何も頼めない部下なのか。それによって、あなたの今後の処遇まで決まってしまうのです。

 私が考える、上司に好かれる部下とは、まずどんな仕事を頼んでも「はい!喜んで!」と受けてくれる人、次に叱ってもへこたれない人、そして状況に応じて態度を変えない人です。

 私の会社でも、毎日それぞれが忙しく担当の仕事を処理していく中で、どうしても突然入ってくる仕事があります。 誰に頼もうかと思ったときに、やはり何でもいつでも素直に受けてくれる人に自然にお願いすることとなります。Aさんなら、嫌がらずに受けてくれるだろう、という安心感があり、失敗しても前向きにやり直してくれるという信頼感があるからです。このAさんのように何でも喜んで受けてくれる人なら、仕事の結果も当然満足のいくものとなるので、評価も上がり、昇給昇進にもつながっていくのです。

 心で葛藤しても、嫌な顔はみせない、これは良き社員の必須条件だと言えます。

■仕事のルール27「職場は人生大学」

 これは弊社専務の口癖です。彼は東大を出て大手銀行に就職。その後、大手シンクタンクや外資系投資会社など経て、中国上海で会社経営にも携わりました。

 彼はよく言います。

 「社会に出たら一流だろうと何であろうと出身大学なんて関係ない。今何ができるか、どれだけ会社のために稼ぎ貢献できるかだ!」

 まったく同感です。以前弊社も一流大学出身者や一流企業での管理職・役員経験者を多く中途採用したことがありました。一流大学を出て、一流企業でそれなりの経験をし責任職をこなしてきた人ならば、そこそこの仕事ができるであろうとの判断からです。

 結果は大外れでした。一流大学・一流企業出身ということでプライドばかり高く、弊社での仕事はまったく出来ませんでした。出来なかったというより、正確には大企業で重職を長年した経過から、人に仕事を振ることは上手ですが自分ひとりでは何もできないのです。

 つまり、一日中会社でブラブラし、電話で指示だけ出しているのです。

 怒った専務は、彼らに言いました。

 「当社のためにプライドを捨て、一人で営業し稼ぐ気がないやつは即刻辞めろ!」

 結果的には当時の中途採用ベテラン社員は、専務を残して見事全員、辞めてもらいました。

 その時に専務が一喝。

 「職場は人生大学や!どこの一流大学を出たとかどこの有名企業に勤めたと言っても仕事できないやつは信用できない。職場を人生の道場と思って修行する気のないやつなんか、社長いりませんよ!辞めてくれてせいせいした」

 教育を受けるのは学校だけではありません。

 人間がいるところすべて教育の現場です。

 人生の時間を最も使い、様ざまな人がいて人間の組織を作っている会社こそ最も重要な教育機関であり、最高の人生大学です。

 その最高の教育機関で仕事を通じて様ざまなことを学び合い、人間性を高めていきたいものです。

■仕事のルール26「姿勢よく座ろう」

 「バカもの、姿勢が悪い!ビシッと座れ、ビシッと!」

 突然の上司からの罵声に驚くと共に、なんで座り方一つで朝からこんなに怒られなければいけないのか、その若手社員は理解に苦しんでいるようでした。

 たまたま顧問先である上場したてのベンチャー企業に訪問した時の出来事です。

 その社員はかなり落ち込んでいる様子。私も小さいときよく両親に叱られました。

 座った時の姿勢が悪いためにです。納得できなかったので母親に聞いたところ4つの理由を指摘してくれました。

 まず、姿勢が悪いと病気になる可能性が高まるから。2つ目に心身ともにダラダラと

緩むこと。3番目として一生懸命頑張っている人が見たら邪魔な存在となる。最後に早

く疲れて集中力が落ち、続けていることが嫌になるからとのこと。

 なるほど、今家庭や学校では姿勢のことは昔ほど指摘したり、正したりすることがなくなったように見受けられます。自己管理するべきこととして、そこまで手取り足取り教えなくなったためでしょうか。

 どうもそうではないようです。教師や親が自信や情熱をなくし厳しく言えなくなってきているからではないかと危惧しています。

 両親がいつも嫌というほど姿勢について厳しく指摘してくれたため、私はよい方になりました。そのため、長時間仕事しても疲れませんし、仕事の集中力はかなりつきました。また、学校時代も卒業してからもまったく病気したことはありません。その上、大学を出て入社してから独立するまで、そして独立してこのかた遅刻や欠勤は一度もありません。

 小学校1年生から大学まで競泳をやってたことから体力がついたことも大いに貢献していると思いますが、最も大きな理由は姿勢が良いからだと思っています。よく、色々な方から姿勢がよいと言われます。まあ、姿勢がよくいつも胸を張っているので威張っているようにも見られます。また、肩書き上社長でもあるので、丁度いいのかも知れません。

 いずれにしても、姿勢よく座るよう指摘して下さることは、あなたのことを本当に思って言ってくれている証拠です。  注意してくれた人に感謝すべきですし、自分のために努力して直すべきです。

■仕事のルール25「嫌なことを誰よりも率先してやろう」

 顧客先企業で打合せを終え、帰ろうとしてエレベーターに乗った瞬間、隣に立っていた若手女子社員が話しかけてきました。

 「今お世話になっております経営企画室新入社員の○○○○○と申します。突然で失礼だと存じましたが、先日の社内研修でのご講演の際、困ったことや質問があれば、いつでも直接連絡くださいと言われておられましたので、お言葉に甘えましてぜひご相談させて頂ければと思い、勇気をだしてお声をかけさせて頂いております。こんなところで急に質問させて頂くの、ご迷惑でしょうか?」

 「いや、大丈夫ですよ。次の顧客先に行くまで少し時間があるので・・・。何でしょう?」

 エレベーターが開き、落ち着いて話もできそうもないので、会社1階にある喫茶室で引き続きお話を伺うことにしました。

 「実は私は東大法学部を出て、上場企業の中で最も勢いがあり、若手にもチャンスを与えてくれるということでしたので、今年4月に当社に入社しました。最初は男女関係なく一緒の研修でしたので良かったのですが、今の経営企画室に入ってからは、秘書を除き、女性は私一人で、早朝より雑巾がけを含め掃除・お茶汲み電話応対まで、ほとんどすべて雑用は私一人に回ってきてます。たまたま、今の部署では新人は私一人ですが、たった1年しか違わない先輩たちは、それは新人の仕事だからと言って何もしてくれません。もう限界です。他の部署に回してもらえないようでしたら、会社を辞めようかと思っています・・・」

 一流大学を出たのに「なんで私だけがこんなことを・・・」というエリート意識を私は彼女から垣間見たので、少し厳しく言いました。

 「大変ですね。でもあなたは間違っています。掃除・お茶汲み・電話応対は立派な会社の仕事です。嫌なことなので誰もやりたがらないかも知れませんが、誰かがやらなければ会社は困ります。だったら、新人であるあなたが率先してやったらいいじゃないですか!安心して下さい。あなたのそんな仕事振りを見る人は見てますから。エリート意識が少しでもあれば快くできませんよ。自分との戦いです。一生掃除やお茶汲みをするわけじゃないですから・・・」

 若いときには嫌なことをした分、人間として力がつきます。

 ぜひ挑戦してみて下さい。